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今年もエンディング産業展へ行ってきました、のレポートです

〇はじめに

昨年も note で見学の報告をしましたエンディング産業展

今年も 8/20-22にかけて東京ビッグサイトで開催されたこちらの展示会に行ってきました。そこで感じたことや。気になった展示などについて、ご報告いさせていただきます

〇エンディング産業展とは?

エンディング産業展は、ヒトやペットのエンディング関わるあらゆるモノやサービスを展示するビジネスショーとして、毎年8月の後半に開催されてるイベントです。日本にはもう一つ「フューネラルビジネス展」というものが毎年6月に横浜で開催されています。ただこちらはより葬式業界寄り。それに対してエンディング産業展は、エンディング、に関係していれば何でもオッケー!!的な雰囲気のあるビジネスショーです

実際の展示も、棺、骨壺、仏壇・仏具、仏花、お線香。霊柩車、搬送車にペット用の移動式火葬車。花、ローソク、草履、お酒、その他返礼品。死に装束、納棺や死化粧。葬儀社や葬式会館、霊園ビジネス、お坊さんの派遣。これらの業務を支える業務システムや機械式納骨堂などの設備サービス。印刷会社、オーディオメーカー、陶器会社。塔婆や仏像、寺社仏閣の製造メーカー。これにデザインハウスや異業種から今後エンディングビジネスに参入される方々。さらには宗教法人までと、多種多様な方々が出展をされているイベントです

中には返礼品市場狙いのお米屋さん(正確には農協さん)の出展もあり。これには思わず会場で吹き出してしまいました(ゴメンナサイ)

それでも今年は、美坊主コンテストが無くなるなど。お祭り色はやや薄れ。より BtoB のビジネスを支援する場にシフトしつつあったようです

その他にも、会場で感じた今年の変化を挙げると

・お西さん(浄土真宗本願寺派)やその他の宗派の出展が無くなっていた
・ペットのエンディング関連の出展が増え、それだけでブースの一角を占めるようになってきた
・中国企業の出展が増えている。棺や葬式に用いるアイテムなど日本市場を狙ったものから、日本の葬儀サービスを中国に仲介する会社もあった
・デザインハウスやジュエリー、陶器メーカーなど、異業種や個人事業レベルの出展が徐々に増えてきた

などがありました。またアイテム系以外に目立ったのが「故人とのお別れ」や「グリーフケア」を意識したサービスの提案をされる方もいたことです

これまでの産業展は、葬儀の簡素化の流れに合わせ手元供養や家族葬など手間のかからない供養や弔い方法のアピールや。それを見越した仏壇や仏具。樹木葬やご遺骨から作るジュエリーなどの提案が目立っていたました。ですがそのちょっと手前、個人とのお別れという「儀式」や「弔い」に着目したサービスに多少、関心がシフトしつつあるのかもしれません

この辺りも、エンディングを単なるイベントとするのではなく。個人ときちんとお別れ(弔い)をするための大切な時間や空間と考える方々が増えつつあるのかな?と感じた次第です

次のパートでは、そうしたサービスや、気になったアイテムをご紹介させていただきます(順不同です)

〇気になる展示あれこれ

・文字が書けるお線香

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お線香作りをされているメーカーさんからの商品です。特殊なインクを使うことで、火を入れると灰に字が浮き上がるようになっています。すでに決まった字が入っているものと。任意の文字を入れられるものと用意されていました
灰に字が浮き上がるというアイデア、若い方々には受けるのではないかと思います

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株式会社丸叶むらた
〒363-0016 埼玉県桶川市寿1-11-10  TEL 048-773-1499
Http://www.marukanou.com

・水で光る絵馬&ロウソク

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絵馬の方はすでに、神社さんへ納入の実績があるそうですが、ロウソクの展示はサンプルでした。火を使わず、水で発行する素材(マグネシウム)を用いることで、ロウソクのように燃える(光る)状態を作り出してます
数日間は光がもちますよ、というお話でした
もともとは、LEDライトなどを製造するメーカーさんだそうです。こちらも面白いアイデアだと思いました

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株式会社リブライト
〒222-0033 横浜市港北区新横浜2-6-12 TEL 045-565-9606
http://live-light.co.jp/hikaruema.html

