Twitterの投稿と見る『人が精神疾患を受け入れるまで』


ぐらです。僕は双極性障害という不治の精神疾患を持っています。
今ではすっかり病気を受け入れていますが、前からそうだったわけでもありません。

渦中の人の参考になると思い、僕が病気を受け入れるまでを振り返ってみることにしました。


2017年9月~2018年2月初旬 うつ期

2018年2月18日の投稿です。
診断自体はもっと前に受けていましたがツイート出来る状態になったのが2018年の2月でした。

まずはそれまでのことをお話しなければいけません。

-診断はそれより前


2017年9月~2018年1月にかけて、もうまったく脳が働かず身体も動かせない時期がありました。
実は2014~2016年も冬になるとこのようにまったく動けなくなって、
自分は救いようのない怠け者なんじゃないかと自己嫌悪に陥っていました。

4か月ですよ、4か月。文字にするとそうでもないかもしれませんが、
約120日布団で眠る以外ほとんど活動出来ないっていうのは地獄のような苦しみでした。

今はそれが病気のせいだとわかっているからまだマシなのですが、
秋冬以外の時期はどちらかというと活発的な方だったので、
それが本来の自分だと認識して「秋冬に動けない俺がクズなんだ」って考えていました。

この時、大学を中退した後音楽大学を受けようと色々本格的に勉強していた時期なので「大学中退してまで目指した音楽への情熱はこんなものなのか?」ってずっと自分を責めていました。

とにかく苦しいは苦しいのですが、虐待されていた時よりはマシだったので
あの時よりはよっぽど大丈夫」と自分を納得させていました。

まだ耐えられる苦しみだったからです。


-2017年末、受診を決意

(このあたり[2017年9月末]から2018年2月上旬までつぶやく気力もなくなります)


心療内科への受診のきっかけは知り合いに勧められたのと流石に4年連続で秋冬の時期にピンポイントで動けなくなるのはおかしくないか?と感じたからでした。

あとこれが1番の理由です。

健康保険証が個人別のカードになった。

それまで一家に1枚の紙の保険証でした。
病院に行くには親に借りなければいけなかったのです。

母親は一時期の「精神科医は薬漬けにしてくる」(数年前こういう反医療系の本が流行ったのです)という妄言をすっかり信じていて、
精神科医と精神病患者への偏見がすごかったのです。

だからどうしてもバレたくなかったのです。
2017年はそういう意味でも受診に適していました。


受診を決意してもなかなかオススメされた医院に電話出来ません。

もしかしたら、自分が精神障害者だと診断されるかもしれないというのは本当に恐怖でした。

その当時の自分にはおそらく一般の人と同じように偏見を持っていました

自分がその対象になるかもしれないと考えると怖くて怖くてたまりませんでした。


勧められてから2~3週間して(10月初旬で)ようやく電話しました。

12月まで予約がいっぱいなのでその後でもいいですか?

この国の人たちはみんな病んでるみたいです。
(今は4か月待ちになってます)


-双極性障害と診断される


12月になり予約の日にちになりました。

行くしかありません。意を決して扉を開くと待合室に「いかにも」な顔つきをした人間が何人もいます。

あぁ、もしかしたら自分も彼らと同じ顔つきをしているのかもしれない」と思ったことを覚えています。

名前を呼ばれ、最初は医師ではなくカウンセラー(臨床心理士)の方の元に連れていかれました。
そこで、これまでの生い立ち、受診しようと思ったきっかけを聞かれました。
「甘え」と思われるんじゃないかと思ってあんまり素直に話せず、ところどころ作り話をしたことを覚えています。
(これは男性の受診者によくある現象だそうです)


その後、お医者さんの診断を受けます。

医師「落ち込むことがあるって書いてありますけど、逆に元気すぎる時って経験されたことありますか?」

「…ありました。中学、高校の頃はすごくパワーがある日がたまにあってそういう日は寝なくても元気でした。なんなら何日も徹夜してた時もあります。」

医師「うーん…。そうですか」
  「次回、一度血液検査してみましょう。糖尿病とかの精神に影響を与える他の病気の可能性もありますから」

1週間後、血液検査をしにまた病院に行き、また2週間後結果が出たとのことで病院に行きました。

医師「血液検査の結果は正常でした。内臓とかの病気の影響ではないということです。」
  「また以前にお話してもらったパワーのある時期のエピソードとかを考えるに双極性障害の可能性があると思います。」
  「もちろん、うつ病と似ているのでこれからゆっくり見極めは必要ですが、ぐらさんは双極性障害よりだと思います。」


双極性障害のことは知っていました。大学は心理学専攻だったので、一応知識としてありました。
といってもそこまで詳しくもなく、漠然と「うつ病」の仲間みたいなものだと認識していました。

