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話し上手は聞き上手、贈り上手はもらい上手

 パーティーや会合などの交流の場で、私たちはまず知っている人を探して集まりがちですが、外国の方は知らない人に話しかけて積極的に交流を広げようとします。ゴルフのクラブハウスでも、私たちは一緒にラウンドした人と食事をしますが、海外では、クラブメンバー全体との交流を優先するようです。ゴルフ発祥の地イギリスの紳士も、誰もが社交的なタイプでもないのでしょうが、名門セント・アンドリュースなどの支配人は、メンバー同士の交流を促し、コミュニケーションが円滑になるように席を勧めることで、クラブ全体のメンバーシップを高めることが重要な仕事になっているとの事です。

 余談ですが、世界最古(1552年開業)のこちらのコースでメンバーたちが18ホールを回ってからゆっくり食事を共にする時に、お酒をよく飲む人もいれば飲めない人もいるので、割り勘ではなく、自分の飲んだと思われる量に応じて、自分で判断して料金を帽子に入れていたそうです。「ハンディキャップ hand-in-cap」とはこの帽子が語源という説があります。

 「人生の豊かさは人間関係の豊かさで決まる」という話を聞いたことがあります。素晴らしい人々との出会いとそのコミュニケーションが、豊かな人生の鍵を握っていると私は感じています。せっかくの出会いがあっても、良いコミュニケーションがなければ関係性を育くむことはできません。コミュニケーションの原点は「聞く」ことから始まると言われています。相手を理解しないで一方的に話しても「共感」の関係性は生まれません。「聞き上手は話し上手」だと言われる所以です。


 贈答の世界も「贈り上手はもらい上手」と言えます。日本人はどうも「もらい下手」で喜びをうまく表現できません。「もらったことはどんどん人に話しなさい。あげたことは黙っていなさい。そうすると素敵な関係性が自然と集まってくる」と「贈り上手」のある先輩からアドバイスを頂いたことがあります。本当の「もらい上手」とは、感情を表現することだけでなく、頂いたモノゴトに込められている「贈り手」の気持ちをくみ取ることができる人です。「贈り手」の想いやメッセージと共に、「好み」「ライフスタイル」「ギフト観」など、それらを統合した「贈り手」のアイデンティティを感じることができる豊かな感性の持ち主が「もらい上手」と言えます。相手のアイデンティティをしっかり理解できれば、次により良く贈ることができるはずです。これが「もらい上手は贈り上手」の由来です。

 言い換えれば、「コミュニケーション上手はギフト上手」と言えます。ギフトでコミュニケーションの感性を磨き、人生をより豊かにできればと願っています。

一般社団法人ギフト研究所
代表理事 山田晴久


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