裁判傍聴「女装して女湯に入った男」

 2024年2月26日、静岡地裁浜松支部にて裁判を傍聴したので報告する。


被告人と事件概要

被告人:愛知県在住 S被告 43歳男性 無職
黒いダウンジャケットにデニムのキュロットパンツ 茶髪のロングヘア―
で入廷

事件概要
 被告人は2023年4月6日、静岡県浜松市内の公衆浴場に身体的特徴が男性であるにも関わらず、女装をした上で女性用浴場に侵入した建造物侵入の疑い。

争点

「性自認が女性である」ことが女性用浴場を利用する正当な理由となるか?

判決と要旨

判決:有罪:懲役10か月(執行猶予3年) ※検察求刑は懲役10か月

要旨
 ・被告人は「トランスジェンダー啓発が目的」と主張するが、他の利用者
  の迷惑を考えない身勝手な行為である。
 ・被告人は同様の内容の前科があるが、その施設はトランスジェンダーで
  あることを申し出れば、専用の浴場を利用できたのにそれを
  しなかった。
 ・反省しており、前科の刑事罰が罰金刑でとどまっていること、
  父親が監督を約束していることから執行猶予をつけることが妥当。

※被告人の氏名については執行猶予がついており、更生を願う観点からイニシャル表記とした。

感想

 朝日新聞が2023年に行った世論調査では72%が同性婚を法律で認めるべきと答えている。パートナーシップ制度を始める自治体も出現するなどLGBTについて理解・関心が高まっているといえそうだ。
 しかし、風呂とトイレの問題は難航している。裸にならなければならないという特性上「身体的特徴の異なる」人が入ってくることへの抵抗感は根強い。
 同年、歌舞伎町のビルに「ジェンダーレストイレ」が設けられたが、わずか4ヶ月で機能停止となった。東京新聞によれば、個室前の扉まで誰でも入れるため「(女性が)男性に待ち伏せされたら怖い」という意見がSNSで相次いだという。LGBTの理解促進を進めなければならない一方で、風呂とトイレの問題を解決するにはまだまだ時間がかかりそうだ。

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