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『君たちはどう生きるか』感想

夢の中の世界のように、奇妙で不思議な映画でした。

夢の世界なので、ふわっとしか辻褄が合っていなくてもいいんです。どこかで見たことのあるような物、何かを象徴しているかのような物が多数登場しますが、それらは何かを意味しているのかもしれないし、意味などないのかもしれません。なにぶん夢ですから。

圧倒的に美しく精緻な作画、豊饒なイメージの奔流に、ただ没入しました。


濃密なファンタジー世界に魅せられ、この映画を劇場の大画面で見ることができて本当に良かった、と思いましたが。
なんだか「小粒な」作品だったな、と感じたのも確かです。

この作品に登場する人間は、全員が主人公の身内なのです。
父親と継母と、屋敷に住むばあやたち。
ヒロインは少女の頃の母親で、主人公の冒険を助けてくれる頼りになる女性は、屋敷のばあやです。
そしてラスボスが大伯父。
(ヒロインが母親だなんて! 誰得ですか。ときめき要素がゼロを通り越してマイナスです)

非常に閉ざされた人間関係の中で進む物語なので、世界観が壮大であるにもかかわらず、「小さい物語」だと感じてしまいました。

というのは、「冒険」という概念の中に、「未知なる人との出会い」が含まれると思うからです。
冒険物語には、「外の世界」のさまざまな人たちとの出会いが欠かせません。


母親(ヒロイン)と手を携えて、異世界に消えた継母を探しに行くという主人公の「冒険」は。
最終的に、「主人公が継母に対するわだかまりを克服する」という結果をもたらします。

小さいなぁ……それは「成長」ですらありません。

「外」で出会った人たちに感化されて、主人公が継母を違う目で見られるようになった、とかではないので。
すべてがあまりにも「内向き」です。

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