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「男・出川哲朗還暦祭り in 横浜アリーナ」開催

2024年1月14日、
横浜アリーナを1万2千人のお客さんが埋め尽くし、
「出川哲朗還暦祭り」が、一年の準備期間を経て本番を迎えた。
手前味噌になってしまうが、終わってみて、
これまでこんな規模のお笑いだけのライブは見たことがなかったし、
今後、これを超えるのもそう簡単ではないと思う。
時間は経ってしまったが、未だ少し興奮が残っている中、
一端を担った者として綴っておきたい。


開演前

当日お昼前から、リハーサル開始。
これだけの出演者、演目があるのに、全体通してのリハーサルは当日のみ。
本当にこの規模のライブが成功するのかやや不安はあったが、
内容は決まっていて、あとは本番の演者さん次第という事もあり、
大事なキッカケなどの決め事を確認しながら2時間ほどでほどなく終了した。
主役がまったく何も知らない前代未聞のライブが本当に実現しようとしている。
それにしても、
横浜アリーナに初めて足を踏み入れて、想像以上の大きさにたじろいだ。
チケットは即完したとは言え
こんな広い場所が埋まるほどのお客さんが本当に来るだろうか?
だが、ちょっと用事があり、客入れが始まったロビーに出てみると、
その不安は一瞬で吹き飛ぶ。突然人の群れが眼前に広がった。
客席へと向かう流れとは別にもうひとつ長蛇の列が出来ていて、
それは、グッズ売場へ続く列だったようだ。
間違いなく1万2千人が、出川哲朗という男の晴れ舞台を見に集まって来ていた。

オープニング

客席がどんどん埋め尽くされていく中、
会場内に設置された巨大モニターに出川君出演のCMがいくつか流れたところで、
まずは〝前説〟が始まる。
担当したのは三四郎。
彼らが前説をやる事自体、今となっては贅沢な事だが、
マセキ芸能社総出のイベントであり、この後の豪華な出演者を考えれば
順当な役回りと言える。
そして15時30分、ライブ開幕。
まずは、このイベント開催のキッカケとなった
昨年2月の『オールナイトニッポン』55周年として放送された「ウッチャンナンチャンのオールナイトニッポン」での発言からこの日までの振り返りVTRが流れる。


続いて、出演者の紹介。
M-1決勝出場者紹介並のテンションで次々に映し出され、
そのラインナップの豪華さに客席のテンションは早くも上がる。
そして仰々しいファンファーレが鳴り響き、メインステージの扉が開くと、
まず登場したのはウッチャンナンチャン。
紹介VTRでは、「総合司会・内村光良、大会委員長・南原清隆」と
別々の紹介だっただけに、いきなり2人並んでの登場に客席からは
不意を突かれたように歓声があがる。
僕も、2人が並んでステージに立つ姿に、胸が熱くなった。
続いて、このイベントのMCとして、バカリズムと、いとうあさこが登場。
そして、ここからようやくイベントの主役の登場となる。

客席一体となって「哲朗ー!」という呼びかけと共に、
メインステージ反対側の登場口が開くと、立ちこめるスモークの中から
この日の主役、出川哲朗君が、スイカのヘルメットをかぶり、電動バイクに跨がって現れた。
実はこの日、テレビ東京の自身の冠番組「充電させてもらえませんか?」のロケが直前まで行われていて、この日のゴールが、ここ横浜アリーナだったのだ。
つまり、このイベントのオープニングが、「充電させてもらえませんか?」の番組のエンディングとなるわけだ。
このイベントは、あらゆるテレビ局の協力によって成立した側面もある。

会場内を声援に応えながらバイクでゆっくりと一周したあと、
メインステージにようやく主役が到着。
ここからイベントが始まるのだが、
主役の出川君は、このイベントの内容をほとんど聞かされていない。
前代未聞のイベントだった。

