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おばあちゃんは千の風になって

前回、私のおばあちゃんが河童を見た者としてテレビに出演した時の話を書きました。

この放送を見た数時間後に起きた不思議な出来事についても書きたいと思います。

夫と子供が寝静まった時間、私はジェラシックパークの続編映画を見ながらひとり台所で明日の朝用にコーヒー豆を挽いていました。
すると…
「あっははっははっ!」
突然、おなかを押すと鳴る赤ちゃんのぬいぐるみがひとりでに笑い出しました。
「!!」
びっくりしました。かなり強めに押さないと鳴らないはずなのに…最初は誤作動かなと思いました。映画の中の恐竜の足音で何かがずれたのかもしれないし、コーヒーミルの振動が伝わって動いたのかもしれません。
試しに恐る恐る近づいて、おなかを押してみましたがやっぱりかなり力をいれないと鳴りませんでした。

その時ふと思い出しました。おばあちゃんもこのぬいぐるみを持っていたことを。
全く同じではありませんが、どちらも母が同じお店で買ってくれたもので、かわいらしい顔つきからは想像できないくらいおかしな笑い声をあげるのが特徴のぬいぐるみです。ユニークな物が大好きなおばあちゃんの一番のお気に入りでもありました。
だとすると、おばあちゃんが鳴らしたんだろうか?

そうこう考えていると「あっははっははっ!」とまたぬいぐるみが笑い出しました。
「おばあちゃん?!」
今度は叫びました。もしおばあちゃんじゃなかったら怖いから、Yesと言ってほしかったのです。でもそれから赤ちゃん人形が笑うことはありませんでした。
夜の静けさの中に恐竜の鳴き声が響き渡るだけでした。

次の日、耐え切れずに実家の母に昨晩の不思議な出来事を電話で話しました。母はそんなに驚くでもなくあっさりと「おばあちゃんかもね」と言いました。というのも、昨晩その番組を見た親戚や知人からすでに不思議な体験談を聞かされていたのです。

ある人は普段テレビを見ないのに、なぜかテレビをつけたらおばあちゃんが映っていてびっくりしたと言い、またある人は番組を見た後、写真の中のおばあちゃんが微笑んでいたと言います。
どうやら人によってわかりやすい方法を選んで、思い出してくれた喜びを伝えようとしていたみたいです。

私は直感でおばあちゃんだからこんな器用なことができたのではないかと思いました。それを裏付けるかのようなことが本に書いてあったので引用させていただきます。

亡くなった人が昼間、目覚めている人間にメッセージを送ることは非常に困難です。中には幽霊の世界を利用して、電気を消したり、音を鳴らしたりする人もいますが、これは誰にでもできることではありません。

神様仏様とつながるための基本のき 桜井識子著 PHP研究所 224ページ

やっぱり、そうか。2回も現世のぬいぐるみを強く押して疲れただろうな…
ねぎらうと同時に「千の風になって」が頭の中に流れてきて、希望が湧いてきました。
おばあちゃんがなくなった時、私は慣れない子育てに身も心も弱り果てていて、お葬式に参列できませんでした。その一年後にはコロナ禍がやってきてお墓参りもできず、孫としてそのことを深く悔やんでいました。

でもこの出来事のお陰で気づきました。コロナ禍であっても、どんなに遠く離れていても、おばあちゃんは千の風になって会いに来てくれる。時間も空間も超えてどこへでも行ける。
もう悔やまない。その代わり河童のことは私が伝えていく。ばっちゃんの名に懸けて!

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