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批判噴出の張本発言から私たちが学ぶべきこと。

もう一週間近くも前の話題になってしまったので書くべきか迷ったが、それでも一野球ファンとして、やっぱり記しておこうと思う。

「令和の怪物」と呼ばれる大船渡高校・佐々木朗希投手。最速163kmを誇る逸材だが、岩手県大会の決勝で登板せず、甲子園出場はならなかった。特に怪我をしていたわけではないが、疲労の蓄積を考慮した国保陽平監督が「怪我を未然に防ぐため」登板回避を決断したのだという。

だったら、なぜ4回戦で194球も投げさせたのか。打者としても優秀な佐々木選手を、決勝の舞台で出場させなかったのはなぜか。そうした疑問もあるにはあるが、こと決勝戦の“登板回避”のみに論点を絞れば、国保監督の決断は賞賛されて然るべきものだと思う。

ところが、この件に関して同校に苦情の電話が殺到したという。

「なぜ佐々木を投げさせなかったのか」
「甲子園に行きたくなかったのか」

そのどれもが、高校野球とはあくまで教育活動の一環であるという事実を忘れ、世にあふれるエンターテイメントのひとつとして消費したいという幼稚で軽薄な感情に支配されたものばかりだった。

そんななか、こうした観客目線とはまた別の視点から「投げさせるべきだった」と発言したのが、プロ野球で3000本安打を達成した張本勲氏。長年出演している『サンデーモーニング』のスポーツコーナーで、下記のような発言をしたのだ。

「最近のスポーツ界でね、私はこれが一番残念だったと思いますね。32歳の監督でね、若いから一番苦労したと思いますがね、絶対、投げさすべきなんですよ」
「監督と佐々木君のチームじゃないんだから。ケガが怖かったら、スポーツは辞めたほうがいい。将来を考えたら投げさせた方がいいんですよ。楽させちゃダメですよ、スポーツ選手は」

こうした発言については、一般の視聴者のみならず、現役のアスリート達も反発している。


先ほども触れたように、私自身も佐々木投手の登板回避には賛同の立場だったこともあり、毎週火曜日に出演しているラジオ『Seasoning~season your life with music~』において、張本氏の発言も含めて、この件について取り上げさせていただいた。

私の話を聞き終えて、この番組のパーソナリティを務める市川美絵さんが、率直な意見を伝えてくださった。ちなみに、市川さんは大のボクシング好きではあるが、野球に関しては特別詳しいというわけではない。

「私のような一般視聴者からすると、これまで野球界で活躍なさった方々の間でもこうして意見が分かれていると、どちらを信じたらいいのか、正直わからないところがあるんですよね」

なるほど。これは、ごもっともな意見だ。そこで、私からは市川さんにこんな話をさせていただいた。

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