見出し画像

「最終回がいっぱい」・・・恐怖! 突然好きだったものが消えてなくなる。



『最終回がいっぱい』

いつもの漫画雑誌を読みながら、僕は奇妙な感覚に包まれていた。

漫画の主人公たちがおかしい。

ある主人公は、
これまでの戦ってきた敵を置き去りにして、遠くに旅立って行った。

別の主人公は、
炎の中で突然忘れていた自我を取り戻して、敵に寝返って去っていく。

また別の主人公は、プロレスの大会に向かう途中、
唐突に交通事故にあって、死んでしまった。

「これは何かが起きている」

大きな疑念が湧き、僕の心はざわついた。

「このままでは、大好きな連載漫画が無くなってしまう」

僕は雑誌の先を読むのが怖くなったが、
同時に「読まなければならない」という使命のようなものも感じていた。

覚悟を決めて読み進め、ついに最後のページに達した。

普段なら目を止めることなど無い、「編集後記」と書かれたページ。

僕はそこも舐めるようにして、隅から隅まで読んでいった。
そして、不幸な答えを見つけてしまった。

そこにあったのは、「廃刊のお知らせ」の文字だった。

「大好きな雑誌といえども、永遠にあるものじゃないんだ」

と初めて知った。

後に「虚無感」と呼ぶ大人の感情を味わった、遠い少年の日の忘れえぬ瞬間だった。

                   おわり




子供の頃、毎号読んでいた「ぼくらマガジン」という漫画週刊誌が廃刊になった。

「ぼくらマガジン」は、月刊紙「ぼくら」から週刊誌ブームに乗って「週刊ぼくらマガジン」となった雑誌。
「仮面ライダー」や「バロム1」「魔王ダンテ」などTV企画やその準備企画の作品を多く連載していたが、週刊になってわすか2年弱でその歴史を閉じた。
その最終号では、当然のように全部の連載が終了した。

その後、仮面ライダーなど一部の作品は、週刊少年マガジンに移って続きが連載された。
今でも単行本で読める作品は、どこから掲載紙が変わったのかを探りながら読むと、又違った楽しみ方が出来る。
(敬称略ですみません)

画像1



#朗読 #怪奇 #不思議 #最終回 #ぼくら #ぼくらマガジン #廃刊 #突然死 #ショートショート #秘密 #マンガ #コミックス #謎 #少年マガジン #仮面ライダー #バロム1 #魔王ダンテ #スキしてみて #習慣にしている事


この記事が参加している募集

スキしてみて

ありがとうございます。はげみになります。そしてサポートして頂いたお金は、新作の取材のサポートなどに使わせていただきます。新作をお楽しみにしていてください。よろしくお願いします。