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山日記:白馬岳(和泉会)

2003年8月1日(金) 明日は白馬岳へ

 所属しているハイキングクラブで、明日から2泊3日で白馬岳に登ってきます。
 朝、チャーターした小型バスで出発。栂池のペンションに泊まり、明後日早朝のゴンドラで栂池自然園まで。そこから、コースタイム通りなら、山頂小屋には午後の3時には着く予定ですが、14人の中高年ハイカーですから、おそらく5時に着けばいいでしょうね。
 山頂の小屋に泊まって、明々後日は、大雪渓を下って猿倉に下ります。そこからバスで帰阪。
 若干の不安が胸をよぎります。誰もバテなければいいが…。
 このコースを歩いたのは、15年前に家族で、てつろうもすばるも小学生だった。その後、会社の若い女性と10月に登った、その時、上は雪、下は雨でたいへんだった。
 今回も、人数だけにどんなハプニングが起こるやら…。コースを知っているのは私だけなので、おのずとコースリーダーをかってでざるを得ないわけですから、ずっと気が重かったのです。それに、神経をすり減らす日々と、準備もまったくする時間もない有様ですから、正直、一回登ってるし…。もういいねんけどなぁ~。なんて調子でした。
 でも、ザックをパッキングをするうち、だんだん気持ちが高揚してきました。
あー、明日、明後日は、あの雄大な北アルプスの山々に抱かれているんだなぁ~。雲が沸き立つあの空の下にいるんだなぁ~。百花繚乱のお花畑、そこを行くんだ~。恋焦がれた人に会いに行くような胸がきゅんとなるぐらい懐かしい感覚がよみがえります。
 明日からは山女ゆうすげに帰ります。そして、溜まっているものをリセット!してきますね。山行報告お楽しみに!

2003年8月4日(月) 白馬大雪渓を下る 

 4時起床。体調は万全!全く筋肉痛も、夕べあった違和感もない!パッキングを済ませて朝食に並ぶ。その前に急いでご来光を!残念だけど、雲が厚く、見事とはいかなかったけれど、雲海に浮かび上がる剣・立山、槍・穂高、南アルプス、富士山、八ヶ岳と静かな朝の始まりは荘厳で命の始まりを感じさせます。
 出発前、宮内先生とおっしゃる方と記念撮影。来週NHKに出演する山の先生だそうです。見なくっちゃ!
 (6:00)出発。快晴!雪渓の手前までは、全山がお花畑!百花繚乱の世界!
遅い夏の訪れに、晩春の花、初夏の花、当たり前なら、山では今頃は夏も終わりの花と、一気に息吹いたかのような咲き方ですから、もう堪りません!
 一体何種類の花が咲くのでしょうか?こんなに多くの種類を見たのは始めてかも・・・。
 お花畑避難小屋で美味しい雪渓の水に顔をつけてワイルドに飲む。甘露!。
 大雪渓に(8:30)アイゼンを装着して取り付く。登ってくる人に道を空け続けで、稼げない。途中、あわや落石に襲われるかとヒヤっとしたりもしたが、1本休憩をして、何とか白馬尻の小屋までたどり着く。(9:45)
 後は、林道を1時間、耐えに耐えながらバスが待っている猿倉まで。(11:00)着。かき氷の美味しいこと・・・。
 八方の塩の温泉に浸かり、あせを流して、ビールで乾杯!美味しいおそばで舌鼓!
 バスではスケッチを仕上げたり、反省したり、お花を調べたりしながらなかもずに9時過ぎに帰ってきました。
 白馬岳のピークはすでに踏んでいるので、もっと他の処に登りたいと思ったものですが、梅雨明けの次の日に入山するなんていうタイミングのよさ!天候は最高!お花は最高!仲間も最高!
 コースリーダーとしての緊張感がかえってよかったのでしょうか、体も軽くて・・・。いい勉強をさせていただきました。
 皆さんありがとうございました。

2003年8月2日(土) 和泉の山から白馬へ~永久の若人和泉会♪

 午前9時なかもず集合。小型バスをチャーター。途中、守口、茨木からも合流。総勢14人のれっきとした中高年登山隊。
 クーラーからは、缶ビール、チューハイ、ウイスキー、梅酒、カボス酒、冷酒と、欠席する会員からの差し入れ等で溢れかえっている有さまには、・・・だな!早速、朝からビールですかー!
 渋滞の中、事務局長からの挨拶に続いてコースリーダーとしてコースの説明。とにかく、早発ち、早着きを心がけたいこと、パーテーを2分割することなどをお話する。偉そうに言ってるけど、大丈夫かな?この私!
 車中、我慢したビールをお昼のお弁当とともにいただく。山さんのきゅうりの醤油漬け、Qチャンのしいたけの煮しめ、明石のたこのわさび漬けとあても豊富で、格別の味。
 お腹こなしに、用意した山の歌集で全曲をみんなで合唱!あーシンド!でも楽しい時間でした。チャーターバスなればこそ・・・。

