心臓を強く握って
23区は夜ということを感じさせずに
気づけばモダンなライトが
僕を照らしていました
敷き詰められたコンクリートの
隙間から顔を出す優しそうな草が
僕に懐古を教えてくれました
踵で棘を刺すような
見上げるくらいの背丈の女性が
僕に畏怖を教えてくれました
大きな花が描かれたカーディガンの
同じくらいの背丈の女性が
僕の過去を掻き回してくれました
娼婦に満ち満ちたこの社会で
『ヰタ・セクスアリス』が
僕に安堵を与えてくれました
冷たいコンクリートに
温くて鮮やかな紅を垂らす男性が
僕に僕の存在を教えてくれました
23区は夜ということを感じさせずに
気づけばモダンなライトが
僕を照らしていました
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