埃かぶったパッケージ

私はよく心配してもらえない。
いいや、してほしいとは一言も言ってないよ?
あからさまに機嫌を悪くしないでほしいとかそのレベルなわけ。
理由を聞くと皆「構ってほしくてやってるんだと思うから」って口を揃えて言う。私はまったくそんなつもりじゃない。
でも演じるのは正直言って癖なのさ。
常に「よその子と違う賢い子」という親の期待を踏襲しつづけた結果「変わった子」→「天然“?”(←このハテナが重要)」→「変わってて面白い人」って人生やってくることになったわけだし。
それはそれで嫌なことばっかじゃないよ。男ばっかのホモソノリに「お前は女としてカウントしてねえからなあw俺たちのノリに着いて来れるしw」とか言われて姫プするのは正直嫌いじゃないしね。
うん、確かに変わってるとは思う。でももう今どきそれって何も変なことじゃないんだよね。もっと“ちゃんと”変わってて面白い人がたくさんいる。youtuberだとかなんだとか、色々あるじゃん。
だから変わってることはアベレージでもなんでもないんさ。私の変わってるは発達障害でアル中で、男の人相手に、そう、安っぽい色恋かましたり、負けずに下ネタ連発するだけっていうかさ。
そうそう、最近チャットレディやってみたんだ。これがまた性に合っててねえ。どっかの古い映画で見た昭和のストリッパーみたいにわかりやすくいやらしい眼差しではにかんで、わざとらしく少しずつ服を脱いで行って、下着に手を入れて広げて見えるか見えないかくらいで。「しこしこしてもいいんだよお?」とか言ってさ。笑える。
そしたら1時間で12000円も貰っちゃった。飛田の時もそうだったなあ。わかりやすく愛想振りまいて「おにぃさあん(ハート)」なんて言って手なんか振っちゃってさ一人前に。すっごく売れた。これは前にも書いたから知ってる人は知ってるよね。
ほんと嫌になる。うんざりだよ。

でもね、安心する部分も大きいんだ。そう、薄汚いパッケージに内包されてるときだけ、「安っぽい売女」のレッテルを貼られた「わたし」になれる。

よくあるじゃん、すごくかわいいけど安っぽいアクセサリーってさ、あれ、わたしなの。
ヴィトンやシャネルの偽物やシーインのあれこれ以下な訳。わかる?
でもね、言っとくけど「安っぽさ」にも多少の価値があるよ。
なんてったってとっつきやすいしすぐ手に入りそうだし言うこと聞きそうだし、それに手放すときにも戸惑わない。
でも、わたしには武器が一つだけあるんだよ、見た目。華奢で、顔がかわいい。人によっては、ちょっとびっくりするくらいかわいいって言われることもあるくらいなんだ。いーでしょ、へへ。
でもそれも、中身がペラペラならなーんの意味もないんだよ。8割引きの見切りシール貼られておしまい。「セールで買った余り物だからなあ」って思うと捨てるにせよ売るにせよ躊躇がないんだよね。思い入れもないしさ。
でも好事家もいたもんでこんなわたしでも本気で好きになってくれる人がいたりすんだよ。
その人は私と結婚して1年くらいまでは忌憚なく私を見ていてくれた。いや、わからない。ちがうラベルと見間違えてたのかもな。
そんで色々あって、旦那は私に「わたし」のレッテルが貼られてることに気づいた。そしてそれを実は「私」自身が自分で貼っていたことに気づかせてくれた。
わかった。わかったから。やっと「成れた」と思ってたんだから。もういい歳で、やっと確立したと思い込んでいたものは、もう剥がせないんだよ。と思った。「わたし」を否定され続けることはくるしかった。
だけどね、最近ようやくわかったんだよ。この人の前で「わたし」を作らない方法を。しかし第三者が混ざると貼り続けたステッカーは剥がしても剥がしてもまっさらにはならない。
でも私は建て直す。「わたし」を完全に消すことはできないけど、お金になる時だけ出すように、そうするように、できるように、なったんだ。
26歳と1ヶ月半。もう若くない。
私は子どもが欲しい。今までの人間関係は出産育児において一変するだろう。
ママ友とかもできるかな。皮算用だけどさ。
酒と煙草と本と、ひけらかす女性性と、Twitterの日々から脱却するには、子どもを産むしかない。今はそう感じてる。ずっと起きてて頭がおかしくなってるだけかもしれないから明日には真逆のことを言っているかもしれないけど、とりあえず今日はそういう感じ。きっと私に似て良い顔面を持って産まれてくるだろう。使い方は私とわたしが教えてあげるからね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?