和泉会讃歌(替え歌)作kissako 
一、 楽勝でいけると調子よく 言われただけで来てみれば 
     足は上らず 荷は重く 景色なんぞは夢のうち♪ 
二、 チーフリ-ダーはおじさんで サブリーダーもおばさんで
     あとの会員も中高年 それでも鍛えてまだいくぞ♪ 
三、 いつでもお山ではごきげんさん アフターハイクも完璧で
     ところが3日後筋肉痛 これさえなければもっといい♪
四、 腰痛、ひざ痛、五十肩 いつでも上りは青息吐息
     それでも晴れ晴れノー天気 どこでも宴会和泉会♪
五、 樹氷輝く金剛山 つつじ燃え立つ葛城山
     和泉の山から白馬へ 永久の若人和泉会♪

 結局、渋滞に巻き込まれ栂池のペンションに着いたのは午後6時でした。明日のことを考え、食事の時、ビールは1本ずつ!温泉は露天風呂!星も出ていない真っ暗な空!明日は天気の予報だが・・・。早々に就寝。

2003年8月3日(日) モルゲンロートの白馬岳

 朝4時に目が覚める。5時に起床。6時半始発のゴンドラとロープウエイを乗り継いで、快晴の栂池自然園へ。(標高1900m)大町市民登山の方々と一緒。ゴンドラで大町の若者と展望の山々を見ながら話す。「毎日山ばっかり見てると飽きる」って!なんて羨ましい!
 これから登ろうとしたら、早速ハプニング発生!山さんがいない!探してもいないし、後ろはないので、合流を約して、二班に分けて(7:20)先発する。きっと別の団体についていってしまったに違いない!追いつこうとピッチをあげるが追いつかない。山さんも、置いていかれたと思って追いかけているだろうから余計追いつけない。早く気付いてよー!
 あーいたっ!発見と同時に携帯が入る。山さん、途中に一緒になったご夫妻に携帯をお借りして連絡をいれていたのだ。やはり携帯は必要と思い知ったことでした。「お願い!みんな、団体行動よろしくね。これから3000Mに挑戦するのだから緊張感持ってね!」ほんまにだいじょうぶやろか~。
 樹林帯をジグザグの急登、途中の水場で休憩、後発隊と合流。やっと全員揃う!しばらくは急登が続き、やがて木道に出る。天狗原だ。視界が開ける。
 白馬三山が見渡せる湿原着。(9:00)湿原は高山植物の宝庫、チングルマ、ワタスゲ、イワイチョウ、ヒオウギアヤメ、オタカラコウ、マイズルソウ、コイワカガミ、チシマキキョウ、コケモモ・・・。ワタスゲが風に一せいになびいている。
 乗鞍岳の登り、ここが今日一番のシンドイ登り!再びハプニング!事務局長、ここで体調が悪く、1人下山。他の人もバテかけている!ガンバ! 
 やがて、雪田をトラバース。みんなコワゴワ!初めての雪渓歩きだものね。だいじょうぶ!楽しいでしょ!スプーンカットで気持ちいいでしょ。時間があれば、ここで、雪渓の歩き方の練習とかしたかったのだけど・・・。そうもしていられない。先を急ごう!
 雪田を渡ったら、乗鞍岳(2436.7m)の平たい山頂はすぐそこ!(10:40)着。大きなケルンの前で記念撮影。
 白馬大池が見渡せる。午前の目的地は大池のテントサイト。昼食場所です。安山岩のゴロゴロの道。苦手な人には耐えがたい道。そこに見えてもなかなか着かないものです。陽が射すと水の色がエメラルドに輝く山上湖に(11:30)着。
 ハクサンコザクラ、ミヤマキンバイ、キジムシロが群生するお花畑で、1時間、ゆっくりと昼食を取る。コーヒーを沸かしている間に、デジカメで花を取りまくる。目の前では、信州大の学生が1.3kのスイカを3人で食べている。さすが苦労して食べている姿には、思わずほころぶ。
 (12:30)出発。小蓮華岳(14:30)着。縦走路はお花が咲き乱れている。コマクサ、ミヤマナデシコ、ミヤマアジマギク、ウスユキソウ、チシマキキョウ数え上げられない。2時間のシンドイ登り、ガスのせいで展望はきかないが、充分に慰められる。特にコマクサがびっしりと斜面を埋めて圧巻。嬉しくって、気がおかしくなりそうです。
 メンバーはかなり疲れてきている。もう一歩が効かない!勝手に休憩を入れ始める。これだから・・・。仕方がないか!って感じです。もう少しなんだけどな・・・。
 三国境(15:15)着。いよいよメンバーのうち数人はバテ始める。もう一息。後1時間の上りがきつく圧し掛かる。
 ここで、またハプニング。リーダーの足が動いていない。5歩、歩くと止まってしまう。ヤバイ!とっさの判断で、元気な男性三人に先行をお願いし、荷を取りに来ていただくことにする。騙し騙し行くうちに、(4:30)に待望の白馬岳(2932.2m)頂上着。やったね!皆さん!
 ガスが下からドンドン湧いてきて、斜めから夕陽が差し込んでくる。こういうときには、ブロッケン現象があるのですよね。あーあるある!ガスのスクリーンに自分の影が映るのです。しかも体の周りは虹の輪がかかって、観音さまになった気分(笑)。ラッキーです。初めてのアルプスでこういう体験ができる人はしあわせものですよ。間単に出会えるものではありませんから・・。偶然に条件が揃った場合のみですから・・・。ラッキーです。
 山頂で感動の記念撮影!山小屋には5時着。山小屋の特別室を予約してあったので?吃驚するほどの素晴らしいお部屋でした。
 お食事中に、ガスで駄目だろうと思い込んでいたのですが、モルゲンロートに空が燃えていきます。食事もそこそこに飛び出しました。
真っ赤に燃えるように静かに陽が落ちていきます。誰かがたて笛で、「コンドルは飛んでいく」を吹き始めました。忘れられないモルゲンロート・・・。人目がなければ泣いていたかもしれません! 
 日記を打っていても、笛の音が耳に残っていて、真っ赤に染まる自分がディティールになっていく。自然に目が潤んできます。おかしいですね・・・。
 山小屋の夜は、興奮しすぎたのでしょうか?眠れずに、朝方、少し寝ただけでした。 

