参議院文教科学委員会における著作権法改正の質疑まとめ

 参議院での著作権法の一部を改正する法律案を試聴しながらツイートしていたものをまとめます。FBにて田頭勉氏よりご紹介いただいたものです。

 概要をざっくり言うと、法改正では図書館のネット利用促進のため、特定の書籍の一部をメール等で送信できるようになるのと、放送とネットを同時に配信する際、放送の許諾を権利者から得ている場合同時配信についても許可を得ていると「推定」して扱うと言うものです。

 後者、特に注意が必要ですが、原則としては確認が困難な場合などにスムーズに権利処理を行うための物で、その許諾はあくまでも推定なので場合によっては取り消しも可能と言う内容でした。

 なお、それぞれの質問、及び答弁は要約です。横沢高徳議員以降は、原則として「」でくくった物が答弁の要約、「質問:」で始まる行は質問の要約、それ以外の物は所感として記述しています。その前の二人は思いつくまま書いていますがご容赦ください。ざっくりと書いているので一部誤解がある可能性があります。引用等精査の際には必ず動画の確認も併用されるようお願いします。その他の話題も若干出てましたが割愛してます。


赤池誠章(自由民主党・国民の声)

斎藤嘉隆(立憲民主・社民)

横沢高徳(立憲民主・社民)

佐々木さやか(公明党)

梅村みずほ(日本維新の会)

伊藤孝恵(国民民主党・新緑風会)

吉良よし子(日本共産党)

舩後靖彦(れいわ新選組)

補足:分配規程の間違い

所感

 著作権の教育の充実という話題が出たことは個人的に非常に好ましいものと思います。ぶっちゃけた話、今現在JASRACが抱えるトラブルの多くは著作権の現行法を理解していないために起こったものばかりなので。将来的には集中管理による1分野1団体の、この利用の時にはここに連絡すると言った感じの管理団体の増加が望ましいと思っています。が、現状はそう言う存在はおろか、場合によっては信託などをしていない権利者本人の意向ですら守銭奴のような扱いを受ける事がまぁまぁあります。極めてよろしくない状況ではありますので、将来世代の教育は是非お願いしたいです。

 そして「著作権は国益に直結する」という単語も出てきまして。自分が思い描いている、大雑把な未来像とも合致しています。文化芸能分野においては、国の方向性と自分の向いている方向は恐らく同じだろうなと言う感じがしたので心強くもあります。

 で、JASRAC等の著作権の論争において重要な物と言いますか、言い負かされた人がいつも頼りにする著作権法の第一条があるんですが。

第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048より

ここも今回の会議で大きな発言を拾えたと思います。文化庁の答弁において「著作権者への還元は文化の発展に寄与する重要な事」と明言されましたので、著作権法に記述された文化の発展はお金じゃないみたいな言説は一蹴出来るかと思います。基本的にこういう考えは根強いんですけれども、お金、文化、命は原則として不可分です。文化はお金じゃないって言う人が少しでも減ると有難いんですけどね。

「許諾推定について、報酬に同時配信分が含まれていない場合は推定が覆りうる」と言う答弁も運用に関しては非常に重要な内容だと思います。そう言う権利が明確になりましたよと言う部分に関しては周知はなかなか難しいかも知れませんがあくまでも推定ですよ、報酬はちゃんと支払いましょうと。一方で契約の話でもあるので、やっぱり契約の授業もね……。

取り急ぎ目についた議論等は以上です。来年の著作権法改正でまたお会いできましたらw

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