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(ノット)・ラスティング・フォーエバー:ダイヤモンドをめぐる不実な真実 感想

ダイアモンドを巡るドキュメンタリー。
大手採掘会社、ダイアモンドの卸売業者、人工ダイアモンド会社やジャーナリストなどが登場し、ダイアモンドの不都合な真実を追う。

以前からダイアモンドの埋蔵量はかなり多く、価格調整のために市場に出す量を決めているという話は有名。
それが事実であり、さらに人工ダイアモンドも登場して、いよいよダイアモンドの価格崩壊がはじまろうとしているらしい。それに対応するダイアモンド関連業者のマーケティングや既得権益など、わかりやすく説明されていた。

そもそも石自体には工業的な用途以外、実質的な価値はない。ジュエリー分野では、マーケティングで人が欲しがるストーリーを作り、価格を上げている。当たり前だが、ブランドストーリーに共感する人が減り、欲しがる人がいなくなったら、価格は下がる。それで言うと、水道から出る水の方がよっぽど必需品としての価値がある。人間は毎日水を飲まないと死んじゃうわけだし。

だが大切なマーケティングストーリーも永遠の愛とか、ダイアモンドの価格=贈られる人の価値とか、ちょっと古臭い。このストーリーをどう変えていくかまでは描かれていない。これから価格を維持するために、ジュエリー会社はどのようマーケティングストーリーを作っていくのか。実際のところ、ティファニーあたりの広告キャンペーンを見れると、最近はメンズジュエリー市場を拡大していきたいのだろう。

様々なストーリーは出てくれど、消費者はいったいいつまで既得権益をもつ人々の利益ゲームに付き合わされるのだろう。

仕事上、海外で働くワーキングウーマンの方に会うことも多い。彼らは日頃から何カラットもある結婚指輪をつけている。カジュアルな服に大きなダイアをさらりと身につける。トレンドファッションなのか、財力を見せているのか。日本の人は派手なジュエリーを日頃から薬指につけないからとにかく目立つ。まだまだダイアモンドの需要はなくなりそうにない。

そのうちダイアモンドもスワロフスキーのクリスタルみたいになる日がくるのだろう。
埋蔵量も多く、更に人工も天然も区別がつかなくなるようになったら、誰もダイアモンド高価な価値を見出さなくなる。手頃なウィークデージュエリーとして展開されるのも近いと思う。

ブライダル前の人が見たら、ダイアモンドを買う意欲を削ぐドキュメンタリー。
ただ、資産家は無価値なものに大金をはたくことが出来るのを証明するために、買い続けるのだろう。アートと同じだ。だが、中間層以下の人々の消費意欲を削ぐには十分な内容だった。

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