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かぐわしき、沈香

カンラン樹ジンチョウゲ科ジンコウ(アキラリア)属。
ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシアなど東南アジアの国々で産出。
水沈香樹の樹脂分だけが残ったものを総称し沈香という。原木は比重が軽く、樹脂が含まれることで比重が増し、水に沈むことから、正しくは沈水香木という。
http://www.kyukyodo.co.jp/product/incense/materials.html
鳩居堂HPより

香といえばお寺の匂い、葬儀の際の焼香の匂いを想像するが、全く異なる高貴な香りがする。20本入り、6㌢で1300円(税抜)は感覚的にとてつもなく高いが、比べるものがない。1本あたり71.5円。家で薫り高い落ち着きのひとときが過ごせると思えば安いのか。この香りで落ち着くと感じるのはシニアの域に達したか。

200910  沈香

「沈香の中でも特に樹脂分に富み、最高級の香りとされる。玄妙な香りが特長」とあるのが、沈香の倍以上の値が付く「伽羅」だ。「玄妙」という新出単語は、goo国語辞典によれば「道理や技芸などが、奥深く微妙なこと。趣が深くすぐれていること。また、そのさま」。要は奥深くすばらしいということだろう。

香り、薫り、匂い、におい、臭い。
欧州では化粧品市場の売上の半数がフレグランスだ。体臭と混ざり合い、その人の個性になるという。それは香しいのか、ビミョーなのか。臭いのか。翻って日本では「無臭」癖というか、強い香りは敬遠されるし、漂白剤の強いにおいなどは「香害」とまで言われる昨今。

腋臭も臭いというが、なかには魅力と感じる人もいる。食べ物の匂いもその土地の文化に深く根差している。事程左様に人によって感じ方は千差万別。
加齢臭の正体はノネナールという物質だというが、これとて、人によっては祖父、祖母宅で嗅いだような「懐かしい匂い」というひとも存外多い。一律に目の敵にするのはいかがなものだろう。

特にお香に興味があったわけではないが、香炉まで買ってしまった。そうなると、種類の異なる香を、同じ香炉に入れる気にはならない。沈香ひと筋でいくか、普通の皿の上で別のを焚くか。残り一本になった沈香を見つめて、次を思案している。

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