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2013年のフロンターレ

2007年10月から川崎に住んでいる。引っ越してきた時に、中原区役所へ転居届けに行くと、フロンターレの招待チケットをもらった。いまもそうなのかは知らないが、フロンターレが根差した街なんだなと思った。そのチケットで、フロンターレ戦を観に行ったのだが、そのゲームはあまり覚えてない。そして、それからしばらくは等々力競技場の近所に住んでいながら、フロンターレを観ることはなかった。

2013年、大久保嘉人がフロンターレにやって来た。我が故郷長崎の国見高校出身のストライカーは、私にフロンターレ熱を上げさせるのに充分な存在だった。

2012年から風間監督が率いるフロンターレに大久保嘉人が加入し、大きな期待とともにシーズン開幕したが、開幕6戦勝ち無しという、いきなり大きな壁にぶつかった。

その後、第7節に仙台から初勝利を挙げ、翌8節はFC東京に敗戦するも、その後2勝1分としたところで、大久保嘉人の父親が死去と言うニュースが飛び込む。

このニュースは話題を呼び、2014年W杯へ大久保嘉人が選出されていくストーリーに繋がっていく。父親の死以降、大久保嘉人の髪型はショートに変わる。そして、開幕から模索しながらも、チーム内でのストライカーとしての立ち位置を確立。初の得点王へ向けて、ゴールラッシュが始まる。

そんな大久保嘉人に呼応するように、チームも躍進。開幕6戦で勝点3だったチームが、第7節以後、連敗は一度だけで、上位へ食い込んでいく。

そして迎えた最終節。このシーズン終盤は、横浜FMがあとひとつ勝てば優勝と言う位置におり、ホーム日産スタジアムでの優勝を逃して、等々力で川崎との最終節となっていた。そんな横浜FMが足踏みしている間に、初優勝を狙う広島が、その背中に迫っていた。一方で、川崎も負けられない理由があった。ひとつは、最終節を勝ち切れば、シーズン3位でACL出場権を獲得できること、そしてチーム一筋のベテラン伊藤宏樹がこのシーズンを以って、引退することが決まっていたのである。

最終節を1-0で勝ち切った川崎は、ACL出場権獲得と伊藤宏樹の花道を飾ることができた。一方、これにより別会場で勝ち切った広島がシーズン初優勝を飾る。このゲーム終了後の中村俊輔の落胆ぶりを鮮明に覚えている。ちなみに、このゲームの得点はレナトだが、攻撃の起点は中村俊輔から中村憲剛がボール奪取したところから始まっていて、この時の危機迫る中村憲剛はすごかった。

また、このゲームの87分に伊藤宏樹が交代出場を果たしており、粋な演出だなと思った。後日、雑談の記事で読んだのだが、伊藤宏樹がこの交代出場について、風間監督にお礼をしたところ、ゲームに勝つために必要だから出した、と言うニュアンスのコメントをしていたのを見て、更に粋だなと思った。

という訳で、2017年最終節と並んで、2013年最終節もかなりドラマチックなゲームだった。

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