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#わたしの好きなヒト 3

「学生時代の友人」

彼女のことを書こうと思ったのは、この本に出会ったから。

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吉本ばなな 著 『「違うこと」をしないこと』


第一章で、

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本来の自分を生きるには、

「違うことをしない」「違わないことをする」

「したいことをする」に似ているけど微妙に異なる「違わないこと」

今の自分に問いかけるテーマでもあり、「わたしの好きなヒト」は、この観点を持って生きているヒトなんじゃないかな?と思って、ふと頭に浮かんだのが彼女だった。

彼女とのことで印象に残っているエピソードがいくつかある。

わたしの彼女の第一印象 

〜寮の新入生歓迎会〜

二人一部屋の寮で、三部屋くらいが集まって自炊の食事で歓迎会が開かれた。大学、社会人を経て入学してきた彼女、大学卒業後に入学した私。同じ部屋のヒトは、いくつか年下の同級生、いくつか年下の先輩だった。

私はその歓迎会で、その場に馴染もうと、新入生だけど大学生時代ハマっていたカレーを自ら作って振る舞うことにした。カレーが出来上がり、歓迎会が始まったけれど、彼女は全然楽しそうではなかった。そして、出来上がったカレーを、さぁ食べようとした時に、彼女が「私、カレーキライなんです」と言った。驚いた。確かに楽しそうではなかったけれど、この場でカレーキライって言う?

クレバーでクールな彼女。

近付き難い彼女。

それが彼女の第一印象。

この本を読んで、この過去の出来事を今思い返して気づいたこと。

彼女は自分に正直に「違わないこと」をしてたんだな。

確かに私も自分より年下の子たちのテンション高めの歓迎会の違和感を感じていたのに、それでも、その場の雰囲気に馴染もうとカレー作りをかって出た自分。私は「違うこと」をしていたんだ。

彼女のわたしの第一印象

〜公衆電話でのヤバい私〜

入学入寮した当時、私は家庭環境が不安定だった。まだ、携帯電話を持っているヒトは、チラホラしかいない時代。外との連絡手段は、寮にある一台の公衆電話だった。電話できる時間も決まっていて、外から電話がかかってくると寮生が館内放送を流し呼び出し取り次いでいた。

私を諭すために入れ替わり立ち替わり、朝かかってくる親戚たちからの電話。話しているうちに気持ちが沈み、電話越しで泣いてしまうことや長電話になり、授業に行きそびれることもあった。

そのことを、彼女は、しばらくして

「なんだかこの寮、長電話して泣いているヤバい子がいるなーと思った」

と話していた。

それが彼女のわたしの第一印象。

正直だ。

確かにあの時、私はヤバかった。

それを後になってでも私に言える彼女は

正直だ。

わたしが困難な状況に遭遇した時

最終学年の臨床実習で、私は、自分自身の弱さやデキの悪さから、8週間の実習を6週間で断念した。幸い実習先は、私を不合格にはせず、保留としてくれて、その実習を終えた。留年を回避するためには、別の実習先で3週間の再実習を受ける必要があった。同級生たちは、すべての実習を終えて、国家試験勉強に励む時期に、私は一人、再実習を受けに山梨に行った。

実習が保留になった時、いろんな友人が声をかけてくれたけれど、再実習を無事終えて、寮に戻って来た時には、国試勉強真っ只中の同級生たちの中での孤独感。出遅れた感。勝手に感じている疎外感。

友人たちは「大丈夫だよー。勉強できるんだからー。」と声をかけてくれるけど、そのコトバは、私の頭や心にはとどまらず、通り抜けていった。

国試の過去問か何かを解いて自己採点していた時に、そばにいた彼女が、私にかけてくれたコトバ。

「そんな点数で、大丈夫なの?国試、ヤバいんじゃない?」(一語一句正確ではないけど、そんなニュアンス)

正直だ。

このままだと国試はヤバかった。

それから、彼女は、私に国試勉強の特訓をしてくれた。彼女は成績優秀だったけれど、自分も勉強しなきゃいけないのに、私の国試勉強の面倒を最後まで見続けてくれた。

そして、私は、国試に合格して、はれて作業療法士となった。

彼女のおかげで、今、作業療法士として働けていると思っている。ホントに思っている。

わたしの恋愛

私は学生時代、同じ学校で付き合っていたヒトがいた。その彼氏は誰からも好かれそうな 『THE いいヒト・正しいヒト』で、周囲の友人は、「〇〇(私)と付き合うなんてもったいない」と言っていた。半分、冗談だけど、半分、本気だったと思う。

地元で就職した私は、その彼氏と別れることになった。別れた原因は、いいヒト・正しいヒトという彼氏の人柄に対する私の違和感だった。

彼女に別れた話をしたら

「付き合い始めた頃、なんで〇〇(私)あの子と付き合ってるのかな?と思ってた」

と言われた。

自分自身ですら「違うこと」に気づいていなかったのに、彼女には、それが「違うこと」だとお見通しだった。

その疑問を直接私に投げかける彼女は

やっぱり正直だ。

彼女は、「うわべだけの上手を言わない」

だからと言って、ヒトを褒めない訳ではない。

淡々と冷静に「すごいよね」と言う。

彼女は正直。

だから、彼女からもらう「すごいよね」は、何十倍も何百倍もとびきり嬉しい。

それは、彼女が正直だということを私は知っているから。

だから彼女のコトバは、ストレートに受け止められる。

もう何年も会ってないけれど

彼女は、自分に正直なままだと思う。

わたしの好きなヒト

それは、

自分に正直で

「違うこと」をしない

学生時代の友人。


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