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となりのシムラは、もういない

あの最高に下らなくて、
何度見ても笑ってしまう質の高いコントを、
もう、見る事ができない。
そう言われても、まだ実感がない。
衝撃は、今も尾を引いている。

訃報を聞いた翌日、何度かお付き合いのある西日本新聞から
追悼文の依頼が来た。
まだ現実を受けいられてない状態で、何も考えられなかったし、
「となりのシムラ」という番組でご一緒したとはいえ、
自分よりも親交のあった人は、たくさんいるはずだと躊躇した。

しかし、志村けんという人を、〝見習い〟の時代からずっと見てきた者にとっては、計り知れないほどお世話になったのは間違いない。
そのお礼はしたいなと思った。
仕事相手としてではなく、小さい頃から笑わせてもらった日本国民の1人として
なら書けるだろうと、引き受ける事にした。

ある打ち合わせの時、台本に対して厳しいダメ出しをいただいた事がある。
いいところを見せようと調子に乗ってたせいか、
主題と関係ない余分な要素を足していた箇所があり、そこをすかさず突かれた。
志村さんは、僕に向かって真剣に言葉を投げかけていたが、
「あの志村けんが自分の目を見て喋っている」、
どうしてもそう思ってしまい、頬が緩んでるのがわかった。

忘れられない思い出となった。
一生の宝だ。



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