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【店づくり相談室 vol.12】エンタメと笑顔で診る店づくり



・アカデミー賞視覚効果賞

米映画界最大の祭典「第96回アカデミー賞の授賞式」が3月10日、米ハリウッドで開かれました。山崎貴監督の『ゴジラ-1・0(マイナスワン)』 が、ハリウッドの名だたる超大作を押さえて視覚効果賞を受賞するという日本映画史上初の快挙を成し遂げ、日本映画界は歓喜の笑顔に湧きかえりました。このアカデミー賞視覚効果賞は、革新的な特殊効果に挑み、CGやデジタル合成などの技術を秀逸に使った作品に与えられるものです。

過去の受賞作には、『アバター』や『マトリックス』『タイタニック』『E.T.』『スター・ウォーズ』など映画界の歴史を作った錚々たる作品が並びます。ハリウッドなら巨額の費用をかけるビジュアルエフェクト(VFX)を低予算で実現したことも話題となりました。日本のデジタルテクノロジーが世界で評価され、日本映画にもハリウッドへの挑戦権があることを実証してくれました。

・日本のエンタメ界は

日本のエンタメ関連企業は、世界的に競争力のある知的財産(IP)を持つことが海外投資家に評価され、東京株式市場での日経平均株価を押し上げる要因にもなっています。

その一方で、「音楽や映画、ドラマなどのエンターテインメント界で輝きを放つことで、投資が集まりクリエーターが潤う」という循環は未だ生みだせていません。
ジャニーズやAKB、吉本興業など日本の有力プレイヤーに欠けていたもの。

それは、デジタル戦略、人材育成、文化的多様性への対処ではないでしょうか。
これらにおいて、韓国は大きく先行しているように感じます。ITやDXへの対応とそれを支える政府の補助金政策、そして制作プロセスに手間をかけ練り上げること、アイデアや脚本への評価、多様性を持つチームビルディングなど日本には根本からのイノベーションが必要です。

・人気コンテンツ「お笑い」の壁

日本のエンタメで近年注目されているコンテンツが「お笑い」です。吉本興業ホールディングスは、1980年代末から海外、特にアジア展開に力を入れていますが、なかなか結果を出せない時代が続いているようです。
(英国で大ブレイクした<とにかく明るい安村>の「ドントウォーリー、アイムウェアリング」はありましたが・・)。

乗り越えなければならない壁は、今の日本のお笑い文化の本質です。吉本興業の主力商品であるボケとツッコミ「漫才」は戦前の寄席で開発され、80年代以降テレビ局などのマスメディアが全国に広めたものです。お笑い芸人の<チャド・マレーン>氏は、著書「世にも奇妙なニッポンのお笑い」(NHK出版新書)で「海外の笑いは肯定の文化だが日本は否定の文化」だと分析しています。

海外の芸人は1人で演じ解釈を客に委ね、2人での掛け合いも面白さを「足し算」でセリフを重ねます。
これに対して日本の漫才は、「常識人=観客」の代表であるツッコミがボケの言動を否定して笑いを生みます。これは、観客全員の価値観が同じであることが前提なので、日常生活や有名人のものまねなど身近な共通体験がネタになりがちです。
多種多様な経験や価値観の持ち主が混在する欧米や東南アジアで「バズる」ためには難しさがありそうです。

・日本発のコンテンツを世界へ

日本のアニメ産業市場規模は前年比7%増の2兆9277億円(2022年)で過去最高を更新しました。この10年間で倍増した計算です。
その約半分は、動画配信の普及によって近年急増した海外向けが占めます。

日本経団連は漫画・アニメ・ゲームなど日本発コンテンツの海外市場規模を2033年に2021年比で最大4倍強の20兆円へ引き上げる目標を打ち出しました。
達成すれば自動車輸出額(2023年:17兆円)を超えて、輸出額全体(2023年:約100兆円)の2割に及びます。

・日本のコンテンツ産業の課題

一世を風靡した漫画家・鳥山明氏の訃報に世界から追悼の言葉が集まるなど、コンテンツの宝庫として日本への注目度はさらに高まっています。

コンテンツ産業は人材が最大の資源です。
しかし、挑戦の機会やサポート環境、制作資金の不足などで優秀なクリエーターに十分な活躍の機会が与えられていません。

政府は日本発コンテンツを成長エンジンに位置付けています。今後、世界を舞台に産業としての基盤を固めるためには、異文化で育った人を相手に勝負するという覚悟が必要です。
クールジャパン政策は現状のコンテンツを世界に売り込むことを重視していますが、経験と情熱に頼った従来型ではなく、世界からヒト・モノ・カネが集まる仕組みづくりや作品の創造プロセスまでスピード感を持って変革することが必要です。

・文化的多様性に対応した店づくり

画像引用:PR TIMES

文化多様性を店づくりに落とし込んだ場合のポイントは、従来の常識で考えていた展開分類を打破することから始まります。
性別や年齢別などの「対象別分類」や使う場所・使い方・機能などの「用途別分類」、「アイテム別分類」などの展開分類をゼロベースで見直す必要があります。

さらに、消費者が製品開発を行う今の時代においては、マーケットインやプロダクトアウトといったモノ主体思考のマーケティングからサービス主体思考への転換が欠かせません。
そして、もう一つはプリミティブな空間とデジタルを掛け合わせた店舗設計です。

五感への訴求で顧客を惹きつけ、デジタルテクノロジーを使ってインサイトを見極める。さらに多言語対応デジタルPOPの活用で詳細を訴求し課題解決を行う。
日本人の販売員にはシャイな人が多く、語学力も総じて高いとは言えません。
商品のこだわりや特徴を正確に伝えるためには、デジタルを活用した店頭での適切な訴求も重要です。

コロナ禍以降に再開された国内外の様々な文化的な背景を持った人たちの交流は、地域によっては一層活発化して、多文化によるグラスルーツの交流が行われています。

さまざまな視点や価値観を受容し、千紫万紅と笑顔が溢れる店舗にするためには、販売員のモチベーションを向上させることが最優先です。
そのために解決すべき課題は何か。

店づくり相談室は、多様性の時代に「笑顔あふれる、ズキズキ・ワクワクの購買体験」を顧客に届けるための課題解決をいたします。


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