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飲尿健康法

子どものころに、父の読んでいた本の中に、

「爽快!」
とか
「健康!」

みたいな赤い表紙の健康雑誌があったのが記憶に残っている。多分90年代の頭くらいだと思う。
その雑誌の中で、見出しが「飲尿健康法」っていうときがあった。これがすごいインパクトがあって覚えている。

雑誌の中には、有名人(誰だったか覚えていないが)が何人かインタビューを受けており、コップ一杯の取れたての尿を飲んですっかり毎日健康であるということを語っていた。

調べてみると、90年代当時は「爽快」という健康雑誌で長く特集を組まれており、健康に気を使っていた方の中には興味を惹かれ一口二口くらいは試した人もいたのではないかと思う。


子どもの頃の自分は

「そんなもん飲んでまで健康になりたくないな」

と思ったのと、おしっこを飲むというバカな中学生でも思いつかなかった健康法を大真面目に取り上げるという、チグハグな感じになんとも言い難い感情を抱いたのを覚えている。
だって、おしっこ飲むのいやじゃないですか。汚いものだと教わってきたし臭いし、他にも身体によさそうなものは幾らでもあるのによりによっておしっこって。

それから折に触れて、飲尿健康法のことを思い出したりしていたのだけれど、「気持ち悪い」以外の感想を持つこともなく生きてきた。どんな味なんだろうとは思うけれど、試そうという気はビタ一文起きなかったけれど。

あれから30年以上が経ち、さすがにもうあんな健康法は闇に葬られているだろうと思い、こないだ思い出したときに検索してみた。
そしたら未だ現役の民間療法としてバッチリ生き残っていて驚いた。


いろんな方が尿を飲めば健康になるといって進めており、尿浣腸とか尿洗顔とかも出てくる。
現役のクリニックの院長とかも飲尿を推奨していた。
有名な方だと、古舘伊知郎さんが健康のために続けているとのネット記事を見つけた。

飲尿健康法と聞くと、たぶん一部の方以外は、どうしてもすごい嫌悪感と拒否反応が出てくると思う。
ただ、とても高いハードルをクリアしたことで得られるプラシーボ効果というのはなかなかな効果を上げるんじゃないかとぼくなんかは思った。

「おしっこ飲むっていうすごいことをしたんだから、びっくりするくらいのリターンがあっていいはずだ」

という心の動きは、きっと誰だって起こるはずだ。

もしかしたら、本当にものすごい効果があるのかもしれないけれど、水がないところで他に飲むものがないし、飲まないと死ぬっていうところまでいかないとぼくには飲めないかもしれない。

そう考えると、ガンを患ってしまった方がすがる思いでこの健康法をはじめることをぼくは否定できないし、身内の大切な人が病で苦しんでいたらきっと可能性のひとつとしてすすめるかもしれない。なにせ無料だし手軽だし。

知り合いのQアノンの人が、クエン酸と松葉茶ですべての病気は治ると言っていたのよりかは純粋な気がする。
誰も尿を飲むことで儲かる人は多分そんなにいないから、だまして銭を稼いでやろうみたいな人も少ないだろうし。

ということで、飲尿健康法はそれなりに地位を築き、実践する人もそこそこいる民間療法として生き残っていたというお話。


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