わたしの好きな詩 ──心に静かに染み渡ります [第16回]
今回はぐっと古くなって漢詩の世界です。
遠くはなれた妻からの便りに返信の詩です。
夜雨寄北
君問帰期未有期
巴山夜雨漲秋池
何当共切西窓燭
却話巴山夜雨時
李商隠
いつお帰りになりますの、そうたずねる手紙があなたから来た。
でもまだはっきりしないんだ。
いま私はここ巴山のふもとの田舎旅館にいるが、
秋の長雨が夜も降り続き、前の池は水がいっぱいだ。
いつになったら帰って、居間の西窓のまえで、
ローソクの芯を切るほど夜おそくまで、
二人して語り合えるだろう。
そのとき、ここ巴山での雨の話をするよ。
君は帰期を問うも未だ期あらず
巴山(はざん)の夜雨 秋池にみなぎる
いつかまさに共に西窓の燭(しょく)を切って
さてしも話すべき 巴山夜雨の時を
*中学の終わりの頃、たまたま国語の教科書にのっていた
数篇の漢詩がきっかけで、漢詩の世界を知り、魅了されました。
好きな漢詩、おりにふれて公開していきたいと思っています。
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