2003年8月4日(月) 白馬大雪渓を下る 

 4時起床。体調は万全!全く筋肉痛も、夕べあった違和感もない!パッキングを済ませて朝食に並ぶ。その前に急いでご来光を!残念だけど、雲が厚く、見事とはいかなかったけれど、雲海に浮かび上がる剣・立山、槍・穂高、南アルプス、富士山、八ヶ岳と静かな朝の始まりは荘厳で命の始まりを感じさせます。
 出発前、宮内先生とおっしゃる方と記念撮影。来週NHKに出演する山の先生だそうです。見なくっちゃ!
(6:00)出発。快晴!雪渓の手前までは、全山がお花畑!百花繚乱の世界!
遅い夏の訪れに、晩春の花、初夏の花、当たり前なら、山では今頃は夏も終わりの花と、一気に息吹いたかのような咲き方ですから、もう堪りません!
 一体何種類の花が咲くのでしょうか?こんなに多くの種類を見たのは始めてかも・・・。お花畑避難小屋で美味しい雪渓の水に顔をつけてワイルドに飲む。甘露!
 大雪渓に(8:30)アイゼンを装着して取り付く。登ってくる人に道を空け続けで、稼げない。途中、あわや落石に襲われるかとヒヤっとしたりもしたが、1本休憩をして、何とか白馬尻の小屋までたどり着く。(9:45)
 後は、林道を1時間、耐えに耐えながらバスが待っている猿倉まで。(11:00)着。かき氷の美味しいこと・・・。
 八方の塩の温泉に浸かり、あせを流して、ビールで乾杯!美味しいおそばで舌鼓!
 バスではスケッチを仕上げたり、反省したり、お花を調べたりしながらなかもずに9時過ぎに帰ってきました。
 白馬岳のピークはすでに踏んでいるので、もっと他の処に登りたいと思ったものですが、梅雨明けの次の日に入山するなんていうタイミングのよさ!天候は最高!お花は最高!仲間も最高!
 コースリーダーとしての緊張感がかえってよかったのでしょうか、体も軽くて・・・。いい勉強をさせていただきました。
 皆さんありがとうございました。

2003年8月5日(火) やっぱり筋肉痛が・・・。

今日も4時に目が醒めました。山での生活のペースです。仕方がないので、撮ってきた220枚のデジカメの画像をパソに取り込んだり、CDにコピーしたりしました。
 会社では、シンドイだろうなと思っていたのですが、全く疲れていない!何故~? 好きなことをしてきたこと、それがあまりに素晴らしかったことで、澱のように沈んでいたストレスをリセットしてきたからでしょうね。
 それにしても、今日から始まった筋肉痛!これさえなければもっといい♪
ということで、今日は健気に仕事をしてきましたが、明日は、今日より筋肉痛がひどくなっていたらどうしましょう!今日も早く寝ることにしますね。