堀内健 「開会宣言」

そして、ようやく開会宣言。
大役を担ったのは、ネプチューンのホリケン。
ヨレヨレのジャージにサンダル姿でポテトチップスを食べながら登場。
手紙を書いてきたと言って、広告チラシの裏に汚い字で書かれた
「出川さんの好きなところ」を読み上げていく。
さっき思いついたような演出だったが、
実は、かなり前から考え、しっかりと練り上げたものだと思う。
そういうのを一切感じさせないのが、〝ホリケンらしさ〟だ。

ホリケンと、会って話したのは、
思えば「笑う犬」をやっていた時以来だったかもしれない。
出番が終わって少し喋る時間があり、なぜかLINE交換をした。

狩野英孝 「50TA」

2番手は、狩野英孝。
テレビ朝日ロンドンハーツで人気を得た「50TA」として
センターステージに登場。
話題になった曲「PERFECT LOVE」を歌い上げる。
「男子!」「女子!」の大合唱が巻き起こる。
これもテレビ朝日の惜しみない協力によって実現した。

このパフォーマンスは、意外なほど盛り上がった。
これを見ていた何人かの出演者が口々に言っていたのが、
「狩野にスター性を感じた」という事だった。
確かに、横浜アリーナのど真ん中に設置されたセンターステージに
ド派手な衣装で登場し堂々と歌う姿に、全員が心を掴まれ、
会場に一体感が生まれていた。
いわゆる〝華がある〟というのは、こういう事なのだろう。

ナイツ 「漫才」

圧巻の狩野のパフォーマンスが終わると、場内に三味線の出囃子が聞こえてきた。
狩野の余韻が残っていただけに、この落差で笑いが起こる。
構成としては上々だ。
センターマイクが置かれ、ナイツが登場し彼らの18番の漫才、
「出川哲朗について、ヤホーで調べてきました」をいつも通りに披露する。

横浜アリーナという場所柄、終始やりづらそうだったが、
ネタの出来栄えはさすがで、しっかりと最後までウケていた。

さまぁ〜ず 「悲しいダジャレ」

続いてさまぁ〜ずが登場。
先述したように、このイベントは、昨年2月の「ウッチャンナンチャンのオールナイトニッポン」で発表されたわけだが、その時に、出川君本人に、どういうゲストに何をやってほしいかというリクエストをざっくりと聞いていた。
そして、それがことごとく実現することになる。
もちろん、それは出川君の知るところではない。
というわけで、主役のリクエストにより、さまぁ〜ずは、今では滅多にやらなくなったネタを披露することに。
大竹君が「悲しいダジャレ」を言って、それに対して三村君がその場でツッコんでいくという、さまぁ〜ずには珍しく、その場で立ったままの漫才風のネタだった。

出番前に、三村君はネタ合わせをしておこうと声をかけたが、本番1発のノリを大事にしたい大竹君は、それを頑なに拒否していたらしい。
そして本番。大竹君が繰り出すダジャレが全部見事にハマり、対する三村君のツッコミも波に乗り、最後まで大きな笑いに包まれた。
さすがとしか言いようがない。

大喜利コーナー

さまぁ〜ずのネタが終わった流れで、大喜利コーナーへ。
内村の仕切りで、さまぁ〜ず、そして大喜利要員として、ホリケン、ずん飯尾、
ロッチ中岡が参戦。
ナンチャンは、次が出番で、その準備のため一旦はける。
サングラスこそしていないが、内村の仕切りでさまぁ〜ずが参加する大喜利が、
かつての「内村プロデュース」を彷彿させ、その時点で期待度が高まったが、
ここに、なんとバカリズムも加わる事になった。
バカリズムとさまぁ〜ずが並んで大喜利をやるところは、おそらく今後もテレビでも見れないと思う。
そして、大喜利のスペシャリストが並ぶ中に、オマケとして出川君も参加することになった。本人は大いに嫌がったが、有無を言わさず席が作られ、フリップとペンを持たされる。

