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4歳児の“イヤ!”は奥深い

人間歴4年とちょっと。自我が芽生え始めてからというもの彼女が伝える感情に母親歴4年の私は右往左往しながらも新しい心が芽ばえる度に、

“これもまた成長の喜び” 

“新たな試練”

と愛しい我が子と向き合っている。

イヤイヤ期というものがスタートした2歳頃は“イヤ”の質も大人の頭になってしまった私には簡単には対応できない場面も多かった。

何となくイヤ!パパの気分!理解不能のイヤ!…ぷにぷにの頬っぺと、クリームパンみたいなお手手の子が一生懸命嫌がっている。今となっては懐かしく可愛い。

そんな彼女も4歳児になった。お喋りが達者で大人びた事を言う時は思わず笑ってしまう。負けず嫌いで失敗が大嫌い。そんな彼女が今日言った“イヤ”に新たな試練到来だ!と感じたのである。

「明日保育園行きたくない」

「どうして?」

「明日の行事、上手くできないかも」

「上手く出来なかったらなんで困るの?」

「悔しいから。悔しくなりたくない。」
「頑張れなかったら嫌だから」

明日は普段とは違う園恒例の特別な行事がある。娘は数日前まで体調を崩し5日程、自宅で過ごした。さぁ!復活だー!の日がその行事なものだから家で私と甘えて過ごしたい気持ちも大きいので尚更なのだろう。

明日起こるかどうかも分からない事の想像をして嫌がっている。

あぁ。こんなに起こらないかもしれない先の事を考え不安になれる心になったのか。4歳児の“イヤ”奥深いな…そう感じた。

と、同時に母親の私は彼女にどんな言葉を伝えたら良いのだろう。泣きじゃくる彼女を抱き寄せ頭や背中を撫でながら相応しい言葉、態度を考えていた。

“失敗する事は悪いことじゃない”
“気楽にすればいいんだよ”
“一生懸命した人を怒る人はいない”

………いやいや。それじゃ彼女の中の解決にならない。気持ちの押しつけでしかないな…。「いやだー!」と泣き続ける娘に「いっぱい泣きなさい」と言いながら考えた。

あまりにも盛大に泣いてたものだから夫も心配して様子を見に来た。

夫「どうした?」

答えられない娘。

私「自分でお話できる?ママが言う?」

娘「できない。言えない。」

夫に事情を説明した。

夫は「なるほど…」
と深く一言いうと娘を見つめながら背中を撫で始めた。彼も相応しい言葉を探しだしたのだろう。

相応しいのか分からない。分からないが、気持ちにそってあげるのは絶対違うのだけは分かっていたので

「辛い気持ち嫌な気持ち凄く分かるよ」
「でも明日は行きます。お休みはしません」

はっきりと伝えた。

当然だがその日1番の大声で娘は泣き叫んだ。しばらく様子をみて

「今ママのお話聞ける?」と問うと泣きながらも頷いたので話を続けた。

「きっとね嫌だからって明日お休みしたら負けだと思うんだ。これからも何度も嫌な事はたくさんあるんだ。きっと今休んじゃったら次も負けてしまうと思うんだ。何より〇〇ちゃんは悔しいのが嫌だもんね?きっと頑張れなかった!って悔しい気持ちになるかも。その次の日に保育園行っても悔しいままかも。どうかな?」

「嫌な事を頑張るのは凄くしんどいの分かるよ。ママもそうだよ。けど、もし頑張れたら、また1つカッコイイお姉ちゃんになれると思う。運動会で頑張れた〇〇ちゃんの姿見たからママ知ってるんだ。カッコイイお姉ちゃんだってこと…どうかな?」

ゆっくりゆっくり娘に言葉を選びながらそう伝えた。すると止まらなかった娘の泣き声が小さくなって、ぎゅっと私の腕に強く強くなんどもしがみついて、そのまま眠りについた。

明日行くとも、やっぱり嫌だ。とも娘の答えは聞けなかった。腑に落ちて寝たのか泣き疲れて寝たのか。

私の言葉が正しいのかすら分からない。夫はどうだろう?同じ考えだっただろうか?腕に掴まって寝息をたてる娘の姿を愛おしい目で見つめていた夫と目が合うと、優しい顔でニコッと笑った。

“大きくなったな。可愛いね” 娘が起きるから言葉では言ってないけれど夫の表情を見てそう言っているように感じた。

奥深いな…4歳児の「イヤ」。

伝わっているかの答えは明日、起きた時に娘の笑顔が見られるかどうかだろう。

私の頭の言葉の引き出しは情けないほど乏しい。娘の伝える感情に直面してから気づくことばかり。

“頑張り過ぎたら楽しくない。
楽しいくらいで頑張ろう”

それが母親の私にとって娘に伝えたいこと。
何度も嫌なことを経験して彼女なりの答えがいつか見つかるといいな。

30代後半の私も未だ探しているのだけれど。

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