・棺に納めて火葬もできるみまもり観音様

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こちらの大人の手にすっぽり収まるほどの大きさの観音様。棺に一緒に収めて火葬をし。火葬後に取り出して後から拝むことが出来ますよ、と説明をされていました
観音様自体はセラミック製。火葬の際の熱に耐えられる作りになっており。収める際は専用の筒に入れてススや汚れが付かないようにすることも。そのまま入れて、敢えてそうしたものが付いても構わないようにすることも。どちらも出来るそうです
観音様の形を取ることで、死後も生者を見守ってくれる。グリーフケアやサポートの観点からも、面白いアイテムだと思います

YM工房
〒409-3867 山梨県中巨摩郡昭和町清水新居1176パティオ石原2F TEL 055-227-0336
http://ym-koubo.com/

・和紙で出来た骨壺(MIMI POD&HONE POD)

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昨年も空輪(くうりん)をご紹介した、和紙メーカーさんです
和紙で出来ており、土に入れると溶け、お骨もそのまま土に還すことが出来る点は同じ。昨年からの違いは色のバリエーションが増えてカラフルになったこと。ワンちゃん、ネコちゃん用にデザインされた HONE POD と MIMI POD がそれぞれ登場していたことでした
いずれの製品も、張り子の技術を用いているそうです
ご担当の方曰く、ネコは耳を付ければどのネコでもそれっぽく見えるのだけど。犬はスタイルがさまざまで…。それで、骨型に落ち着かれたとのこと
日々、努力を重ねられていることが伝わってきました
来年の出展も楽しみにしております

株式会社一千乃
〒370-0873 群馬県高崎市下豊岡町3番地 TEL 027-323-5222
https://www.ichino.co.jp/

・おくりことば

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火葬や樹木、海洋葬などにあたって故人に向けたメッセージをたむける。そうしたコンセプトのアイテムが今回いくつか出展されていました
こちらの「おくりことば」さんもそうしたアイテムの一つ。和紙で出来た紙とボックスがセットになっており。紙にメッセージをしたため。箱にメッセージを入れて棺へ一緒に収める。また箱を持って帰って、手元に置いておくのでも、どちらでもよい用いられ方を想定されているそうです。ペット型があるのは、ペット葬を意識されたものですね
こうしたアイデアは岩手県の大槌にある「風の電話」や、各地にある故人宛の手紙を投函できるポストなどとも通じるものがあると思います

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株式会社ハブデザイン
〒105-0013 東京都港区浜松町 2-2-15 浜松町ダイヤビル2F TEL 03-6695-5577
http://www.hub-design.co.jp/

また別のメーカーさんになりますが、水に溶ける紙にメッセージをしたため。それを海洋葬などの際に遺灰と一緒に海に流すアイテムとサービスをアピールされていた展示もありました

こうしたサービスやアイデアは今後も、さまざまな形で出てきそうです

・結びのセレモニー

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こちら「LeLien(ル・リアン)」と名付けられた、グリーフケアをより意識されたサービスの提案をされていました
故人にドライフラワーの花飾りをかけ。そこにオリーブの苗木の葉を添えていく。火葬後にそのオリーブの苗木を持ち帰り、故人を偲び、繋がりを育むアイテムとして育ててもらうというコンセプトを説明して下さいました
他で紹介するような直接ご遺骨や遺灰を収めるような形ではありませんが、ある意味、樹木葬本来の姿に近いアイデアかなとわたしには感じられました

株式会社リベルテ
〒984-0015 宮城県仙台市若林区卸町2-9-1
https://www.liberte311.com/

・ジュエリーメーカーさん提供の骨壺(Lien)

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仏教のピン芸人ことみほとけさんが、「これ浮いてるっ!!」とツィートされていた骨壺。実際には、浮いてません笑
またよく読み返してみたら、こちらのアイテムの名前も「リアン(Lien)」ですね。「絆」を意味するフランス語です
担当の方のお話によれば、ジュエリーを加工する技術で彩色と飾付けを行っているそうです。もともとは下の写真いある小ぶりのサイズしかなかったそうですが。大型のペットのお骨を入れたいという要望から、上の写真の大きめのサイズのものを作ることになったそうです
ただこちらの業者さんも、骨壺に入れるための粉骨が課題で、というお話をされていました。骨壺を用意しても、そのサイズに収めるための粉骨を行う場が無いというお話。今回何度か会話に出ました

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株式会社ティアラ
〒176-0012 東京都練馬区豊玉北4-20-3 TEL 0120-23-8810
https://tiara-tokyo.co.jp/

