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「年を取ったら愛想を良く」について考えてみた

職場の同僚から、こう言われた。

「気力、体力に衰えを感じる年になって思うのは、やっぱり周囲に対して愛想をよくしておかないといけないってこと。人に頼ることがどんどん増えていくからね。」

咄嗟にそのとおりだと思った。
老いを感じる年になってくると、自分の限界を否が応でも感じてしまうものだ。その時にどう立ち回ればいいのか?

そう思う反面、何だか違和感も感じる。
助けてもらうために愛想良くするって一体どうなの?
もっと、自分で生きていくすべを身につける方がいいんじゃないの?

老いと向き合うことが少しずつ増えてきた今、これから自分はどうすべきか考えてみた。

■「歳を取ると愛想良く」の意味

振り返ると、働き盛りになるにつれ、気力・体力も充実し、人との繋がりの幅も大きくなり、職場、社会の影響力も大きくなった。

しかし今後年を経て少しずつ一線から退いていくと、社会での影響力も小さくなり、体力も衰えてくると、自分の事さえも満足に出来なくなってくる。

人の助けを借りる機会が増えてくるのが現実。

こんな時に自然に人の助けを借りることが出来ればいいが、僕のような人に頼ることが苦手な人間は、ついつい自分で何でもやろうとしてしまう。

上手くいかないと、「こんなはずじゃなかった」と思い始める。
過去の自分を省みて、今の自分のふがいなさに自信を失う。
自尊心を失ってしまう。

だから、周囲に対して余裕を持って応対する事も出来なくなる。

自尊心を失ってしまえば、ますます人に頼る事を躊躇してしまう。

最近は孤独死も増えていると聞く。
要因のひとつには、人に上手く頼れないということがあると思う。

こんな状況にならないためにも、人に上手に頼る術を学ばないといけないのだ。

■「人に頼る」ことをネガティブに捉えてしまう

しかしやはり僕の中に、苦手意識を超えて、人に頼ることを拒む感情が存在する。
だから、これまでも人に頼らず自分でやっていこうと思って生きて来た訳だ。

考えてみると、自分には、自己責任、人に迷惑をかけちゃいけないという考えが強く刻み込まれているようだ。
僕が生まれた団塊ジュニア世代は、幼少期とにかく自己責任が叫ばれた時代。人に迷惑をかけるなと常に教育されてきた。
更に、男性特有の「強くあらねば」という思想も埋め込まれている。

人に頼むと、自分が落ちぶれた、駄目な人間の様な気がする。
また、人に頼ると、逆に頼られた時断れなくなってしまうという不安がある。
これらは偏った考えだということも分かっているけど、切り替えることがなかなか難しい。

■「人に頼ることが当たり前」に切り替えられる?


こんな人に頼るのが苦手な僕が、どうやったら躊躇なく人に頼る事が出来るだろうか?

人に頼ることは「弱い」わけじゃないと意識して、苦手意識を克服しないと。

いや、意識するだけでそんなに簡単に変えられるものじゃない。
過去から染み付いた信念はなかなか変えられない。
僕にとって人に頼るという事は、社会との付き合い方を根本的に切り替える事だ。

■自分の軸で生きること、他人の軸で生きること

人に頼ることありきで、自分で考えることをサボる怖さも感じる。

自分の頭で考えることをサボれば、社会、他人の考えを無条件で受け入れてしまう。
それでは、自分というものがなくなってしまう。これは他人軸で生きていくということ。
年をとって身体の自由が利かなくなる中で、他人軸で生きるほどむなしいことはない。

心に生まれる「モヤモヤ感」の理由はこんなところにある。

心の底から生まれてくる考え、こだわりは譲らない。これまでも自分の信念としてきたこと。
他人軸ではなく、自分軸で生きる。これは年をとっても継続したい。

■自分軸で生きるために、人に頼る

確実に老いはやってくる。
自分軸で生きていくにしても、全てをこだわって自分でやっていく訳にはいかない。

ここまで考えて出した結論。

老後に向けて必要なことは、「自分軸で生きるために、人に頼る」こと。

年齢を経て気力・体力が衰えていくと、どうしても人に頼らざるをえない。
自分のこだわりを今のまま全て満たすわけにはいかなくなる。
だから自分のこだわりを厳選していく。
そして自分の人生で最終的に譲れないこだわりを見つけ残していく。
こだわりの取捨選択。

この厳選した自分のこだわりを実現するために、積極的に人に頼るんだ。

そのために人との関わりを、より意識して結ばないといけない。
言葉で、自分の気持ちや意向を相手に伝える。
相手に上手く伝えるためには、「愛想」も時には必要だろう。

ようやく、同僚の言葉「年を取ったら愛想を良くしておかないと」が自分の中にストンと落ちた。

今後自分のこだわりを厳選していく中で、最後に自分に残る「こだわり」っていったい何なのか?
今から、こんなことを想像してみるのも結構楽しい。

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