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人生で「死」を考えたことが、二回だけある。(後編)

先週は、京都市で起こったALS患者の嘱託殺人事件など、「死」と向き合わざるを得ないニュースがいくつかあったので、noteでも私自身が「死」について意識した二度の経験について書き始めた。

ところが、書き始めてみると、ついつい思いがこもって長くなってしまったので、仕方なく2回に分けることにした。今回はその「後編」だ。

一度目にあたる前編では『五体不満足』出版前夜の話をしたが、そのときは死を意識すると言ってもそこまで大袈裟なものではなく、さらに言えばその思いも長くは続くことなく、すぐに洗い流された。

しかし、いまから12年前に訪れた“二度目”に関しては、もう少し深刻なものだった。杉並区で小学校教員を務めていたときのことだ。

2007年4月、私は杉並区の公立小学校に教師として赴任した。着任初日、校長室に呼ばれたので車椅子で向かうと、当時の校長からこう言われた。

「あの、何と言うか……乙武先生がこうしていらっしゃることを、好ましく思っていない先生方もいらっしゃるので……いろいろ気をつけてください」

職員室であまり歓迎されていないことは伝わってきたが、「気をつけてください」という言葉が何を意味しているのかわからず、ただ困惑した。だが、しばらくしてその意味を嫌と言うほど味わうこととなった。

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「乙武洋匡の七転び八起き」
https://note.mu/h_ototake/m/m9d2115c70116

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