2023年1月読書記録(暫定版)
①市毛暁雪『ブラジル詩情』(移民問題研究会、1938年)@愛媛県立図書館(NDLで読める)
・「櫻」と、実業家フランシスコ・マタラゾ(カウント・フランチェスコ・マタラゾ)との会談と逝去についての「盛なる死」が面白かった。
・移民問題研究会は東京都麹町霞ヶ関2丁目2番地の1にあるらしい。
・画家のLange de Morretes は親日家らしい。
・エメボイ実習場の校歌を作ったらしい。
②阿部誠文『朝鮮俳壇』上・下(花書院、2002年)@愛媛県立図書館(NDLのマイリストに追加した)
・流し読みをして面白かった。ただし、前島先生の「俳人の人は結社単位で俳句を捉えすぎ」というのも少しちらついた。でも阿部氏は俳壇に知られていない人こそ取り上げているとは思う。特に上巻の「はじめに」はブラジル俳句を述べる上で活用できるところもあり、でもやはりアジアのなかの日本を述べる阿部氏の研究のための言葉たちだと思った。あと、やっぱり俳文の本を出す際は、書きおろしより、毎号雑誌で行う定期的な発表の方が現実的だし、(数年以内に働き始める)私には適切だと思った。句集も一気に書くようなことしないものね。あと俳句雑誌・新聞にはずっと地名があると思っていたけれど、「大正初期の「ホトトギス」雑詠は、投句地の明示がなく、作者名も俳号だけであった」[8]とあり、びっくりした。
③荒井良二『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』(NHK出版、2019年)→いつも通りの駿馬あさやけと男の子が作る今日という日の特別さが素敵でした。
④『くまとやまねこ』(河出書房新社、2008年)→いきなりくまの友人のことりの死から物語が始まるの新しすぎて辛い。綺麗な箱にことりを入れて持ち運ぶの、健気だと思う一方で、「やっぱり少しずつ肉が傷むのかな」とか「森の皆はびっくりしただろうな」とか、くまの行為を凄くグロテスクに感じてしまって、そんな自分に落ち込みました笑。どなたかお医者さんのインタビューで、「人々が死と向き合う時間が減っていて、遠いものになっている」と話していました。確かに自宅で死を迎える人は少ないですし、ご遺体は然るべき手続きで早く火葬されなくてはなりません。焼き上がるまでも本当に早くてこの前びっくりしました。
⑤『死に至る病』
⑥浅見克彦『愛する人を所有するということ』(青弓社、)
Wくんと遊んだときに、待ち合わせまでの時間で吉祥寺の古本屋「百年」で買いました。
⑦サイード『知識人とは何か』
⑦高島鈴『布団の中から蜂起せよ』(人文書院、)
面白かったです。借りたのですが買いました。逃げない文章に凄い元気をもらったし、同時にしょうもない自分に落ち込む。どこまでが私の責任で、どこまでが社会の責任なんだろうとか思ってしまう。全部自己責任だと思って自分を追い詰めた方が上手くいくようにこの世の中は出来ていると思ってしまう。大学図書館で四人の先約があって、返したときも三人の予約が控えていた。
⑧石塚友二編『文人俳句歳時記』(昭和44年4月25日発行、生活文化社)
斜め読みです。一部スキャン済。佐藤文香さんが天の川銀河で三村凌霄さんの俳句を「余技としての俳句」(褒)と評していたのだけれど、石塚友二編の『文人歳時記』にも「余技としての俳句」という言葉が何回も出てきて、リンクしました。
⑨レポートで柳宗悦を斜め読み。(ちゃんと読んで書け……)
⑩太宰治「美男子と煙草」
Oくんに教えてもらった小説読みました。
上野に行った翌日に読むと思うもあるな。上野や新宿や渋谷の再開発で存在ごと抹消されようとしているのだ。渋谷の「三井のすずちゃん」キャンペーンとかも、再開発の肯定だよな。
↑⑪
⑫小田島渚『羽化の街』
のびのびとした大きな句が多くて素敵。句の構造や助詞に技巧を光らせようとしてないのも関係があるかも(上から下に読める句や、取り合わせなどシンプル)。でも大きな句と同じくらい、実は手元のものを詠んだ句も素敵で、たくさん付箋を貼った。謹呈くださり、ありがとうございました。
⑬『小熊座』の結社誌を2022年4~2023年1月まで読んだ。最近(というかここ一年)届いていないことにすら気が付いていなかったの、いい加減すぎる……。前住所の方が取っておいてくださって超感謝です。会員の皆様の雑詠欄に加え、時評欄で特に勉強させていただいています。