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ひろしま美術館に出会ったきっかけ

何度か広島県に訪れたことがある。
しかし、ひろしま美術館には行ったことがなかった。
というか、そもそも「ひろしま美術館」という存在を知らなかった。

なぜこの美術館を知ることが出来たのか。
それは、原田マハさんの著書『〈あの絵〉のまえで』を読んだからである。

この作品は、絵と、それを取り巻く人々についてが書かれた短編集だ。
感動する話もあれば心温まる話もあり、一度読んだ本をもう一度開く、ということが少ない私が、珍しく何度も読み返している作品だ。
中でも、「聖夜」という話は感動もので泣いてしまうので、公共の場では読まないことにしている。
美術鑑賞と読書が好きな人は絶対に気に入ると思うので、ぜひ読んでみてほしい。

少し話が逸れてしまったが、この本の1つ目の物語「ハッピー・バースデー」にひろしま美術館が登場する。
ネタバレ防止のために物語の説明はしないが、ひろしま美術館に所蔵されているフィンセント・ファン・ゴッホの《ドービニーの庭》が物語の中心となっている。
原田マハさんは学芸員をしていた経験もあり、美術作品を鑑賞した時の感情の記述がとても上手い。
私はこの物語を読み終わった瞬間、「ひろしま美術館に行って、自分の目で《ドービニーの庭》を観たい!」と感じた。

そして半年後、私はひろしま美術館に訪れていた。
施設自体は上野にある美術館などに比べて小さめだったが、所蔵作品はとても充実していた。
ドガ、マネ、モネ、ルノワールなどの印象派の作品もあれば、シニャック、セザンヌ、ゴッホなどのポスト印象派、新印象主義の作品もあった。
個人的にシニャックの作品が大好きなので、広島でも鑑賞することが出来てとても嬉しかった!

西洋美術だけでなく、黒田清輝、岸田劉生などの日本美術も展示されていた。

日本人だがフランスに渡り、西洋で高い評価を受けたという異色の経歴を持つレオナール・フジタという画家の作品は特におすすめする。

フィンセント・ファン・ゴッホ《ドービニーの庭》

《ドービニーの庭》は、近くで見ると絵の具による凹凸や筆の跡が直に感じられた。
この作品の前に立った瞬間、「ハッピー・バースデー」の主人公と自分が重なった気がした。

私をひろしま美術館まで導いてくれたこの作品は、本で読んだ通りの素晴らしい作品だった。

ひろしま美術館は私の生活圏から遠く離れた場所に位置するので頻繁に通うことはできないが、心を休めたいときに必ず私を支えてくれるであろう大切な美術館になった。

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