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ファンクショナルトレーニングに「効く」という言葉はない


はじめに

みなさんはご存知でしょうか?

基本的にファンクショナルトレーニングを指導する時には、ウェイトトレーニングによるボディメイク指導での常套句である特定の筋肉に「効く」「効かせる」「意識する」という言葉を使わないのです。

なぜファンクショナルトレーニングでは「効く」「効かせる」「意識する」を使わないのか?

今日はそれについてわかりやすくご説明します。

ウェイトトレーニングとファンクショナルトレーニング それぞれの特徴

ウェイトトレーニングとファンクショナルトレーニングでは、その目的とアプローチに大きな違いがあります。

この違いを理解することは、トレーニング方法を選択する際の重要な要素となります。

以下は、両者の違いを明確にし、理解を深めるためのノートの提案です。

ウェイトトレーニング:「効かせる」トレーニング

ウェイトトレーニングでボディメイクする時には、特定の筋肉群に焦点を当て、その筋肉の強化や肥大化を目指します。

このアプローチでは、「効かせる」という言葉がしばしば使われ、特定の筋肉を際立たせ、成長させることが重要視されます。

目的:筋肉の強化、肥大化
アプローチ: 特定の筋肉群に焦点を当てる
効果: 筋肉の見た目の改善、筋力の向上

例:ダンベル サイドレイズ(三角筋)、バーベル バイセップスカール(上腕二頭筋)

ファンクショナルトレーニング:「連動する」トレーニング

一方、ファンクショナルトレーニングは、日常生活やスポーツパフォーマンスに直接的に役立つ、実用的な身体能力の向上を目指します。

このトレーニングでは、特定の筋肉を筋肥大させることよりも、複数の筋肉が連動して動作する能力を高めることが求められます。

目的: 日常生活やスポーツパフォーマンスの向上
アプローチ: 複数の筋肉が連動する動作を重視
効果: 動作の効率性、機能的な強さ、体のバランスの改善

例: ケトルベル スイング(ヒンジ動作の伸長反射と代謝能力)、メディシンボール投げ(連動する動作の強化)

もちろんある動作をする際に特定の筋肉の筋力が低いことによって、その動作の連動性を阻害する場合、その筋肉だけを取り出して個別に強化することもあります。

こんな風に全体の連動の中での弱い部分のことを「ウィークリンク(弱い鎖の一つの輪)」と呼びます。

ファンクショナルで「効く」「効かせる」「意識する」を使わない理由

1.複合的な動作の模倣

ファンクショナルトレーニングで採用されるエクササイズは、複数の関節を動かし、多くの筋肉が連動して動作する複合的なものです。

これらのエクササイズは、特定の筋肉に焦点を当てるよりも、全体の動作パターンを改善することを目的としています。

2.自然な動作の再現

人間の動作は、意識的に特定の筋肉を「効かせる」よりも、目的とする動作そのものに焦点を当てた自然なものです。
例えば、物を持ち上げる、走る、ジャンプするなどの動作は、意識的に特定の筋肉を使うのではなく、目的の動作を達成するために必要な筋肉が自然に連動して行われます。

3.動作の正確性の追求

そもそもさまざまなスキルが求められる動作をする際に筋肉を意識しているでしょうか?
例えば「ダーツを投げる」「楽器を演奏する」「キレイな文字を書く」など、特定の動作の正確性や効率性を高めることに重点を置いています。
これらの動作は、動作そのものに対する意識が中心であり、特定の筋肉に意識を向けるよりも、全体としての動きやバランス、調和を意識することが重要です。

以上のことからもファンクショナルトレーニングにおいて「効く」「効かせる」「意識する」という言葉が使われないのは、トレーニングの目的が、特定の筋肉を際立たせることではなく、日常生活やスポーツにおける実用的な動作の効率性と正確性を高めることにあるからです。

このアプローチは、身体全体の機能を最適化し、日常生活やスポーツパフォーマンスの向上に効果的です。

最後に

ウェイトトレーニングが「筋肉を効かせる」トレーニングであるのに対し、ファンクショナルトレーニングは「身体全体が連動して動く能力を高める」トレーニングであるという違いを理解することが重要です。

ファンクショナルトレーニングでは、「効く・効かせる」という言葉自体があまり使用されず、むしろ複数の筋肉が協調して動作することの重要性が強調されます。

この違いを踏まえることで、トレーニングの目的に応じて最適なアプローチを選択することができます。

ですからファンクショナルトレーニングは、日常生活の質の向上や、スポーツでのパフォーマンスアップを目指す人に特に有効なトレーニング方法であり、だからこそ「効く」「効かせる」「意識する」というキューイングを使わないのです。

このnoteではファンクショナルトレーニング的視点から「トレーニング」「パフォーマンス向上」「運動」「健康」「ダイエット」などについて書いています。
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今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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