2003年8月6日(水) 白馬ブルー

 山から帰ってくると、しばらくはブルー憂鬱です。
 一つは、この暑さ!雪渓を渡るひんやりとした風が懐かしい!青く清らかな空気!冷たい雪解けの水!何よりピュアな自分がいました。日常はそうはいきません。現実は、会社では早速に凹まされる出来事が起こり、家では家事の山に苛まされています。
 二つ目は、筋肉痛が悪化!よく歳をとると、筋肉痛の出るのが遅くなると言いますが、これは、確かに経験的には納得がいくのですが、実は根拠はないそうです。筋肉痛というのは、翌日、翌々日に出るものだそうです。
 三つ目に具合の悪いこと。日焼け、今回は雪焼けともいえますが、昨年の春にもひどい目にあったのに、対策ができていなくて、今回も唇の日焼けに泣かされています。肌の方は、日焼け止めや、ファンデーションである程度防げるのですが・・・。山ではできるだけ自然でいたいという思いがあり、そこでべたべたと化粧をすることには抵抗もあり、ついノーメイクの状態になりますから、結局は帰ってきてからは日焼けのトラブルが待っています。
 山から帰ってくると、ブルーです。私の夏は終ったんだってブルーです。しょうがない奴ですね。そろそろ疲れがどっと出る頃、早く寝ることにします。では。

2003年10月24日(金) すっかり雪に覆われた白馬岳

 朝、めざましテレビでは、北アルプス白馬岳をヘリから実況していた。すっかり雪に覆われて、冬山の顔をしていた。
 夏の日、あそこにいたんだよな~。17人の中高年グループで、何とか頂上に立ち、夏山を堪能させてくれた懐かしい山が、今はすっかり違う顔をして、もう寄せ付けてもくれない。
 もうすぐ、白一色に閉ざされて、手の届かない世界になる。若い頃は、今よりはずっと華奢な肩にキスリングで25キロの重量を担ぎ、ピッケル、アイゼン、ワカン(かんじき)で、雪山にも出かけたけれど、すっかり縁のない世界となってしまった。
 
 スキーも中学生の頃からはじめて、下の子がお腹にいたときだけ行かなかっただけ。上の子のときは、なんと妊娠しているとは知らずに、スキーに出かけ、転びまくっていたのですが、3日目ぐらいに、あれー?もしやと思ってそれからは宿のコタツで夫たちを待っていました。流産の危険が高い時期なのにねぇ、長男は鈍くてしぶとい子でした。この頃から・・・。(笑)
 夫はスキー好きで、お正月は必ずスキー宿で過ごすことにしていたので、二人とも赤ちゃんの頃から、私の背中でママコート(笑)にくるまれて滑っていました。
 ちっとも怖がらず、振動があっても、すやすや眠っているか、キャッキャと喜んでいました。もちろんボーゲンで静かに初心者ゲレンデで滑っていましたよ。 
 最近5年はスキーを履いていない。いまでも滑れるのかな?バラけた格好の悪いパラレル!だったけど・・・。
 毎シーズン出かけるうちに、こどもたちはどんどん上達して、二人とも小学生のうちから、パラレルやウエーデルンをこなしていましたから、終いには、いつも私だけ取り残されて、「もう滑るのが遅いねんから!おかあさんとスキーしたくないわー」とブツブツ言われた。
 二人とも、「誰がスキーを教えてあげたの?」夫は、自分だけ楽しむ人。夢中で好きなだけ滑り廻っていて、私たちは置いてきぼり!
 スキーを履かせて、歩かせて、手取り足取り教えてあげたのはお母さんでしょ!なによ!勝手にどんどん行っちゃって!と言いながらも、颯爽と滑る二人の姿を見てるのが好きだった。
 久しぶりにこのシーズンはスキーに行こうか?親とは一緒に行ってくれないだろうな~。それにこの忙しさ!無理だろうな~。

 でも、ストーブの燃える山小屋で、一日中、山の姿を眺めているのっていいよな~。

 その前に、紅葉に燃える山に行かなくちゃ!昨年の紅葉は見事だったけど、今年はどうなんだろう?木曾駒ケ岳に行ってきた友人の話では、紅葉せずに枯れて落ちていたとのこと。
そろそろ、近郊の低い山も彩づきはじめたことだろう。スケッチもしたいしなー。行かねば・・・。

 春、雪が解けると、またぞろ山が恋しくなる。夏、雲が湧くと憧れは止め処なく、秋は、またそぞろに恋しい。冬は、じっと想っている。永遠に山恋は続いている。一生かけて・・・。私流に・・・。

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