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もっともっと、言葉の海を泳ぎたい。


ついに日本語オノマトペ辞典を手に入れて、うきうきしている30代女性がわたしである。

10月9日月曜日、祝日。朝から身支度をして、地元じゃ負け知らずの大型書店へ行き、在庫残り一冊だというその一冊を購入した。これはもうこの町のオノマトペ女王を目指そうと、辞典を抱きかかえながら決意する。スポーツの日が、わたしにとってのオノマトペ記念日へと変わった。

吉野家的に言うと
でかい、厚い、重い


うれしくて、くんくんにおいを嗅いで、こんなに言葉をたくさん集めてくださった編集者さんに感謝して、しばらくうっとり眺めて、そのままソファで辞典と添い寝しながら昼寝した。

オノマトペに興味を持つようになったのは、好きな作家さんが斬新なオノマトペの使い手で、魅了されてしまったからである。考えてみればわたしが好きな作品の文章は、オノマトペが豊かなものが多い。だから、オノマトペを制する者は文章を制するのではないかと考えるようになった(言いたいだけ)。まあ、単純に好みの問題だと思う。

ページを開くとオノマトペの海が広がっていて、まだわたしが出会っていなかった表現がこんなにある、伝えることを手伝ってくれそうな言葉がこんなにもある!ってゾクゾクした。

窓から外を歩いている人たちを見て、あの人はすたすた歩いてるけど、こっちの人はえっちらおっちらかなあ…なんて考える。夫がベッドでひたすら横になっているのを見れば、意味分類別さくいんの「働かない」のページを開いて、これはごろごろ。ぐーたら。いや、のんべんだらりがいいかもしれないと観察する。なんてたのしい。

わたしの日々に起こるできごとの数は限られていて、だけどそれをどんな言葉で観察してどんな言葉で表現するかは、自分次第でどこまでも豊かに広げていけるんじゃないかと最近思いはじめている。そのための武器をまたひとつ、手に入れた。何度も使いこんできたなじみある言葉だけで書いてもいいけど、辞典をめくって、毎回ひとつふたつ自分にとって新鮮な言葉を使ってみれば、書く世界がすこしずつ深く広く変わっていくかもしれない。それはオノマトペに限らず。地味で地道だけど、そんな積み重ねだとも思う。辞典にはおよそ4500語。さあ、いくつ自分の言葉にしていけるだろう。もっともっと言葉の海、オノマトペの海を泳ぎたい。

どんなときもオノマトペを絶やさずに生きていこうと誓ったのであった。


おわり

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