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防備録~「とある女性との対話」2022.1.17

これまた昨年から、こちらは私が主催している対話会です。

対話の出発点は

Q:「親に迷惑をかけてはいけない」、なぜそう思うのか?

A:これ以上、親に迷惑をかけたくない。
B:何かあったのですか。
A:今日まで育ててもらった。
B:子どもを育てるのは、親にとって、けして迷惑なことではないです。
  むしろ成長をみれるし、喜びだと思いますよ。
A:………

といったような会話に、若い人たちとなってしまいがち。なぜなのか?

A:親からの贈与(愛)を「不当なもの」だと捉えているから。

親からの愛を不当なものとして捉える。これは

で展開されている主張です。

子は、親の苦労を知ってしまうと窒息する。一方的な贈与の負い目に耐えられない。子ども目には、親の愛はどう考えても割に合わないものとして映る。贈与の無根拠性、不当性はもちろん贈与の力を生み出すのですが、それが幼い子どもにはあまりに大きすぎる。(p.90)

子は成長し、やがて親の苦労を知るようになる。親の苦労を知れば、

「(これ以上)親に迷惑をかけてはいけない」となるのは当然。


Q:なぜ親からの贈与(愛)を「不当なもの」となってしまったのか?

A:Hidden Violent Communicationが原因。

HVCはNon Violent Communicationからの造語。

NVC の要諦は4つ。

①観察すること(評価しない)
②感情に気付くこと(感情と意見を区別する)
③感情に責任を持つこと(客観視)
④人に対する要求(曖昧を避け肯定的な言い方で)をサラリと説明できて、他者共感することが出来る

NVC の反対は Violent Communication だが、VC は2つに別れる。

・Obvious Violent Commnication
・Hidden Violent Communication

いま、あなたの眼の前で2人の子どもがケンカしているとする。どのようにして子どものケンカを止めさせるか。

① 2人の言い分をよく聞き、双方の対話を促してケンカになった原因を突き止め、対話によってケンカを治める。

② 大人の権威・威圧を用いて、強制的にケンカを止めさせる。

③ オモチャなど、子どもが大きな関心を持つものを提示して、ケンカから関心を逸らせることで治める。

① は NVC。
② は OVC。
③ は HVC。資本主義は HVC の究極形。

HVC では対立原因の根本解決には至らない。対立の原因は温存・蓄積され、弱いところへシワ寄せされていく。資本主義社会で生きる親の大半は HVC のシワ寄せ被害者である。


Q:資本主義が HVC の究極形とは?

A:

人間のそもそものコミュニケーション形態は NVC である。

自然は、身体的拡張ではなく、社会的能力のほうを選んだ。
子育てや互いの生存のための信頼できる仲間。見返りを求めず助け合える関係性。
僕らは、僕らが人間となって文字通り立ち上がった瞬間から、つまり、人類の黎明期の一番初めから、「他者からの贈与」「他者への贈与」を前提にして生きてゆくことを運命づけられてしまったのです。
(『世界は贈与でできている』p.18)

贈与し合う関係は NVC 以外にあり得ない。
人類は NVC によって自然淘汰を生き抜いてきた。

NVC が VC へと変化したのは、人類の敵が人類自身になったから。
戦争や略奪は、OVC である。
が、非合理的。
そこで、貨幣が生み出される。
貨幣は OVC を回避する、いわば「平和条約」。
貨幣により OVC は(限定的ではあるが)回避できるようになり、貨幣によってHVC が広がっていく。

資本主義は、貨幣を増大させることによって人類のあらゆる活動を HVC にしようとしている。


Q:「親に迷惑をかけてはいけない」と思わなくて済むようになるには?

A:NVC を広げていけばよい。


感じるままに。