この豪華なメンバーで大喜利が始まったが、これが本当に凄まじかった。
全員がじっと考えている沈黙の時間など全くなく、1問目の問題が読み上げられると、すぐにペンが走り始め、すぐに手が挙がる。
当たり前だが、彼らは事前に問題を知らされてはいない。なのに、信じられないくらいのハイレベルな回答が、まるで編集したかのような早いテンポで展開された。
各自の能力の高さには、本当に舌を巻くばかりだ。
そんな中、答えている途中に「違います!」と斬り捨てられる出川君も、充分に持ち味を発揮していた。

《記憶に残った大喜利回答》
Q、還暦イベントで、絶対に言ってはいけないひと言を教えてください。
    「・・・はあ」by バカリズム
Q、日本一チャラい劇団「劇団チャララ」、どんな劇団?
    「水タバコタイムがある」by ホリケン
    「打ち上げに知らない女性がいたりいなかったり」by さまぁ〜ず三村
    「照明が全部間接照明」by バカリズム
    「南原座長」by さまぁ〜ず大竹
Q、これってジブリの最新映画かな?と勘違いしてしまう映画のタイトルを教えて
  ください。
    「知り合いの部下」by バカリズム
    「千円と二千円だけの財布」by さまぁ〜ず三村
    「家賃いらずの大家さん」by ずん飯尾
    「オーバードーズのパキ子ちゃん」by ホリケン
    「おのののか姫」by バカリズム
    「借りパク女のヨシエッティ」by ホリケン
    「世田谷の子」by ずん飯尾

南原清隆

その昔、一世を風靡したナンチャンの持ちギャグ、「ナンバラバンバン」。
その第2弾をなぜか「ナンバラバンバンバンⅡ」という曲にしたので、歌いたいという本人たっての希望だった。
曲は、モーニング娘。の「ダンスマシーン」や「はっぱ隊」の作曲でお馴染みで
ナンチャンとは旧知の仲であるダンス☆マンが作曲。
ダンス☆マンも加わり、2人で終始気持ちよさそうに歌っていた。
単なるナンチャンの自己満足で終わるのかと思われたが、曲が終わったタイミングで〝はっぱ隊〟へと早替わり。同時に、はっぱ隊のメンバーとして、いとうあさこと三四郎が加わり、実に久しぶりの「はっぱ隊」の登場となった。

ナンチャンのこのステージへの意気込みはかなりのもので、葉っぱ1枚になるために体は仕上がっていたし、何と言っても練習熱心な性格から、この日は誰よりも早く会場に入り何度もリハーサルを重ねていて、実は、世代的にはっぱ隊をよく知らない三四郎には、特に熱心に指導していた。
しかし、よく考えると、どちらも出川君には全く関係のない内容だった。

太田プロオールスターズ (ダチョウ倶楽部、有吉弘行、土田晃之)

ダチョウ倶楽部が出てきたと言うことで、お決まりの出し物が。
まずは、熱々おでんが登場。
もう何百回と見てきたはずなのに、おでんが顔に付くとわかってるのに、
熱がるリアクションを見ると、どうしても笑ってしまう。
大したリハーサルもしてないのに、完成された抜群のコンビ芸が繰り広げられた。
しかし、それだけでは終わらなかった。
「あちらをご注目ください」の言葉をきっかけに、会場中央のセンターステージにスポットライトが当たり、なんと熱湯風呂がせり上がってきたのだ。
この瞬間が、このライブの一つ目のクライマックスだったと言える。
長年熱湯風呂の芸をやっている出川君も、浴槽がせり上がってきたのは初めてだったようで、ようやく自分の見せ場が来たとばかり、意気揚々とその場で生着替えをして準備に入る。
驚いたことに、いつもやらない有吉、土田の両名も海パン姿になり、全員で熱湯風呂に入る事になった。
しばし、5人のオジサンたちが、熱湯風呂に落ちワチャワチャと騒いでいたが、
しかし、これで終わりでもなかった。
ここで、絶妙のタイミングで「白い雲のように」のイントロが流れたのである。
つい数日前、「紅白歌合戦」で歌っていた曲だけに、MC陣も必死に止めに入ったが、有吉君が歌い出すと、この日1番の歓声が上がった。

