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娘の被り物

小さい頃は帽子が嫌いで、帽子を被せようとしてもすぐに嫌がって取ってしまった娘。夏場、外に行くときには、日差しから守るために、どうしても帽子を被せたかったので、よく格闘をしたものだった。その際、「帽子よく似合うね〜」「かわいいよ!」と娘のテンションが上がる声がけを多用して、何とか被せることができるようになった。

そして、今、娘は帽子が大好きになった。
帽子を自分でさっと被って、ポージングまで取ってくれる。
(カメラで写真に収めるように強要までしてくれる。かわいいものだ。)

帽子が好きすぎて、気づけば息子にまで帽子を無理やり被せようとしている。まだ、息子にはうまく被せることができないのだが。

そんな帽子が好きになった娘なのだが、最近は帽子だけに限らず、さまざまな物を被るようになった。ビニール袋などの袋類、少し大きめな布、自分のズボンなど。被れるものはとにかく被って楽しんでいる。視界が変わって見えることを楽しんでいるのだろう。

微笑ましくもあり、いつも笑って見ていた娘の行動。最近は、洗濯が終わった山の中から、被るものを見つけ出しては試行錯誤するようになる。
だが、ある日とんでもないものを被るようになって、私の表情は青ざめる。
「そんなものを被るなんて、やめてくれ!」
私は娘の奇行を止めるために声をかけた。

なんと、娘が被ろうとしたものは洗濯物を取り入れた中に潜んでいた、
私の下着(トランクス)だったのだ。

おいおい、勘弁してくれよ。
いくら娘が愛らしいといえど、おじさん(私)の下着を被っているのは問題ありだ。女性版変態仮面とでも言うべきか。

さすがに寛大な私でも、ここは止めなければならない。
2歳の娘に自分の下着を被せているなんて変な誤解を生みかねない。
私は下着を返してもらおうと娘を追いかける。すると、娘は追いかけられることが嬉しくて逃げ回る。さながら、私は下着泥棒を追いかけ回す警察官のようだ。

最近は私の言葉を真似する娘。
私が「待てー!」と言うと、同じように娘は「待てー!待てー!」と叫びながら、逃げ始める。我が家の中でコントでもやっているのか。

最終的に、娘は足を滑らして転んでしまい、頭を床に打ちつけて大泣きする。
娘「うわー!痛いよー!」

え、これって私が悪いのかな?そんな罪悪感が私の心の中に芽生える。
とりあえず、娘を抱きかかえ、泣くのをおさめてから、下着をそっと取り返すことに成功した。

世の中には因果応報という言葉がある。
悪い行いをしていれば、悪い報いが返ってくる。
今回の出来事を通して、娘が反省して二度と私の下着を被ることがないことを祈る。

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