見出し画像

ビルマの竪琴(1985)

戦後の「児童小説」原作であるこの映画は85年に公開される前に56年にも超大作の映画として公開されています。原作が良いので時を経て違うキャスティングと映像技術で映画化されるのはとても良い事ですね。

ここから先は映画「ビルマの竪琴」のネタバレがありますのでご了承の上お進みください。


文科省推薦映画を「ただひろ先生」は辛口評価

この映画「ビルマの竪琴」の監督は市川崑さんですが、わたしはこの監督さんの映画がいまいち肌に合いません。好みによりますが独独のコミカルな雰囲気が軽く見えてしまう、この映画「ビルマの竪琴」はほぼ外での撮影ですから、市川崑さん独特の屋内光加減やカメラワークなどが“逆に使用されなかった結果”万人受けする良い映画になったのだと思います。


残念な脚本ストーリ

原作が素晴らしいだけに、他の人が映画化していればもっと素晴らしい作品になったカモ

簡単にストーリー説明すると以下の通り

  1. ビルマで戦争中に日本の敗戦を知らされた小部隊

  2. 隊長が音楽家であったので部隊は合唱(歌)を好んでいた

  3. 敗戦後捕虜となり、他の交戦中日本兵への終戦をイギリス軍に依頼される

  4. 捕虜は遠方のムドンへ「水島」はビルマお坊様に一命を救われる

  5. 回復した「水島」はお坊さんの法衣を盗みムドンへ向かう

  6. ムドンへ向かう途中に「戦争・ビルマの心」を直視

  7. ムドンの捕虜たちは日本へ送還

  8. 「水島」は帰国せずエンディング

上記のような内容なのですが、ハリウッド的脚本法を学んだ“ただひろ先生”には少し疑問が残ってしまうのです。




北野監督がらスカウトが来るかも!?「ハリウッド式脚本家ただひろ先生」

ハリウッド式に「ビルマの竪琴」をリメイク


ビルマで戦争中に日本の敗戦を知らされる

ハリウッド式:
音楽教師の小隊長と兵隊達の竪琴や音楽シーンは数秒に収め、残虐な戦争の銃撃シーンなどリアルな太平洋戦争を多用する。冒頭で一気に観客の心をつかむようにする。


小部隊隊長が音楽家であったので部隊は合唱(歌)を好んでいた

ハリウッド式:
原作脚本ではこのシーンと状況説明が「竪琴」と共にストーリー展開していきますが最新の映画手法では「単調でわかりやすいテーマ」はあえて表現せずに見る側の想像力に委ねる方がより感動的な作品になる。つまりこのシーンも数秒のカットにします。


敗戦後捕虜となり、他の交戦中日本兵への終戦をイギリス軍に依頼される

ハリウッド式:
ここの場面は(85年版)では名優菅原文太が登場します。重要なシーンですが終戦後も玉砕覚悟で戦っている部隊が全滅して、一緒にいた説得に行った主人公「水島」1人が生き残るというストーリーには無理があり、大きな変更し、リアルな場面を作り出す。(例)イギリス司令官へ戻り、再度交渉時間延長を願い出るが総攻撃されてしまう。


捕虜は遠方のムドンへ「水島」はビルマお坊様に一命を救われる

ハリウッド式:
このシーンは生死から復活の軌跡を詳細に伝える必要がある重要なシーンですが、原作映画ではほんのわずかな時間しか映像割合が使われていないのが残念です、ストーリー全体の序盤から中盤へ移行する重要なシーンなのです、ハリウッドの名監督たちならば、ここのシーンは何度もブラッシュアップを重ねる事でしょう。


回復した「水島」はお坊さんの法衣を盗みムドンへ向かう

ハリウッド式:
原作でこのシーンが「ビルマの竪琴」のメインテーマにするのがハリウッド式です。オウムでも竪琴や合唱ではありません。ここのシーンが最重要テーマの場面であります。(理由)事項にもありますが、ビルマの高僧に関する映像内説明を多くしてメインテーマを煽ります。


ムドンへ向かう途中に「戦争・ビルマの心」を直視

ハリウッド式:
ここでは「小エピソード」を多く多用して、よりビルマの生活模様を模写していくことが肝心です。原作映画では主人公の「水島」は現地語と英語を話せる設定なのでもっと幅広い細やかな演出可能です、原作の「少年と竪琴」のエピソードや「捕虜の状況下」はむしろ割愛する方が望ましいです。


ムドンの捕虜たちは日本へ送還

ハリウッド式:
原作映画内容は「水島を置いていけない、水島は戦死した同胞の魂を思うとこのまま帰れない」そんな葛藤のシーンになります。ハリウッド式には、ここをメインに主人公の一命を救った高僧と水島の感動のメインシーンを組み込みます。


「水島」は帰国せずエンディング

ハリウッド式:
ハリウッド式映画の脚本は「原作著書」を参考によりリアルでドキドキするような感動作品を映像で作り出す手法です。ビルマの竪琴は次世代へ受け継ぐ名作ではありますが、惜しくもグローバルな現代に世界中の人々へ感動を届けられるような「映画」には至っておりません。使用する曲をエンディングで花を添えるような名曲を使用し「表に出すテーマ・裏に伏せるテーマ」でメリハリをつけ、最先端技法を持つ脚本家&監督で挑むべき映画がこの「ビルマの竪琴」だと思います。




【終わりに】

ビルマの竪琴の名シーンで偉いお坊さんがこんな事言いました

「戦争で日本が勝とうがアメリカやイギリスが勝とうが関係ないビルマは仏の国だ」


2023.07.22 By“TADAHIRO”

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?