「箱」その1・・・あっという間に読める超ショートホラー。
「箱」その1
放課後、あまり親しくない、隣のクラスのユリコちゃんが、
青い顔をして近づいてきた。
「ねえ。アユミちゃん。昨夜アタシの夢の中にね、
あなたのおばあちゃんが出て来てね。
仏壇の引き出しに、お札の貼ってある小さな文箱があるらしいんだけど。
その中に大事なものが入ってるから伝えて欲しい、
って言って消えたんだけど・・・」
「え~。本当? 確かめてみるね。ありがとうございます」
ユリコちゃんはもっと話したそうだったが、
私が丁寧過ぎるお礼を言ったので、そのまま帰って行った。
ユリコちゃん。ありがとうね。そして、ごめんなさい。
あなたの夢に出てきたその人、私のおばあちゃんじゃないの。
あ~あ。今度はユリコちゃんの夢の中か、
先週は、霊感のある先輩の耳元で囁いたみたいだし、
その前は、商店街にいた占い師見習いの人に憑りついて、語り掛けてきたよな。
あの手この手と作戦を変えてくるけど、
いったいあの箱の中に何が入ってるんだろう。
気になるけど、我慢しなきゃ。
おばあちゃんが、亡くなる前に言ってたんだよね。
「あの箱だけは、何があっても絶対開けちゃいけないよ」って。
おわり
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