とりあえず双極性障害向けの薬を微量、処方してもらって様子を見ることに。

思っていたほどショックはなく、どちらかというと「あぁ、やっぱり」という感情でした。
いやこの時、本当は受け入れられずに「自分はこれをバネにしなきゃいけない」という執念を持ってしまいますが、それは後で。

1月は変わらず動けませんでしたが、2月から少し様子が変わります。


-2018年2月中旬 中庸

2018年2月、今まで動けなかったのがウソのように頭が働きます。
少し本調子ではないですが、"本来の自分"に戻った気がします。
曲も書ける。


医師「病状はどうですか?」

「全然、平気です。調子が良いです。」

医師「うーん、そうですか。薬はまだ作用すると言われている血中濃度に達していないのですが、このままの量で大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫です。」


後から考えればこの時、母の持つ「精神科医は薬漬けにしてくる」という偏見を自分も持っていました。
だから、出来るだけ薬の量が増えないように受け答えしていました。

そして、この時期「食べ物で治すうつ病」とか「薬なしでうつを治す」みたいな本を読んで(今思えば眉唾ものな本でした)色々試していたので、
その効果が出ていると思っていたのです。


-2018年3月~4月 躁期

3月になって急に活動量が増えます。曲も書く。ツイートも増える。
薬の量だけは増やさない。

(軽躁の時はこういうイキりツイートが増える)

4月になってさらに増えます。この"好調の自分"が本当の自分なんだ!と思っていました。

(ここでは気圧のせいだと茶化していますが、)本心では自分のやる気のせいだと思っていました。

また人を巻き込んで色々したくなって

参加型の企画を考えます。

これにいちゃもんをつけられて、Twitter上で大ゲンカしました。
(本当の意味での"普段の僕"ならスルーしているような程度のことでした)

ここで僕の病気・双極性障害のことを簡単に説明すると、
ご存じ「うつ」の期間と「躁」と呼ばれるエネルギーが多すぎる期間がクルクル入れ替わるという病気です。

精神病といいつつ、脳の病気なので自覚なく病気に振り回されやすいのです。

3月、4月はお察しの通り「躁」の時期で、客観的に見たらなんかおかしいのですが「うつ」の後なので、
このエネルギーにあふれている自分が本当の自分なんだ!なんて思ってしまっています。


-2018年5月~6月 停滞期

すっかり治った気でいますね。

これも後からだから言えることですが、この時期薬の増量を断っていたため、最低このくらいの血中濃度から薬の効果が出るよって量にも足りてませんでした。
つまり、薬の効果はほとんどなく、ただ躁期で調子が良かった(良い風に感じていた)だけでした。

それまで毎日のように曲を書いていましたが、少しづつ書けなくなる日が増えてきます


お手本のようなルサンチマン

3,4月の好調が終わり、徐々に"普通"に戻っていきます。
ですがこの時は、これが病気の影響だと思っていました。

なんとかしようと今もやっている習慣化に注目するようになります。

この頃は「自分は人よりツラい思いをしたんだから、その分報われないといけない」という誤った信念を持っており、成功だったり人からの羨望だったりへの渇望がものすごく、理想と現実とのギャップに苦しんでいました。

そして、過去の色んな記憶を思い出してはその都度怒ったり、悲しんだりしてました。
思い出してるその時はまるで"今、起こってるように"感じて、それに反論したりしてました。目の前には誰もいないのに。

効いてないぞ。お前が薬を増やすの断るから。

この頃は完璧主義過ぎて自分のあらゆる努力を認められませんでした。


2018年7~8月上旬 気分が落ち始める


「自分に無いモノ」しか目に映らなくていつも焦っていた。

「軽躁状態」が本来の自分の能力だと思うという双極性障害ありがちなやつ。

ここで頑張って買ったのが本当に良かった。

今まで双極性障害は薬を飲んで耐えるしかないという認識でした。
いや、当事者でもそういう認識をしている方たくさんいると思います。
この本は前半を病状の説明、後半を(投薬治療の補助的な)行動療法にページを割いており、「双極性障害と対等に渡り合う術」みたいなのがたっぷり詰まっています。
この本で「やり方次第で病気に振り回されないようになれる」ということを知ったのは本当に本当に転機だった。

まあいきなり人は変わらないんですけどね。買ったはいいもののこの本を開くのはもうちょっと先です。


なんかバズりました。
この頃本当に認知が歪みまくってたので、こんなに頑張ってる音楽は50いいねも稼げないのに、ふとしたつぶやきが何万いいねって俺、音楽の才能ないのかな。って本気でヘコみました。

そして大きな刺激で「躁状態」に入ります。

これはアイデアが湧いてきて、
元気も湧いてきて、
よくしゃべるようになって、
陽気になるって状態です。
って言葉だけ見ると良い状態に思えるかもしれませんが、
どれも制御出来ないので本当にガンギマっているような感じです。

「そうだ俺は世界を支配して平和を作ろう。俺ならできる」とか考えて、
実際に行動に移したりします。

やべーでしょ。


2018年8月中旬


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?