・猫(にゃん)ブッダ

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曼荼羅のガンダムを展示されていた先です。猫(にゃん)で各ブッダを表現するという可愛らしく面白い展示でした。こちらは仏像などの製造メーカーさんになります

・シニア男性向けの死化粧用ファンデーション

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こうしたシニア向けを謳った製品は、これまで、なかったそうです
もともと死化粧は海外で発展してきました。このため、当初は海外製の化粧品を使っていたと聞いています。それが日本でも少しづつ施行が増えていき、わたし達の肌に合うものが求められてきているそうです
死化粧のデモ自体も珍しくなくなっており。今後はこうした細かな需要に応じるアイテムが増えていくのだろうと思います

・移動葬祭車

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ペットの火葬装置を積んだ車はありましたが、移動式の葬祭場というのは今回初めて見ました。トラックの荷台を改造したような形で、10人程の方が中に入れるそうです。冷暖房も完備とのこと
このアイデア、移動が困難な方の元にも出向いてお葬儀や法要が出来るという点で、今後意外と需要があるかもしれないと感じました

・手元供養のできる樹木葬

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小さな鉢植えの中に遺骨を納める場所があり、手元供養の形で樹木葬が出来ます、というアイテムです。ご遺骨は、カプセルに入れて土の中に収めるのでも。土に混ぜるのでもどちらでもOKというお話でした
植物との組み合わせで供養するというアイテム。この他にもいくつかありましたが、こちらは遺灰などからダイアモンドを作るジュエリーメーカーさんのご提案です

・持ち運べる位牌

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持ち運べる○○も、昨年あたりから見かけるようになりました。故人となった後も一緒にいたい。出かけたいと思う方が少なからずいるのですね
ちなみに写真が入る場所の下にある窪みには、カプセルに入れた遺灰を収められるようになっていました。手元供養とどこへでも持ち運べるという二つの願いを一度に叶えられるアイテムと言えそうです

・ガラス製のおりん

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おりん、というと金属で、お椀のような形を思い浮かべます。ですがこちらはガラスで作られた棒状のおりんです。写真だとちょっと形が分かりにくいですね
でも、とてもキレイな音色でした
また某の叩く位置により、音色が異なるようになっています。こうしたおりんも、とても素敵だなと思いました

・コハコ(コミュニケーションする仏壇)

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イベントの開始前より、お坊さま界隈で話題になっていた「仏壇」です。この仏壇の課題はズバリ
これに手を合わせられる人がいるのか?
だと思います。ちなみに来場された方の反応の上々だったとのこと
こちらを仏壇と観るのかどうかはひとにより様々ではないかと思います。一方で既存の仏壇の扱いに苦慮されている方がいるのも事実。こうした仏壇や仏具のアイデアは、今後も出てきそうですね

以上が、今回のご紹介サービス&アイテムです。気になるもの、メーカーさんや会社さんがありましたら、ぜひコンタクトを取られてみて下さい

〇まとめ

今回の見学時間は2時間ほどでしたが、時間が全く足りませんでした。そのため駆け足での見学にもなり、お話を聞くのを諦めたサービスやアイテムもありました。少なくともあと1時間は見学に必要だと思った次第です

それだけ、出展される方々も増えてきているのだと思います

また今回の特徴は、グリーフケアやサポートを提供される側も意識したものが目立ってきたことです。こうしたことを意識したアイデアは、みなさん口にはされるものの、残念ながら既存の業者さんのものに対して惹かれることはほとんどなく。むしろ異業種の方々からやはり出てくるものの方が、より本質に近づいているものが多いと、いろいろな展示を観ながら感じました

正直、既存業者さんが提供するアイデアには「あざとさ」が見え隠れします

せっかくのエンディング産業なのですから、既存の延長線上にあるサービスではなく。個々のひとやご遺族の経験や想いに根差したサービスやサポート、そしてアイデアを形にしたものがやはり、出て来て欲しいものです。今回はそうしたサービスにいくつか出会えたことが収穫だったと思います

なお、来年のエンディング産業展はオリンピック開催の関係で10月開催となります。次回はもう少しじっくりと見学し。お話も伺い、レポートも出来ればと思います

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました


デス・カフェ@東京主催。ヒトやペットの区別をしない、死別・喪失のサポート、グリーフケアのお話をしています