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【レビュー】ストレイテナー / Applause (2020.12.2 発売)

転がり続けた先の大人のロック。大袈裟すぎる希望や絶望ではない、ありのままを提示する強さが照らす未来。

いつになく多彩な楽曲たち。寄り添ったり、突き放したり。温かみを感じたり、荒涼とした雰囲気だったり。

それでも、全体を通して不思議と統一感がある。
シングルカットされた耳なじみが特に良い3曲から入って、中盤の擦れた雰囲気、次いで平熱からじわじわ盛り上がって、最後はエモーショナルな余韻を残して終わる。

一聴して映画を見終わったような感覚だ。これは、以前のアルバムCreaturesを聴いた後と同じ感覚。でも、Creaturesから10年が経っているからだろうか、今回のほうが緻密さと包容力を多く感じた。

1曲ごとのバリエーションは大きくて、さらに1曲の中でも展開が多いものもある。メンバー4人の持ち味が存分に活かされているようで、例えば、”Parody”のように、それぞれのパートに着目して聴いても十分に聞き応えがある。

それぞれの音からは、狙いというより強い意思が感じられるようで、それが自然に合わさった4人のハーモニーは本当に気持ちがいい。

最近の作品で顕著だか、例えば冒頭の3曲のように、ポップで聴きやすいところが随所にある。
しかし個人的には、アルバム中盤、切迫感があってダークさに溢れる曲が大きく胸に響いた。生々しいロックの音、そして退廃的な歌詞。これこそロックのカタルシスのような、久しぶりの感覚が強く印象に残った。

今日は昨日の明日 バイオリンが響く
ガラクタの楽団 鉛色の空
どんな希望を鳴らすの? 平和な世界かな?
大切なモノだけ ぼくは守りたい

“ガラクタの楽団”

長い時間をかけて製作されたという今作。
それだけに、繰り返し見たくなる映画のように、触れるたびに新しさを発見し、作り手の4人の息吹が感じられる。この先も繰り返して聴き続けるであろう、私的にはストレイテナーの一つの金字塔だ。



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