ボッチャで出会った若者から、半年後にとんでもなく勇気をもらった話。
先週、北京パラリンピックが開幕したが、今回の話は東京パラリンピックまで話が遡る。
昨年の8月末、私は親交のあるジョージア大使🇬🇪から、「ジョージアのパラリンピック委員会の会長と懇談してほしい」と依頼を受け、彼らが宿泊していたお台場へと向かった。約1時間の懇談は私にとっても学びの多いものとなり、その内容は記事にも書かせていただいた。
彼らとの懇談が終了し、自宅に戻ろうとすると、すぐ近くに見慣れないアミューズメントスポットが出現していることに気がついた。
競技用車椅子を操作できたり、車いすバスケットボールを体験できるコーナーがあったりと「東京パラリンピックを体感できる」魅力的な場所だった。特にその後の予定もなかったので、「乙武の右腕」ことキタムラと立ち寄ってみることにした。
さてさて、こんな楽しさ満点の場所で、私がいちばんはしゃいでしまったのがボッチャ体験コーナー。「ボッチャって何?」という方は、ひとまずこちらからどうぞ。
これまで私は何度かボッチャに挑戦したことがあったが、毎回「体験」といった軽い程度で終わらないのが玉に瑕。そう、ついついキタムラ相手に本気になってしまうのだ。つまり、四肢欠損の私でも、健常者を相手にそこそこいい勝負ができてしまうのが、このボッチャという競技の面白さなのだ。
今回もキタムラ相手に勝負を挑もうとしたら、たまたま居合わせた青年が、「一緒にやりましょう」と声をかけてくれた。あれ、それとも私から声をかけたんだっけ……。図々しい私のことだから、私から声をかけた気もしてきた笑。
ということで真剣勝負の始まり。私が、赤。彼が、青。まずは的となるジャックボールを投げて、まずは先行の彼が一投目。おお、なかなかのコントロールだ。続いては私の番。エイッ。
くぅー、悔しい。負けてしまった。
「も、もう一回……お願いします!!」
恥も外聞もなく“泣きの一回”を懇願し、2ゲーム目に。
おお、ようやく感覚を取り戻してきたぞ。さすがに二連敗はかわいそうだと気遣ってくれた青年の配慮など気にも留めず、「一勝一敗に持ち込んだ」と気を良くして家路についたのだった。
その晩、Instagramを見ていると、DMが届いているのに気がついた。ついさっきお台場で熱戦を繰り広げてくれた青年だった。さっきは名前も聞かずに別れてしまったけれど、どうやらユウダイ君というらしい。
こんなオジサンを相手にしてくれて、お礼を言わなきゃいけないのはこちらのほうなのに、こんなご丁寧なメッセージをいただき、すっかり恐縮してしまった。そこから、おたがいのスマホで撮った写真を交換したり、「SNSに載せてもいい?」「いいですよー」といったやりとりをして、最後にもう一度、ユウダイ君に礼を述べてお別れした。
それから、ちょうど半年が経った、2月末のある夜のことだった。
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