見出し画像

ワクチン接種を猛スピードで進めていくために鍵となる2つのこと。

日本においても、ようやく新型コロナウイルスのワクチン接種が本格化しはじめた。イスラエルをはじめ、アメリカやイギリスなどの国では順調に接種が進んでおり、少しずつ元の生活が戻りつつある写真や映像などを見せられると、なかなか思うように進まない日本と対比してしまい、思わずため息が出る。とはいえ、嘆いてばかりいても仕方がないので、「ここからどうするべきか」という観点から前向きに考えていこうと思う。

菅義偉総理は、具体的な数字を示して次のような目標を掲げている。

「7月末を念頭に、希望するすべての高齢者に2回の接種を終わらせる」
「1日100万回の接種を目標とする」

はたして達成は可能なのか——。

このニュースはかなり話題になったので記憶にある方も多いかもしれない。菅総理の「7月末まで」に、一部の自治体が間に合わないと回答したのを受け、菅総理が「ショックだった」と発言したのだ。報道によれば、85.6%の自治体が「間に合う」と回答したようだが、秋田県・佐竹敬久知事が「みんなご機嫌伺いで、サバ読みのところがいっぱいある」などとコメントしたように、多くの自治体は総理の顔を立てるために可能性が低いものの前向きな回答をしたというのが実情のようだ。

私自身も、医療の専門家や現場で働く医療従事者に話を聞いいてみたが、あまり色良い返事は返ってこなかった。なかには、「なぜ総理はあんな目標を口にしたのか」と呆れた口調で言う方もいた。このような状況からも、目標達成はかなり難しい状況であることが伝わってくる。

それでも、私たちが安心して外出し、人と会うことのできる生活を取り戻すためには、「1日100万回」と言わずとも、なるべく早いペースでワクチンを接種していくことが重要になってくる。

その上ではポイントとなってくるのは、どんなことなのだろうか。私としては、次の2点だと思っている。

ひとつは、今週になって報道でも伝えられるようになってきているが、やはり「打ち手」を増やすことだ。現在、日本でワクチンを打つことができるのは、医師、看護師、歯科医師に限られている。そのため、ワクチン自体が確保されていたとしても、打ち手不足がボトルネックとなって、スピード感を持った接種が妨げられてしまっている現状があるのだ。

だが、そうした状況は何も日本だけで起こっていることではない。アメリカもしばらく同じ状況に陥っていたが、いくつかの州では医学生や看護学生、場合によっては救急隊員までもが現場に入り、医療機関スタッフに代わってワクチン注射を打つなど、打ち手を増やすことに成功しているようだ。

また、イギリスでは一般人であっても一定のトレーニングを受ければワクチンの打ち手になれるよう法改正までしたという。今回のワクチン接種が筋肉注射という、そこまで高度な技術を求められるものではないことが大きかったという。

日本でも、ようやく薬剤師も打ち手になれるよう活用すべきだという意見が出てきたが、そこからさらに打ち手を広げる施策を考えていく必要があるのかもしれない。


もう一つのポイントは、

           ------✂------

ここから先は有料公開となります。

個別の記事を数百円ずつご購入いただくよりも、定期購読マガジン(月額1,000円)をご購読いただくほうが圧倒的にお得となります。

月の途中からご購読いただいても、当該月の記事はすべて読めるようになっているので、安心してご登録ください。

記事の更新はみなさんからのサポートに支えられています。ぜひ、この機にご登録をお願いします!

「乙武洋匡の七転び八起き」
https://note.com/h_ototake/m/m9d2115c70116

ここから先は

1,599字

¥ 300

みなさんからサポートをいただけると、「ああ、伝わったんだな」「書いてよかったな」と、しみじみ感じます。いつも本当にありがとうございます。