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アンチェの見事な世代交代

昨シーズン苦杯を舐めたレアルマドリードが、今季は開幕から好調である。

4試合を終えて、4勝で勝点12、得点8/失点2/得失点差6でラリーガ首位に立つ。

正直言って、ここまでの躍進は開幕前にはあまり予想ができなかった。長く前線を牽引したカリムベンゼマはサウジアラビアへ移籍したものの、典型的なセンターフォワードはホセルのレンタルのみ。ドルトムントから、ベリンガムを1億3,000ユーロで獲得するなど、目玉選手の補強はあったものの、ベンゼマの穴を埋めるような補強はなかった。

一方で、アンチェロッティは、いまある選手の最適解として、14312というフォーメーションに着手する。長く、1433でやってきてそのCFを務めたベンゼマがいない上に、ベリンガムをトップ下で起用するというアイデアを実現するためのフォーメーション変更である。ちなみに、2トップはビニシオス、ロドリゴと昨シーズンは主にウイングを務めた選手である。

それに加えて、中盤の世代交代にも本格的に着手する。トニクロース、モドリッチと長くチームを支えたベテランから、カマビンガ、チュアメニへの世代交代も同時に進めている。

フォーメーション変更と世代交代を同時に行いながら、リーグでは現在首位に立つ。

レアルマドリードと言う常勝を期待されるチームで、こんなことをできるのは、アンチェロッティしかいないのではないかと思う。

例えば、昨シーズンCLを制して、その価値を高めたペップだが、彼には彼が描く理想の形がある。これは、リバプールを率いるクロップも同じである。彼らが描く設計図に見合う選手を獲得して、彼らはそのサッカーを高みに導いていくスタイルである。

一方で、アンチェロッティはまず選手ありきであるように見える。選手の特徴や特性を活かせるポジションを模索して、最終的にフォーメーションに落とし込む。また、加えて重要なのが、トニクロースとモドリッチというベテランをベンチに座らせても、ドレッシングルームを不安定にしないマネジメント力である。

ちなみに、ここ数年ビッグクラブばかりを率いているように見えるが、2019年から2021年6月までエバートンを率いており、その期間の勝率はプレミア以降で最高勝率である。

パッと見最先端の戦術を持ち込むわけでもない。それでも、アンチェロッティは彼にしかできないやり方で、チームを勝利に導く。

シーズンが終わらなければ分からないが、いまレアルマドリードで起こっているのは、アンチェロッティの見事な世代交代だ。

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