紅白という晴れの舞台で歌った歌を、
今度は熱湯風呂に入ったあと裸のまま歌うという振れ幅の大きさ、
笑い的には、これ以上ないくらいの素晴らしいフリとオチ。
有吉君の度量には関心するばかりだ。
最初こそ笑いに包まれたが、上半身裸のオジサンたちが歌っている姿に、最初こそ笑いに包まれたが、最後の方では、なぜかしんみりとした空気感に包まれた。

田村淳

熱湯風呂の興奮のあと、スケジュールの都合で参加出来なかった人からの
お祝いメッセージが流れる。
キャイ〜ン、江頭2:50に続いて登場したのは、ロンブー田村淳くん。
冒頭、出川君へのお祝いの言葉が続き、すっかりVTRメッセージだと思っていたが、途中から、そこが横浜アリーナの出川君の楽屋前である事がわかり、ドッキリだというネタばらし。それがわかった瞬間、出川君も期待通りのリアクションをしていた。
そこからは、淳君が楽屋の中にズンズン入って行って、出川君の私物をいじっていくという、テレビ朝日「ロンドンハーツ」でよく見る光景が始まった。

それにしても、やり慣れてるとは言え、淳君の落ち着きぶりは見事だった。
失敗の出来ない生中継でのドッキリ企画を、手慣れた感じで淡々と進めていく技量には本当に驚いた。
「出川さんとは、この距離感の方がシックリ来ます」というひと言に、
2人の深い信頼感を感じ取れた。

ナインティナイン

豪華なゲストがこれでもかと次々に登場して、すでにかなり満足感があったのに、そこにダメ押し的にナインティナインが登場。
ひときわ盛り上がる。
出川君には申し訳ないけど、同じステージに、ナインティナインとウッチャンナンチャンが並び立っているというのも、とても新鮮に映った。
ここでは、出川君たっての希望で、3人が好きだというサザンの「みんなのうた」を一緒に歌うことに。
このナインティナインのブロックだけは、本当に一度もリハーサルが出来ていなかったので、歌詞が出る場所が違ったりなどの細かいミスはあったが、そこは、百戦錬磨の一流の人たち、臨機応変に対応していて心配には至らず。

「ぐるナイ」や「オールナイトニッポン」にゲストで呼ばれたりなどで、出川君とナインティナインの付き合いもかなり長いようだ。
そう思うと、本当に出川哲朗という人の交友関係の広さに驚く。

ウッチャンナンチャン

そして、ゲストのトリを飾ったのは、ウッチャンナンチャン。
出川君からのリクエストは、「あの〜、ほったら、ほら地下鉄のやつ、あれやってよ」だったので、初期のショートコントの代表作「日比谷線vs銀座線」を、
実に30年ぶりくらいに披露することになった。
そして、もうひとつは、「やるやら」時代に打ち上げの席でよくやっていたという
チャゲ&飛鳥の歌に乗せた、いわば宴会芸。
当時、チャゲ&飛鳥のパロディで、「チャケ&ヤスカ」というキャラをやっていて、打ち上げの場で出来上がっていったネタである。
デュオかなと思わせるが、終始、内村君は客席を煽るだけ煽るばかりで、歌おうとするが歌わない、結局、ナンチャンがずっと歌っていると、それだけのネタなのだが、そんな密室芸を横浜アリーナの花道やセンターステージを充分に使って、思い切り走り回ってやり抜いた。
ずっと歌っているナンチャンも疲れるが、歌わないのに無駄に走り回り客席を煽っていた内村君の方が、終わって肩で息をしていた。
久しぶりのウッチャンナンチャン2人によるパフォーマンスに、客席も大いに盛り上がったが、やはりこれは、チェゲアスの「YAH YAH YAH」の楽曲の強さに尽きる。

今回、久しぶりにショートコントをやるにあたり、まずは内容を現代版にアップデートするという作業が必要だった。

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