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【サシ劇台本】ゴミ捨て場のBaby

男= 性別不問 (女性に変更OK) 
女= 女性

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――病室――

女「…赤ちゃん…赤ちゃん…ゴミ捨て場に…」

男「お目覚めですか?」

女「死神!」

男「いいえ 死神では ありません。
  どうして 死神だと思ったのですか?
    昏睡状態から目覚めて
   目の前に知らない人がいたら
  普通なら 誰!?って言いませんか?」

女「そっそれは…ワタシ…赤ちゃんを…
      殺して…捨てた…」

男「ああ なるほど…」

女「迎えにきてくれたのかと思って…
   地獄へと連れてってくれるのかと…
     生き残ってしまったのね…」

男「残念ですが …
   連れて行けないですね
     私は人間ですので」

女「赤ちゃんは、天国へ行けたかしら…              (泣)」

男「残念ながらアナタの赤ちゃんは
  天国には いません。もちろん地獄にも 」

女「えっ!? どういうこと??」

男「赤ちゃんは死んでいなかったんです。    かろうじて息をしていました。
     生きてたんですよ !」

女「赤ちゃん 生きてた…良かった 」

男「その言葉が聞けて良かった…
       長年の怨みが…消えたっ」

女「どういうこと??アナタは いったい??」

子(青年)「私が その赤ちゃんです」

母「あっ…うう…(泣き崩れる)」

子「 貴女は、ワタシを捨てた後に
  近くのビルから飛び降りたそうですね。
   ワタシは、ずっと男に対する腹いせと
  私の首を絞めた罪の意識からだと
   思ってました。
だが、それは…違うのですね 」

母「ワタシは…ワタシは… 」

子「貴女が、一瞬 躊躇(ためら)ってくれたから私は 死なずにすんだのです。
   貴女が生かしてくれたのです」

母「でも…ワタシは
  アナタを殺したことには かわりない…
あの人に処分して来い !って指示されて… あの人の偽りの愛を優先した…
   母親として失格よ…」

子「でも、私の為に後を追って
   死のうとしてくれたじゃないですか?!」

母「我が子を殺したのよ…
   ワタシは…死んで詫びたかった…
    偽りの愛を優先したワタシを
   殺したかった…」

子「もう 苦しまなくていいんですよ、お母さん(泣)
   何十年も 貴女は苦しんでくれた。
   もういいんです」

母「何十年?」

子「そうですよ。正確に言うと20年」

母「そんなに…経っていたのね…
   許されないことをした…」

子「お母さん、私は 貴女を許します!!
これから 一緒に生きてください! 私と」

母「救ってくれて ありがとう…
   ワタシの愛しい赤ちゃん…」

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