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授業の様子㉓さまざまな「身体文化」を探究しよう!

今回は、共通教育科目のひとつ、「身体文化演習<身体表現>」の授業の様子をご紹介します。
「身体文化演習」は、ひとびとの身体や身体運動が芸術や文化、社会とどのようにかかわっているのかについて、その歴史的な背景なども踏まえながら、自らの実践を通して探究していくことを目的とする授業です。<身体表現><ヨガ><合気道><ボディコントロール>の全4クラスが開講され、それぞれの視点から多様な身体文化について学んでいきます。

今回取り上げる<身体表現>のクラスは、授業の前半と後半とで大テーマが分かれています。
前半では、「歩行」など日常の動きについて分析したり、新聞紙など「物」を使って自らの身体の動きについて新たな発見を試みたり、または他者と共に動く、空間や時間的制限を加えて動いてみるなど、身体をつかってさまざまなワークを行います。
「自分の身体ってどうやって動いているのだろう」、「日常の動きに少し変化を加えただけで、こんな面白い表現になるんだ」など、ほんの少しの「気づき」を大切にし、それを他者とも共有しながら、自由な発想による創造的な身体表現の可能性を探求しました。

新聞紙を使ったからだ遊び。
頭で考えるのではなく、偶発的に生まれた「身体の動き」を体験します。
(2023年4月撮影)

後半の回では、芸術文化として、あるいは生活文化として広まっている様々な身体表現にフォーカスします。バレエやコンテンポラリーダンス、バレエのルーツである宮廷舞踊(バロックダンス)、能楽や歌舞伎、また世界各地の民族によって営まれている儀礼や祭りとそこでの踊りなどを取り上げ、実際の体験も交えながらその文化的背景や現代のありようについて学んでいきます。

バロックダンスの基本的な舞曲メヌエット Pas de Menuetに挑戦。
「難しい!」「近世ヨーロッパの貴族って大変!」など様々な声が聞かれました。
(2023年5月撮影)

授業も終盤に近づいた5月22日には、主に阿波踊りの研究者であり実践家でもある中村まい先生をゲスト講師に迎え、「日本の民俗舞踊としての盆踊り」というテーマでレクチャーをしていただきました。
「民族舞踊」と「民俗舞踊」の概念の捉え方、「民俗芸能」と「伝統芸能」のあり方の違いなどの学術的なレクチャーを受け、風流踊りとしての盆踊りや儀礼としての盆踊りなど、全国のさまざまな盆踊りの事例について視覚教材を用いつつ解説していただきました。

盆踊りについての講義の様子。
(2023年5月撮影)

そして、現代では「日本三大盆踊り」にも数えられる、「郡上踊(岐阜県)」と「阿波踊り(徳島県)」を実際に踊って体験しました。
阿波踊りの実践では、中村先生のデモンストレーションにあわせてまず下肢でリズムを刻む、次に手の動きを加える、腕の動きと下肢の動きを同時に行う、移動しながら、と段階的に動きを増やしながら練習を行いました。
短い時間でしたが、最終的にはさながら地元連(地元の踊り手)のような生き生きとしたステップを踏み前進するまでになり、中村先生からも大きな拍手をいただきました。

阿波踊りの実践の様子。
(2023年5月撮影)

続く授業回では、実践を経た感想や、学生それぞれの出身地域に伝わる祭りや踊りについて、互いに共有しました。
「中村先生からは「阿波踊りは誰でも踊りに参加できるのが特徴のひとつ」と説明があったけど、上手く踊るのは難しかった」、「地元有名連の方々はどれくらい練習しているんだろう」といった声も聞かれ、自身の身体を通して体験したことで、より深い興味関心をもって学びを深められたようです。
また、「民俗芸能を伝承していくって難しい。動画とかもあるけれど、今回のように人に直接教えてもらわなければ、あんな風には踊れなかった」、「それは伝統芸能にも共通するのでは?」など、議論は芸能の伝承や継承のあり方にまでおよび、積極的な意見交換が行われました。

阿波踊の実践の様子②。
身体表現の多くは「見る」と「見られる」の関係にあるもの。
実践側だけではなく、鑑賞側の体験も行います。
(2023年5月撮影)

現代社会を生きるわたしたちは、なにか気になることがあれば簡単にインターネットなどで検索し、動画や写真を通してリアリティある様子をすぐに確認することができます。もちろんそれもよいのですが、自ら体験することで得られる発見や、みえてくる風景があることも事実です。

この授業で取り上げることのできる身体文化にかかる事例はほんのわずかにすぎませんが、ここでの体験をきっかけに、わたしたちをかたちづくっている身体や身体による表現とその文化について、探究をつづけていって欲しいと考えています。

2023年5月29日
山田 小夜歌(グローバルスタディーズ学科教員)

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