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松葉杖をついてみた話

松葉杖をついてみました。人生初です。

原因は、大変お恥ずかしい話、雨の日に階段を急いで下っていたところ(急いでいた理由もお腹を下していてトイレに急いでいただけ)足を滑らせて、そして…といった理由なら話は少し盛り上がるのかもしれませんが、ただの持病による手術をしました。靭帯が緩かったので縮めました。

(まじで↑のようなことが起きた場合、大惨事でしょうね)

そういうわけで、術後3週間ほど、人生で初めて松葉杖をつくことになりました。以下、感想などをまとめました。

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(術後の写真、関係ない方の足(右)もグルグル巻くらしい、血栓予防だそうです)

1.難しい。疲れる。

まずはこれ。とにかくしんどい。こんなに体力必要だったんですか?という感じでした。退院初日、松葉杖で街に繰り出した僕は20mそこらで疲れ果て休息をとりました。それから休み休み、時間をかけて、歩きました。こんなにも疲れるのなら手術なんてしなければよかったとまで思いました。

階段はもちろん難しいのですが、平地でも微妙な坂があったりするとバランスがとれなくて大変でした。(駐車場の入り口のための傾斜とかです)

ただ、結局は慣れだろうということで、とにかく外出することにしました。松葉杖も訓練あるのみ。これが意外と効きました。一度に休憩なしで連続で歩ける距離(これを連続歩行距離と呼ぶ)は、最初は上述したとおり20mくらいでしたが、日に日に距離を伸ばし、最後の頃は、どれくらい連続で歩いているかを意識しなくなるほどに上達しました。ちなみに、一度に休憩なしで歩ける時間(継続歩行可能時間)というのもあります。

ただ、どれだけ距離と時間が伸びても脇と手のひらはさすがに痛みがきて、しんどかったです。手のひらが痛いともうどうしようもないですからね。

まあそれでも、最後の方は松葉杖なしのおじさん、おばさんよりは早く歩けるようになったので、僕も松葉杖マスターにはなれたのではないでしょうか。

2.不便

そりゃそうなんですけど、不便でした。

まず、そもそも論として医療がこれだけ進歩しているのになぜ松葉杖だけは姿形をそのまま残しているのか(友人との会話の抜粋)という大問題があります。若いから(現在23歳)なんとかなったものの、もう少し歳いってから松葉杖だったらしんどかったものと思われます。もう少し疲れずに歩きやすい何か(車いすではなく)開発されないものでしょうか。新しい資本主義、新しい松葉杖、頼みますよ岸田さん。

それから、移動に相当の時間を取られました。これは、歩行速度の話というよりは、経路の話です。エレベーター、エスカレーターのある場所から行こうと思うとこれがなかなか大変で、通常時ならさくさく進めたところも松葉杖だとそうもいかず、かなり遠回りをする必要がありました。(最終的には階段を攻略したので、この問題は解決しました)車いすの方々は、日々こういう気持ちで暮らしているんだなあ、と痛感しました。

ちなみに、1番切なかったのは、少し早歩きをして急げば余裕で間に合う距離の電車に間に合わず、見逃すことしかできなかったことです。まさしく手も足も出ず、電車に乗れず、無力だなあと駅のホームで立ち尽くしました。

学生のころ、松葉杖をついている友達をみて何となく「かっけー!」と思ったいたこともありましたが、松葉杖なんてつかないにこしたことはありませんでした。健康が1番

3.人の温かみを感じた

そしてこれです。結局皆さん優しかった。

電車では席を即座に譲ってくれた。優先席の絵の例示のとおりの格好をした人間が目の前にきたら譲るしかないのかもしれないが、それでも皆さん快く譲ってくれた。確実に松葉杖が目に入っているにも関わらず、狸寝入りをしたり、新聞の囲碁の盤面をずっと見て、席を譲ってくれないおじさんもいたけど、それでも皆さん大概は譲ってくれた(囲碁のおじさんだってどっか体悪いのかもしれないですからね)

ちょっと面白かったのは、葛藤の末に譲ってくれた人です。

(うわあ…今の今まで寝ててパッと顔をあげたら松葉杖の人間おるな…いま、こいつとほぼ目合ってしまったな、寝たい、今ならギリ見なかったことにして寝れる、寝よう、いや、松葉杖の人間をみて譲らないのは…あああ…くそう…譲らざるを得ん…立つか…)という思考を経て譲ってくれるような方です。人の好さがにじみ出ていました。ありがとうございました。大変助かりました。

夜、雨の中自宅へ帰るときに、公園で思いっきり転んだこともありましたが(歳が歳ならもう1つ怪我が増えてるくらいの転び方はした)、どこからともなくおじさんとおばさんがかけつけてきてくれて、助けてくれました。恥ずかしさと申し訳なさのあまり急いでたったところ、リュックの重みでバランスを崩してもう1度後ろに転びました。さすがに恥ずかしかった。それでもおじさんおばさんは優しかった。どうかあのお二人に今年中に何かいいことがありますように。

4.その他感想

松葉杖という少し不便な生活をすることによって、世の中の解像度がまた少し上がった気がします。何事も経験とはいいますが、これも一ついい経験になったと思います。松葉杖や車いすの人にとっては不便な仕組みはこの社会にたくさんあること(ただしそれは彼らを差別しているものでもない)、そういった不便を解消するには人の助けが大切なこと、などなど。

ひとまず松葉杖期間は終わりましたので、リハビリ頑張ります。


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