「高齢者から運転免許を取り上げる」ということ。
2019年に池袋で暴走事故を起こし、松永拓也さんの妻子の命を奪った飯塚幸三被告に、損害賠償として約1億4000万円の支払いを命じる判決が下った。
二人の尊い命が失われているのだから、これをもって「高い」だの「安い」だの論じることはできない。だが、「1億4000万円」という金額を驚きをもって受け止めた方は少なくないだろう。もちろん、これだけの金額になったのには飯塚被告が「ブレーキを踏んだのに加速した」などと車の故障が原因であったかのように強弁し、遺族に謝罪する意思をまったくと言っていいほど見せなかったことなども理由として挙げられるのだろう。
もちろん、1億4000万円が支払われたところで、松永さんの妻子が帰ってくるわけではない。それでも、せめてこれだけインパクトのある金額が提示されたことで、高齢者のみならず、ハンドルを握るすべての人が「凶器を運転しているのだ』という自覚を改めて持ってくれることを望むしかない。
こうして判決が下ったことで本件についての議論は収束に向かうだろうが、とはいえ高齢ドライバーが引き起こす事故の問題が解決したわけではない。やはり高齢になればなるほど認知機能の低下は免れず、事故を起こす危険性は増すことになる。
飯塚被告の事故のみならず、近年は高齢ドライバーが事故を起こすたびに「高齢者は免許返納しろ」との声が高まり、実際に80歳以上の免許返納率も高まってきている。しかし、ネット上ではそこからさらに踏み込んで、「80歳を超えたら一律に失効とすべき」といった“強めの”主張も見受けられる。
高齢者から強制的に運転免許を取り上げる。
何の罪もない尊い命が奪われることのないよう、こうした施策を進めることはアリなのかナシなのか。みなさんと一緒に考えてみたい。
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