新生活とか謹賀新年とか引っ越しだとか
そういう大きな節目じゃなくとも
クラス替えだとか部署移動だとか
いつもの定食屋のメニューが変わっただとか
ボクは新しい環境に触れると
ちょっとの不安と、どこか冒険しているみたいで
心臓のBPMは120オーバー

新しいこと
未開の地に歩みを進めることは
人類が太古の昔からパイオニアとして実践してきた歴史がある
ホモサピエンスのDNAには道を切り拓いていく要素と
開拓モチベーションがあるんだと思う
いざゆかん、ニューワールド
ボクの名前にもその一文字が含まれている

そんな新風舞い上がるような気分と対をなす
昭和末期から平成初期を代表する言葉
「終わりなき日常」
その循環する呪いに負けて毎日を繰り返す
ビューティフルドリーマー
もしくはエンドレスエイト
でも本当は毎日がループしているわけじゃなくて
何も変わらないとしている自分がいるだけ
その場に留まり続けていれば安心という迷信

節目が無いと切り替わらないんじゃないかという悪夢

「日に新た」
松下のおじいちゃんがよく云っていた言葉
毎日が新しく変化していてる
諸行無常
世の中は常に流れていて不変なものはない
海外だとヘミングウェイが云ってたね
Every day is a new day.
世界であたりまえのことなんだけど
学校では教えてくれない常識

特別なことが毎日あるわけじゃないんだ
だから毎日が素晴らしいとか大袈裟なことは言えないし
目を輝かせてそんなこと毎日言っているとしたら
アッパー系の何かをキメているに違いない

それなりに日常はシンプルだ
特段日々が素晴らしいわけでもなく、つまらないわけでもない
真ん中を突っ切った普通ではない中道
ボクたちは溢れた情報に囲まれすぎて
刺激的な創作に慣れ過ぎてしまったんだ
昔は箸が転がっても笑えた女学生は
今やM-1グランプリでさえ笑えない

おかげで余計なことが頭をかすめる事ばかりだ

コストパフォーマンスも、タイムパフォーマンスも
余計なことは考えずに
ドラマティックなことは起こらない
余剰も余白も作ったところで何をするというのか
何者にもなれない
パノプティコンもビックブラザーもない世の中で
身の丈の自分をただ今日一日使い果たす
高望みもせず、自惚れもせず
自分を使い果たし繰り返し

たまに訪れるわずかな変化に心震わせるんだ