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第4回 知って得する法律 「結婚すると何が変わる?」 民法 戸籍法

結婚すると何が変わるのか?

よく恋愛小説や漫画、映画などでは、

結婚して、夫婦になって、子供が産まれて、などなど

とても簡単に作品の中で描かれていますが、
(話の展開上仕方ないことではありますが)

結婚するには何か要件があるのでしょうか?
また、結婚すると何が変わるのでしょうか?

今回は「結婚」するための法律上の制約や条件について
ご紹介していきたいと思います。

まずは結婚するための要件を見ていきましょう。
下記は民法で定める要件の抜粋です。

<結婚の要件>
1、男性は18歳、女性は16歳であること。
2、未成年者の婚姻の場合は、父母の同意を得ること。
3、重婚者でないこと(配偶者がいないこと)
4、再婚禁止期間を過ぎていること
 (前婚の解消又は取消日から100日を経過していること)
  ※ただし、懐胎・出産した場合を除きます。
5、近親者(直系血族又は三親等内の傍系血族)間の
  婚姻でないこと。
6、直系姻族間の婚姻でないこと。
7、養親子等の間の婚姻でないこと。

※なお、民法改正により、2022年4月1日以降で女性の婚姻開始年齢が18歳に引き上げられます。

日本では重婚禁止や近親者との結婚の禁止が当たり前の考え方だと思いますが、民法上でもハッキリと明文化されています。

どのケースが結婚できるのか、できないのか。
突き詰めていくと面白いのですが、書き切れないので、今回は要件だけに留めておきます。

基本的に成人した男女であれば、結婚は可能です。
それに加えて、市役所へ「当事者2人と成年の証人2人以上が署名した書面」を提出すれば婚姻関係になることができます。

婚姻届出をすると、親の戸籍から分籍し2人の戸籍が出来上がります。

結婚する際、手続き上は、とても簡単。

これが外国人の方との結婚になると、相手方の国の法律や宗教に縛られる場合もありますが、日本人同士の結婚では、要件を満たしてさえいれば、届出ひとつで婚姻関係が成立してしまいます。
※実際の届出では、日本人でも届出先と本籍地が異なる場合には戸籍等の書類が必要になったりしますのでご注意ください。

婚姻の成立要件はこんなところでしょうか。
では、タイトルでも挙げた「結婚すると何が変わるのか?」
結婚することで、大きく変化がある内容を3つほど、ご紹介していきたいと思います。

まずは、1つ目。成人擬制。

民法753条:未成年が婚姻をしたときは、これによって成年に
       達したものとみなす。

これによってどんな変化が生じるのかというと、例えば、未成年の時に婚姻した場合、未成年のときに行った契約が成立してしまう可能性があります。

通常、未成年者が親の同意を得ずに契約をした場合、取り消すことができるのですが、結婚することにより成年と同じ扱い(=成人擬制)になるため、このような取り消しが認められなくなってしまうのです。

次に、婚姻から生じる費用の分担。

民法第760条:夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

言われなくても当たり前でしょ。って思うかもしれませんね。
婚姻してからの食費や住居費、医療費など、結婚生活をするうえで必要な費用はお互いの収入や資産等から分担しようねということです。

婚姻生活がうまくいっている時はいいですが、結婚生活が長くなると、
この費用の分担で揉めるご家庭も少なくはないのではないでしょうか?

こういった問題が大きくなる前に、契約書等で明確に分担しておくといいかもしれません。

最後に、日常の家事に関する債務の連帯責任

民法第761条:夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

この条文の通りで、例えば、日用品の購入にカード会社を利用した場合、夫婦の両方に支払い義務が生じるため、妻が購入した場合でも夫に請求することができます。

夫婦だからって、連帯して責任を負うなんて、
この条文はおかしいでしょと思った方、、ご安心ください。

あくまで、連帯して債務を負うのは「日常の家事に関して」です。

例えば、ブランドのバッグを妻が知らない間に購入していた場合、配偶者である夫はその支払いをする義務はありません。逆も然りです。

あくまで、「日常の家事に関して生じた債務」が夫婦間での連帯債務になるため、日用品や医療、教育上の債務等が該当すると考えられています。

以上のように、民法上では、婚姻から生じた費用は夫婦で分担して支払うことや、日常生活の債務は夫婦の連帯債務になるなどが定められています。

世間一般的にみると当たり前のことが定められているのかなと思いますが、違う人格の人間が同じ屋根の下で何十年も共に過ごすわけですから、些細な事でも、もめますよね。

当たり前のことが当たり前にできないこともあり、
そういった当然の義務が記されているのが民法であるのだと思います。

日本では上記のような条文が定められていますが、
違う国では、そもそも重婚が認められていたり、男性優位な条文があったり、その国の背景によって全く異なった法律が存在しています。

そう考えると、様々な課題はあるものの、日本は男女平等、平和主義、基本的人権の尊重、生活保障など、人が生きていくうえでとても生活しやすい国なのかなと思います。

話が脱線してしまいましたが、まとめていくと、
結婚するのは要件を満たせば届出一つでできてしまいます。

しかし、婚姻することで生じる義務や責任があるということを踏まえて
結婚するかどうか、自分自身で決断することが大切だと思います。

よく「結婚してからが本当のスタートだ」
と言う人がいますが、本当にその通りかなと。

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