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花火みたいなチョコとクリームソーダ


トモダチ、ともし言ったとしても 
そうだよ、と 言ってくれるであろう20も下の二人と飲みに行ってきた。

帰り際 バレンタイン前だが
もう良いかと
お気に入りのチョコを2人に渡した。

飴が入っていて、口の中で小さな
線香花火みたいなパチパチが楽しく
可愛らしいチョコだ。

溶けてなくなった後も 
少しだけ残る余韻が心地良くて好き。

夏真っ盛りに見る花火というより
秋が迫ってきた頃に見る
それみたいな名残惜しさを思い出させる。
初めて食べた時の忘れられない感動だ。

その数日前に街に出た時のこと。
バレンタインが近づいたことを
チョコレート売り場を目にして思い出す。

まぁ、私にとっては 
確定申告の時期じゃぁぁ~~ん(-_-) ってことを実感せざるを得ない
嬉しくもなんともない季節の到来でしかない。

数字嫌いの私は 
落ち込みそうになる気分を払拭したくてたまらないので
用事もない(笑)のにチョコレート売り場を歩いてみた。
(特別な相手にチョコを贈るだけが能ではないのだ)


レトロチックなイラストが目を惹く 
ちょうどいいサイズ感で 
お気に入りのパチパチチョコがそこにいた。

近々飲みに行く彼らに 
今年一番乗りのチョコを渡すのは
日頃のお礼にも
ちょうどいいと思い付き 
いくつか味がある中で、
クリームソーダとコーラフロートを手に取った。

いつも小さなことから大きなことを
掘り下げて、広げて話が尽きない。
異なる感覚を持ち
似たような世界に住む
お互いの違いを楽しめるのは 
親子ほどに離れた年のおかげだろう。

このパチパチの楽しさを彼らと共有したかった。


ところで

クリームソーダやコーラフロート。
昔ながらの喫茶店では定番の
出た頃はきっとハイカラで洒落た
飲み物だったはずのそれら。

時代を経て 
エモレトロブームだとか映えだとか
昨今急に目にするようになった 
クリームソーダに関しては
青や白や紫など、
種類豊富に展開されて 
現代でも愛されるべく存在感を増しているようだ。

そんな変化は容認するとして。

あえて私は頑固おやじよろしく
やっぱり 緑のやつを、
クリームソーダと呼びたい。

で、
クリームソーダについて語りたい。

先日マクドナルドにて
『マックフロート®』なる類似品を見つけたので買ってみた。

緑のソーダの上にソフトクリームが乗ってる。
一口飲んで、うんうん コレコレ。
いいよ、懐かしい、好き。
でも 毒 (笑)

だがしかし。
違うんだ。


クリームソーダとの出会いは、
もしかすると40年弱前の夏休みだったかもしれない。

不健康な緑のジュースもコーラも厳しい実家では飲ませてもらえず、
「初めてのおつかい」みたいに
ふたつ上の姉と二人で、
初めての電車に2時間も乗って遊びに行った海沿いに住む 祖父母の家に行ったとき。
連れて行ってくれたファミレスで
(これも 初めてで興奮した。茶色のソファシートと天井のファンがお洒落だったのを覚えてる)

古き良き時代のクリームソーダをハイカラなことが得意でお洒落な祖母が始めて飲ませてくれた。
なんでも「初体験のインパクト」ってすごいもので、忘れない。


だから 急に蘇る脳内での正解、
つまり"好き"と、
マックのそれは 
全く似て非なるモノなのですよ。

アイスの部分が全然違う。
そんなんじゃ無いんだ!!
(ね!婆ぁちゃん!)

と 一方的に 言ってみるも、

その一方で 
いやこれ 
「マックフロート® メロン」ですからね。「クリームソーダ」とは
一言も名乗ってない、
だからマック 全然 悪くない。

とも思うのです。


あくまでも好みの問題ではあるけれど、私の
クリームソーダこだわりポイントは以下の通り。

緑の(濃い目がいい)
シュワシュワソーダに
四角の大きな氷、
その上には
シャカシャカの銀色の魔法みたいに
アイスが丸くなるパカってアレで
すくったアイスが
ポコっと乗ってるのが好きだ。

そのアイスはミルク感なんて
さほど無い 
ぱっさぱさのラクトアイスがちょうどいいと思ってる。

”昔はそれしかなかったんだよ” なんて言葉を言う年代になったのが なんかウケる。

まぁ、いいとして。

クリームソーダの魅力は
キッチンで作られてから、
運ばれてくる時間も重要なのではないかと思う。
その間によって起きる変化が 魅力を増すように思うから。

それは上のアイスが
緑のシュワシュワの水温で少し溶けて混ざって、
下の四角の氷でまた凍ることでできる緑のシャリシャリバニラアイスのこと。

個人的にはそのわずかな
しゃりしゃりを味わう為にオーダーすると言っても過言では無いくらいだ。
グラスの中で起きるその小さな化学変化が妙にありがたみを増すのだ


「お待たせしました、クリームソーダのお客様」とうやうやしい声とともにそれはやってくる。

緑の毒にぴったりの 
真っ赤な丸い毒が絶妙だ。
考えた人 天才。

待ってました!と言いたくなる興奮を悟られないよう 控えめに
「はい」と手を上げ 
そっと目の前に置かれるその可愛い見た目が もう美味しい。

毒なのに・・・( *´艸`)

グラスの足元に添えられた
細長い銀色のスプーンもなくてはならない存在だ。

こんな風に目の前に提供されるまでの必要なタイムラグにて 
クリームソーダは完成するのでは無いかとずっとずぅ〜っと 思ってる。

納得と懐かしさと違和感が入り混じるマクドナルドの
マックフロート® メロンを飲みながら 考えた。

口当たりは良いがアイスのミルク感の贅沢さが仇となり 
みるみるうちに緑の中に溶けて混ざっていってしまう。

緑のシュワシュワの
毒の最大の魅力でもあるパンチ力は瞬く間にマイルドになり ただのクリーミーなつまらない飲み物に 
あっという間に姿を変えた。

久しぶりに飲んだクリームソーダ
(類似品)は
"忙しい飲み物だなぁ" と
白緑の液体の中に残るクラッシュアイスを眺めながら思った。

パチパチチョコとクリームソーダ。
コーラフロートも 同じくだ。

毒はパンチ力も魅力の一つなのだから
何でもかんでもマイルドクリィーミー化する昨今のトレンドも 
いかがなものだろう。

人間も然りだ。

インパクトだけで余韻が残らない
上辺だけのそれはきっと
記憶にも残らない。


数年ぶりに飲む毒の変化に 
昭和の女はちょっとだけがっかりした話。




以上です。

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