ウクライナの戦争(1)ロシアもウクライナも、しくじったのではないか

 自慢じゃ無いが、筆者は戦争は得意である。
 というのは、もちろん嘘だ。これまでの記事から分かる通り、先の大戦頃の歴史を少々研究しているだけで、それ以外は全く疎い。

 ということを一応お断りして、記事を書いてみる。西暦2022年2月24日にロシアはウクライナに侵攻したわけだが、それについて。素人考えを書いてもしょうがないと思っていたのだが、やっぱり書くだけは書いておこうと。


 それで最初に言いたいのは、そもそも国家対国家の戦争は、個人対個人の喧嘩とはまったく違う。だから、交渉解決なんか簡単にできるわけが無い、という、当たり前の話。

 戦争と言っても様々で、本当は一概には言えない。
 なのだが、大体にして戦争は、それが始まる前にじっくり外交交渉が行われる。
 例えば太平洋戦争だと、日米交渉は1941年4月から12月まで行われ、それは非常に複雑な紆余曲折を辿り、最終的にそれが決裂して戦争になった。
 これに対して個人対個人の喧嘩の場合、八ヶ月も話し合いを重ねてから殴り合いを始める人間なんて、いるわけ無いよね?

 そして戦争開始後、ただし太平洋戦争では全く行われなかったが、普通は事態を収拾するための交渉が改めて始められる。
 なのだが、開戦前にさんざん手間を掛けてそれでも決裂したものが、簡単に妥結するわけがないよね? そんなこと有り得ないよね? という話。


 そのように、戦争を交渉で解決することは、そうできるくらいなら最初から戦争は始まっていないのだから、難しいに決まっている。

 そして今回、ロシアはウクライナに無理難題を、少なくともウクライナにとってはそうである事を、押しつけようとしている。だから、ただでさえ難しい交渉が、ますますこじれてしまう。

 そしてそれは、根本的にロシアの戦略が間違っているからでもあると筆者的には思う。
 つまり、そういう横車を押し通そうとするならば、最初からウクライナを完全打倒するつもりで、そうできるだけの大軍を準備した上で、かかるべきだった。
 それならば話は単純だった。

 ところが、ロシアはそうしようとせず、たった15万人の軍しか動員しなかった。ウクライナは人口四千万人で、それに対するには一桁足りない。
 それはすなわち、ウクライナにとっても、少なくとも直ちには、ロシアに屈服すべき状況では無い、ということになる。


 また、そのようなロシア軍の過小さが、ウクライナの判断を誤らせた可能性があると思う。「このように少ない軍しか動員しないということは、はったりだ。ロシアは戦争する気は無い」と。

 逆に言えば、もしロシアが最初から百万人、二百万人の軍を動員していれば、あるいはウクライナは戦わずして屈していた。

 この意味においても、ロシアは戦略を誤ったと筆者的には思う。最終的にはロシアが勝つとしても、勝ち方というものがあるはずだ。悪行を働くにしても、やり方はあるはずだ。無駄な血を流すべきでは無い。


 そして、とにかく戦争は始まってしまった。

 そしてやはり、簡単には戦争は終わらない。
 ロシアにウクライナを打倒する意思は無い以上、および第三国の介入は有り得ない以上、結末は両国がなんらかの合意に達しての終戦あるいは停戦しかない。
 開戦後にロシアとウクライナで数回の停戦交渉が行われ、2022年3月29日にはトルコで交渉が行われたが、それも簡単にまとまるわけが無い。当たり前で、そうなるくらいなら、戦争は初めから回避出来ている。

 けれども、ロシアとウクライナの双方にとって、戦闘が長引くのは得策では無い。長引くほど、ウクライナの国民には大きな犠牲が出る。ロシア軍も、開戦から一ヶ月で1万人の人的損害を出している。

 なので、双方に停戦したい理由がある。だから、戦闘はそれほど長くは続かないと、筆者的には思う。分からないけどね。


 ロシアが生物化学兵器あるいは核兵器を使うかもしれないという危惧も広がっていたわけだが、筆者的にはそれには同意しない。
 つまり、ロシアも適当なところで停戦したいわけで、核兵器や生物兵器や化学兵器の使用は、それに対する非常な妨げになる。だから使うわけが無い、ということ。
 同様の理由で、ロシアはキエフ攻略もしない。といいますか、最初からそんな意思は無く、それはポーズに過ぎなかった。というのが、素人考えだが筆者的な意見。


 そして両国の停戦だが、暫定的に現状を追認するものであり、おそらく、たぶんにロシアの要求をウクライナが受け入れる形になる。
 つまり、事実上ロシアがウクライナ東部と南部を支配することを認めるものであり、当面はウクライナはNATO加盟はしないというものになる。最終的なものでは無く、暫定的なものではあるが。

 そしてそれは、一応、ロシアの勝利ではある。
 ロシアが、諸外国からの経済制裁を代償に、ウクライナに対する目的は達成した、という意味で。

 これは小国の悲哀だろう。一般に小国は大国には絶対に勝てない。非常な幸運に恵まれれば別だが、今回はそうならなかった。


 そしてこれ、ではウクライナは何のために戦争したのか?なんのために国民に大きな犠牲を出し、国土を荒廃させたのか?という話にもなる。どのみちロシアに屈するのなら、もっと賢くそうすべきだったのではないか?という話。
 およびロシアも、戦争までしなくても、もっと巧くやれていたのではないか?という話にも。


 以上、ただしあくまで素人考えで、単に筆者的にはそうじゃないかな?と思う、という話。




追記(2022年4月10日)

 筆者は現在の情勢には全く疎いのだが、なんでも今のロシア軍は、全軍で92万人しかいないそうで。
 それでも軍事大国には違いないが、しかしそれしかないならロシアがウクライナを打倒するのは不可能。

 また2022年4月にロシア軍がが行った虐殺が明らかになり、これでウクライナがロシアに屈するわけにはいかなくなった。この先、恐らく停戦合意に至ることは無い。

 かといって、ロシアとウクライナの双方にとって、その損害は耐えがたいため、いつまでも戦闘を続けることも出来ない。

 となれば、ロシアがウクライナの南部と東部を占領した状態で、一方的に「作戦の目的は達成された」「必要が無い限り攻撃はしない」と宣言し、戦争は終了しないが事実上の停戦となり、後の戦いは政治へと移行していくのではなかろうか?と筆者的には予想する。素人考えだけど。



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