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クリスマスをやり過ごすための極私的プレイリスト

私:おはようございまー…さ、さぶっ。

紀伊國屋さん(以下”紀”):おはよー、そっちも忙しいのにまたヘルプを頼んでスマンね。

私:いやそれはいいんですが、なんでこのボロ事務所こんなに寒いんですか?

紀:冬、だからじゃないかな。

私:ダメだ、このひと相変わらずだ…
私が夏にここに来たときに新しいエアコンつけたんでしょ?
なんで暖房入れないんですか?

紀:あん時買ったエアコン、冷房機能しかないヤツだった。

私:バカかあなたは。
業界の若き巨匠とまでいわれてる人物なのに、どうして基本性能が幼稚園児並みなのよ。

紀:暖房器具はあるよ、ほら。

じんわり遠赤外線

紀:オレの田舎から送ってもらった姥目樫うばめがしの備長炭を使ってるからあったかいぞ〜。

私:…風邪ひかないうちにさっさと仕事終わらせてさっさと帰ろう。

——暫時、労働に集中

紀:しかしもう師走だもんな、早いよなー。

私:そうですね(息が白い)。

紀:もうじきクリスマスだし、楽しみだね!

私:ホントに幼稚園児かこのひと。
私は別にクリスマスとか関係ないスから。

紀:お前また今年もぼっちクリスマスか…

私:ほっといてください。
プライバシーに関わるお話にはおつき合いできません。

紀:どうせスマホにクリスマス・ソングとか集めて寂しく聴いてるんだろ?

私:ギクッ

紀:あまりに不憫だから、ここで曲流してていいぞ…


♪ ”I Want To Come Home For Christmas”  by Marvin Gaye

私:Gayeさんの死後、1990年になって発表されたこの曲は、もうホリデー・ソングのクラシックと言っても過言ではないですね。
戦争が終わらない世界に向けて語りかけるGayeさんの暖かい歌声が染みわたります。

紀:1972年の録音か、ヴェトナム戦争の末期だったんだね。


♪ ”This Christmas”  by Donny Hathaway & Lalah Hathaway

私:Donny Hathawayさんの”This Christmas”もド定番ですが、昨年素晴らしい新ヴァージョンが発表されました。
Lalah Hathawayさんがお父さんのデモ録音のヴォーカルとヴァーチャル・デュエットしたものです。

紀:お父さんのオリジナルを聴いた上だとなおいいなぁ。


♪ ”I Can Hardly Wait 'Til Christmas”  by The O'Jays

私:昨年のツアーを最後に引退を表明した大ヴェテラン・グループの優しいバラードも、この季節を盛り上げてくれます。
これぞブラック・コンテンポラリーって感じ。

紀:お前の好きなフィリー・サウンドの名グループだろ、残念だね。


♪ ”Christmas in New York”  by José James

私:私が追いかけ続けているヴォーカリストのひとり、José Jamesさんの他に得がたい歌声と腕っこきのミュージシャンのプレイがホントに素晴らしいです。

紀:この曲が入ったアルバム、古き良きジャズを想い出させつつ録音もプロダクトもきめ細かく作られてて、シーズン・ソング集の枠を越えてすごくいいね。


♪ ”Christmas wrapping”  by Kylie Minogue

私:あのNick Caveさんの女神ミューズだったという事実だけで、好きにならずにはいられないモンスター・アイドル。
曲はThe Waitressesの1981年のヒット・ナンバーです。
映像は2015年のロイヤル・アルバート・ホールでのライヴだから、この時Minogueさん、47歳ですよ。
てことはウチの母親とほぼ同年代だ…

紀:尊敬に値するプロフェッショナリズム。
フルバンドの演奏もゴージャスだね。


♪ ”This Christmas”  by Oh Wonder

私:先のDonny Hathawayさんのとは同名異曲、話題のデュオの静謐なホリデー・ソング。
寂しいクリスマスを過ごす(私のような)ひとたちへの優しい慰めになり得る、とっても良い曲です(涙)

紀:うははは、ずいぶんと身につまされてるようだな(嬉)


♪ ”Santa's Coming For Us”  by Sia

私:オーストラリアのポップ・スターSiaさんのクリスマス・アルバムから、楽しくもひと捻りしたオリジナル曲を。
レトロ感あふれるMVにはKristen BellさんやJ.B. Smooveさんなども出演しています。

紀:コケティッシュというか、なんだか魅力のある声だね。


♪ ”Funky Christmas”  by TOO MANY ZOOZ

私:ユニオン・スクェア駅での路上ライヴに大勢の通行人が足を止めて、構内がパニックになってしまったという伝説を持つNYのブラス&ドラムズトリオが、バウンスのスターBig Freediaさんを迎えて威勢良くぶっ放してくれます。

紀:オレこういうザラザラした手触りのブラスも好きよ。


♪ ”Christmas Time Is Here”  by Khruangbin

私:Khruangbin、大好き(2回目)。
Fuzzytown/Zachariah OHoraさんが描いためちゃくちゃキュートなイラストが曲と相俟って、この上なく和んでしまいます。
50年以上前のアニメ、「チャーリー・ブラウンのクリスマス」のために作られた名スタンダードを彼らの演奏で聴けるのは幸せです。

紀:このひとたち、だんだん演奏が上手くなってない?


私:ん…?なんだかとってもいい匂いがしてきた。

紀:焼き鳥ができたよ。
曲を聴いてる間に備長炭でじっくり焼いたから美味いぞ〜。

私:おぉーありがとうございます!
…って、あんたが股火鉢してたその下で焼いたんかい!


Top image : Geralt, Thank you for letting me borrow your wonderful work.


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