散文Ⅱ

※散文 I は現在非公開としております。すみません。

歯で唇を嚙んだらしい
少し痛いなと思ったくらいで
全然気付いてなかった

「口の中の傷はすぐに治るよ」
「蜂蜜、舐めておき」

こんな知識いつ教わったんだろう
とりあえず、蜂蜜でも舐めておこうかな
少し砂糖のような蜂蜜を
口の中で転がすようにして舐めた

古傷を甦らさないように
気をつけないとね

真夜中の入浴は、なんだか沁みる感じがする
月の光が、夜の空気の色を浮かび上がらせる
世界には沢山の人がいるけれど
丘陵で月に向かって吠える狼のような
少し山月記のような
妙な孤立感に包まれる
どうしてだろう

夜に聴く音樂も、なんだか沁みる感じがする
『染まるよ』にいつも以上に染まる
もしも、雨が降っていれば
いつもよりも雨音が透き通って聞こえる
静寂が生み出す、本当の生活の音
感傷的な心情が胸の奥から
上がってくる感じがする

アナログ時計が針を鳴らす
太陽が目を覚まし、月が眠る
透き通った薄緑と空色の空気が
ひとりじゃないって教えてくれる


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