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ベーシックインカムは、オワコンなのか。

ベーシックインカムの議論が始まって、もう10年ほどになるでしょうか。18世紀末に活動していたイギリス人の社会思想家トマス・ペインによって提唱されたのが始まりと言われるこの社会保障制度については、いまやヨーロッパだけでなく世界中で導入の是非が議論されていますし、一部では実証実験を行なっているところもあります。

日本でも多くの人々がベーシックインカムに惹かれるのには、これまで複雑化しすぎた社会保障制度を一元化できるとか、将来的に破綻の恐れがあるとも言われる現在の年金制度に替わる社会保障制度が必要とか、さまざまな理由があるでしょう。

もちろん、反対意見として、「一定の所得が保障されることで労働者のモチベーションが低下するのでは」といった声も上がっていましたが、実証実験の結果、「そんなこともないのでは」という声も上がっていたりします。実際のところは「やってみないとわからない」というのが正直なところでしょうが、あまりに膨大な財源を必要とするため、そう簡単に「やってみる」と踏み切れるものでもありません。

しかし、数年前にはかなり盛り上がりを見せていたベーシックインカムに関する議論ですが、ここ最近はかなり落ち着いてきた感があります。それはベーシックインカムに対する期待が下火になってきたということなのでしょうか。それとも、ひと通り議論がし尽くされ、新たな切り口が生まれなくなったということなのでしょうか。

国政においては日本維新の会が早くからベーシックインカムには積極的で、長らく政策の柱にも据えていました。ところが、昨年7月には馬場伸幸代表が、財源の確保に課題があるため、段階的な導入や支給金額の見直しなどを検討しているとトーンダウン。次期衆院選に向けての公約にも盛り込まれるかは不透明な状況にあります。

「ベーシックインカムはオワコンになってしまったのか」

私自身、ここまでベーシックインカムに対する考えをあまり表明する機会がないままだったが、あらためて「すべての人に等しく給付」という制度に対してどう考えているのかを綴ってみたいと思います。

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