【哲学・思想】一人読書会

京大 院生 思想系

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最近の記事

『旅のラゴス』筒井康隆 作品紹介

あらすじ ラゴスという男が旅をする物語。彼の一生を追う中で、ラゴスの経歴や旅の目的が明らかにされていく。ロストテクノロジー的な世界の中で、不思議な能力が発現した人間が普通に存在する世界。この物語の力点はそのストーリーのドラマチックさにあるというより、誰もが理解できる出会いと別れの寂しいような嬉しいような、心に浸透する感情であろう。明瞭に書かれてはおらずとも、それは自然と納得できる。それも、ラゴスという男に備わった静かな誠実さと愛がはっきりと伝わってくるからであろう。  

    • 2024年度の計画

      2024年度に哲学系の修士2回生になります。この1年で就職活動を終え、2025年度から働くことになりました。1年前までは博士に行く気でいたのですが、念のため就職活動を始めてみたら、こっちの方が自分には合っている気がしました。哲学の学習・研究はライフワークとしつつ、世のために働いてみようと思います。 これまでの投稿は哲学書の簡易な説明が主でしたが、今後は(1年前までは敬遠していた)ビジネス書や歴史書など、広く社会のことを学ぶための投稿にしていこうと考えています。 よく考えた

      • 今後の計画

         2023年4月から大学院で勉強することになりました。本投稿では、今後の大まかな勉強の目標を立てようと思います。 研究について  卒業論文ではウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』を取り上げたので、基本はウィトゲンシュタインの著述を追っていこうと考えています。やっぱり全集をさらうのはやっておくべきなのかなとも思ったりしています。  ひとまずは、春休みの間に『哲学探究』を一周したいと思います。また、卒業論文作成の時にはなにより参考資料の大海に溺れて、テーマが決まらなかったの

        • 大学院入試の結果

           大学院に合格しました。2か月後から修士として頑張ります。よろしくお願いします。

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        • 勉強計画
          3本
        • 思想系著作解題 院試対策
          23本
        • 興味のある用語集
          8本
        • 思想ー宗教学系 小論文 院試対策
          0本

        記事

          修士入学1次試験の結果

           英語独語、用語説明の1次試験を通過することができました。10個の著作のうち3つを選んで説明する問題がありましたが、ちょうど3つ分しか知っているものがなかったので、ぎりぎりの試験だったと思います。  2次試験は大論述と卒業論文の口頭試問です。あと1日と数時間、このnoteで大論述の練習をしていくので興味がある方は閲覧していただけると嬉しいです。また、各記事に関して質問などもしていただけると、勉強になるので助かります。

          修士入学1次試験の結果

          要約 シェーラー『宇宙における人間の地位』

          〇ユクスキュルの環境世界 〇精神と衝迫の二元論と宇宙の生命序列 〇精神は対象化の能力として超越であり、ゆえに人格として存在しうる。 〇ニーチェ、ショーペンハウアーの議論 〇衝迫と精神の共同性  シェーラーはユクスキュルの「環境世界」の概念に刺激を受けて独自の哲学的人間学を構築した。環境世界とは、生物が各々独自にもっている目的手段連関である。ユクスキュルはこれによって生物の機械論的運動観と、また擬人的生命観の両者を排除しようとした。  シェーラーは環境世界と「世界」という二つ

          要約 シェーラー『宇宙における人間の地位』

          要約 アリストテレス『ニコマコス倫理学』

          〇目的手段連関の極地は幸福であり、それは善でもある。 〇善とは徳=アレテーに即して活動するエネルゲイア=現実態のことである。 〇徳は知的徳と倫理的徳(→エートス)に分かれ、両者の共同が行為を生む。 〇知的徳はさらにソフィアとフロネーシスに区分される。 〇個別具体的な状況において、エートスとフロネーシスの共同によって「善なる行為」が生まれる。 〇エートスが共同体に依存的である以上、善は友愛=フィリアに局限される。 〇ただしソフィアにおける「観想=テオリア」が第一の幸福だとされる

          要約 アリストテレス『ニコマコス倫理学』

          シャーマニズム

          →脱魂型と憑依型、呪術的効果、世襲型と召命型  シャーマニズムは当初ツングース系のシャーマンのエクスタシー現象を指していたが、世界各地で研究されるにつれ、憑依型のシャーマニズムも区分されるようになった。エクスタシーすなわち脱魂型は、自らの霊魂を天上界や地下世界へ飛ばし、そこで神霊的存在と連絡することを通じて何らかの情報をもたらすものである。憑依型は、シャーマンそのものに神霊が一時的に宿り、トランス状態において種々の預言や託宣を行うものである。どちらにせよ、超越的存在と直接に

