見出し画像

【詩】水のみち

誰かの聲に呼応して
胸が 髪が 瞳が
ブルブルと揺れている

私と誰かの間にある
無限色した水が波打つ
ほ、と吐き出せば暖かく
ふ、と吐き出せば鋭く
あ、と気を抜けば冷たく

塩辛い(あるいは無味の)
水が視界や呼吸から絶え間なく滲み出すのを
誰もが知っているはずだ

湯船を埋め尽くす柔らかな温度も
乾きを潤す天の恵みも
ある日牙を剥く冷徹さも
私は知っている
知っていながら生きるため 蛇口を捻る毎日だ

渦巻く
打ち寄せる
暴き出す
せき立てる
「逃げろ」
「生きろ」

「おやすみ」



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?