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海外滞在中に見たくなる動画

数年前、半年弱の期間ですがヨーロッパに滞在していたことがあります。研究目的の滞在で、本当は数年いたかったのですが、家庭の事情もあり短期間で帰国しました。それでも多くの良い経験ができましたし、海外へ行くことが難しくなっている昨今の状況を考えると本当に贅沢な時間だったと思います。今回は、その期間に見ていた動画について書いていきたいと思います。

この時、私は結婚していたのですがら子供もまだいなかったので、単身赴任でヨーロッパに渡りました。また私のいた施設は日本人がおらず(途中から一人、別の研究室に来た)、日本語からは隔絶された生活を送っていました。

日中は働いているからいいのですが、夜にやることがなく、腕立て伏せなどの筋トレをしてみたり、いわゆるネットサーフィンをしてみたりで時間をつぶしていました。とそんな時、昔、アメリカに留学していた先生の話を思い出しました。
「アメリカにいる時は、やたら水曜どうでしょうを見てたな。ほぼ見たので細かいネタもだいたいわかる」

水曜どうでしょうは、大泉洋さんを中心としたバラエティー番組です。理不尽な旅をさせられた大泉さんとスタッフが喧嘩しながら進行するというパターンが多く、その様子が面白くて人気を博したようでした。北海道のローカル番組にも関わらず、その人気はすさまじく、全国放送もされていました。たしか私も高校生くらいの時にMXテレビで放送を見ていた記憶があります。

そこでその先生の話を信じて、ネットに落ちている水曜どうでしょうの動画をいくつか見てみることにしました。結果、理由はわかりませんが、見入ってしまいました。なぜか異国にいることを忘れ、海外ならではのストレスも薄らいでいく気がしたのです。あの少し緩い感じがいいのでしょうか。しばらく水曜どうでしょうの動画を探しては見ていました。

しばらくした時にYouTube動画に手を出します。当時、日本でそこまでYouTubeが注目されておらず、YouTuberという言葉がで始めたかなくらいの時期でした。私自身は普段、そこまでYouTube動画を見ていなかったのですが、YouTube自体は当直の時に音楽を聴いたり、昔の高校野球の映像を見たりで利用していたので、その存在は知っていました。

そこで私の唯一の趣味の野球関係のYouTube動画をいくつか探っていると、たまたま出てきたのか開設ばかりの「トクサンTV」でした。トクサンといえば、いまでは野球YouTuberとして人気ですが、チャンネルも含め当時はあまり知られていない存在でした。

私が見始めた時は、野球エリートで強豪草野球チームに所属するトクサンに、学生時代は万年補欠だったというライパチさんがいろいろ野球のことを教えてもらうという内容が多く、ちょうど人気がで始めた頃でした。また彼らは野手なので、ピッチャーに関してはトクサンが所属するチームのエースであるアニキさんがいろいろと解説してくれます。本当の初期の動画ではひたすら腕立て伏せをしてるだけとか、プロテインパンケーキを作って失敗するという動画もあったのですが、それらも含めて個人的には面白く、特にトクサンが説明する野球理論や練習方法については目から鱗が落ちるようなものがたくさんありました。その後、帰国してから驚いたのが、私の周りで野球をやっていた人たちが軒並みトクサンTVを見ていたことでした。それだけ多くの野球人の心を打ったのでしょう。ちなみに私はいまでも毎日、トクサンTVの動画をチェックしております。

私がこの動画にハマった理由として、トクサンの距離感にあります。このトクサンは帝京高校から創価大学に進み、ドラフト候補にはかかったものの残念ながらプロにはなれず、紆余曲折を経て今は草野球をしながら野球YouTuberとして活躍されている方です。帝京時代はベンチ入りはしていたもののレギュラーはとれず、そこから頑張って創価大学野球部のキャプテンまでのぼりつめられたという苦労人の一面も持ち合わせています。ここで書いた距離感というのは野球人としての距離感です。よく元プロではないからと言う人がいるのですが、トクサンのようなギリギリ、プロに行かれなかったくらいの方の話の方が我々、一般人には説明がわかりやすかったりします。野球はプロ並みにうまいけど、説明も理解しやすい。そういう意味での距離感が絶妙だと感じたのでした。
例えば、イチローさんにバッティングについての指導を受けても、おそらく普通の中学生や草野球人には理解できないと思います。またプロレベルになると感覚的にやられている場合も多々あると聞きます。少し前になりますが、かの長嶋茂雄さんがバッティングの話をされるとき、腰をビュッと回して、前でバーンとなどという感じで説明されていましたが、正直、私には理解できませんでした。一説によると、その理論を完璧に理解できたのは松井秀喜さんだけだったという話もあるくらいです。
一方で、トクサンの話は感覚的というより理論だった話が多く、バッティングや守備などの説明も非常にわかりやすいのです。いま野球をしている小学生や中学生が、こぞってトクサンの話を参考にしているということですが、大いに共感できます。そういう意味でも、いまの子供たちが本当にうらやましいです。

さてこのトクサンTVも、実は初期の頃、水曜どうでしょうっぽい雰囲気を出している場面が多々ありました。ライパチさんがけしかけて、トクサンが怒ってみたり、カメラにドアップで話してみたり。またトクサンが野球以外のことをゆっくり話される様子は、なんとなく大泉洋さんによく似て(似せて?)いました。これについては、トクサン自身が水曜どうでしょうのファンであったことと、動画の作りを少し水曜どうでしょうに寄せていたことを動画内で話されています。そうです、水曜どうでしょうもトクサンTVもなんとなく同じような雰囲気の映像だったのです。

ということで、海外に長期滞在するとこういう少し緩い雰囲気の動画が見たくなるのではないかというのが個人的な見解です。海外で生活してみると、言葉の壁や文化の違いなどでストレスがたまります。さらにいまはコロナ禍でそのストレスは通常より大きくなっているでしょう。どこまで助けになるかはわかりませんが、もしお時間があれば今回、紹介した動画や映像を見ていただき、ストレスを軽減していただけるとうれしいです。
ちなみに最近のトクサンTVは専門性が増していて、トクサンが元プロの人などに教わりにいくという動画が増えています。それに伴ってかは分かりませんが、水曜どうでしょうっぽい雰囲気は少なくなっている気がします。もし緩い雰囲気を体験したい場合は初期の頃の動画を見られるといいと思います。また野球に興味ない場合は水曜どうでしょうが最強だと思いますので、ぜひお試しください。


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