          レヴィナス 『全体性と無限』

          〇絶対的他性とロゴスとしての帝国主義的存在論 〇一般化としての統覚作用はそのまま自己同一性の権能である。 〇顔は現象しつつ、その裸出性において無限責任を要求する。 〇顔との対面において、人間は主体化し、そこに倫理が生起する。  全体性と無限―同と他との対比を通じて、絶対的他性の観念を構築し、倫理学を第一哲学として構想する著作。ヘーゲルの全体性、フッサールの志向性、ハイデガーの世界内存在が重ねられて、本来取り込むことのできないはずの他者が自己の存在論に分解されてしまう、この動

          レヴィナス 『全体性と無限』

          祖先崇拝

           生の意味を血脈に見出し、それを維持することが義務とされる信仰形態。日本では「イエ」制度などがあるが、祖先崇拝はそれより広い社会コミュニティで形成されうる。崇拝対象たる祖先は、祖先であるというだけでなく生きていたころの英雄的行為、共同体への貢献度の高さなどが基準となって選別される。ゆえに、無根拠な信仰のように見えて、この崇拝には社会規範の契機が存する。つまり「あの祖先のように」共同体に資する存在であれという規範意識と一つ組である。この規範意識の形成は社会の保守的維持に役立つ。

          コスモロジー

           ギリシア語の「コスモス」には秩序という意味がある。コスモロジーとは人間が宇宙を統一的・秩序的全体として把握するときの世界の有様である。これは単なる「世界観」とは異なり、具体的な宇宙の様相を秩序立てて理解する態度であり、そこで重要なのは、近代科学の均質的時空間とは別の、ある中心、軸をもった象徴的時空間が開かれているということである。コスモロジーにおいて、大宇宙における人間の地位が把握されているのである。  エリアーデはこうしたコスモロジーの現場をヒエロファニー、すなわち聖なる

          創世神話

           ほとんどの宗教が、この現実世界がどのようにして、またいかなる理由で存在するのか、その起源についての神話をもつ。これは大きく進化型と創造型に分かれる。進化型は世界を生命的進化モデルで捉えるため、汎生命的な世界観と相関がある。創造型の代表は旧約の「創世記」であろう。進化型との対比で言えば、創造をなした超越者との対比で世界が見られるため、強い現世否定の思想が出てくる。  ヘブライ的創造は「言葉による創造」「無からの創造」という二つの要素をもつ。前者は人間的な文化・歴史・生活などあ

          回心

          〇ジェームズの回心論→無意識と意識の連続性 〇オットーのヌミノーゼ 〇スターバックの逆回心 〇個人の性格によって漸近的/劇的の区別はあれど、「高い力」に包まれる飛躍の瞬間は同じである。 まずジェームズ『宗教的経験の諸相』における規定。回心とは、自らが劣等であり悪なる世界において不幸であると感じていた人間が、真なる実在に触れ、「より高きもの」に包摂されていることを自覚することで、世界を肯定的にかんじることができるようになる体験である。そこでは不幸な意識の中で分裂していた自己が

          儀礼

          〇儀礼において聖俗の区別が象徴的に意識される。 〇社会の安定化と個人の生の意味深さの確認が目的。 〇消極的儀礼と積極的儀礼 〇生と死の象徴的循環   信仰対象に対する思考と行為が集団的慣習のうちで固定化されたもの。宗教的世界観を表す象徴体系である。そこにおいて、神話は語られるというより、象徴的に演じられる。儀礼は多様な形をとるが、その共通要素として非日常=聖なるものと日常的なものとの区別がある。この区別を拡大させつつ、自ら神聖なものへ近づこうとするというアンビバレントな心情が

          供儀

           神霊的・聖霊的存在に生贄を捧げることによって、神秘的生命力や事業の成功などを得ようとすること。生贄には人間や動植物が用いられる。流血が伴う場合とそうでない場合があり、仏教はそもそも殺生を禁じるゆえ供儀を認めない。供儀の起源には、超自然的存在者の好意を獲得するための贈与説、供儀者自身の死を代理させるという代置説、神と人間が犠牲の生き物を共食するという交融説などがある。いずれにせよ決定的な役割を果たすのは供儀において神霊と人間が交感する媒介となる動植物である。  供儀儀礼が破壊

          要約 ライプニッツ『モナドロジー』

          ・モナドは不可分の生命であり、表象と欲求をもつ。 ・モナドは重複しない ・モナドに窓はないが、予定調和の世界である。 ・最善説と共可能性 ・充足理由律/事実の真理と矛盾律/永遠の真理 ・個体の完足性は消極的な悪であるのみで、最善世界は維持されている。 〇ライプニッツはデカルトとスピノザの実体概念を批判して、モナドという実体概念を提起する。それは確かに単純かつ非物理的で不可分なものであるが、表象と欲求という能力をもち、生命的に活動する個々の存在だとされる。 〇表象とはモナドが宇

          要約 ライプニッツ『モナドロジー』